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平和の女神さまへ 平和ってなんですか?

挿絵を担当した小手鞠るい先生の『平和の女神さまへ』、重版になりました。
とても良いお話なので、たくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます🕊

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原画と共に、裏話。

この本は、いろいろな国・時代の子どもたちからの手紙のような構成になっています。

こちらは、アメリカの女の子が主人公で、軍人のお父さんがイラクの戦場に行ったと聞かされている場面です。

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美味しそうなパンケーキとフルーツサラダの幸せな朝食を描きました。
戦争のお話なので、大人のわたしでも苦しくて泣く場面がいくつかありました。なので、絵は優しく平和な感じで描きたいと思ったのです。


次は、動物園で働いていたお父さんが戦争で心の病気になってしまった少年の話で、早く戦争が終わって平和な日本に戻ってほしい、動物たちが幸せに暮らせる日本になってほしい、と願う場面です。

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のんびりとした動物たちを描きました。
私は犬を飼っていて妹は猫を飼っていて、人間も動物だし、、
動物だから殺してもいい、みたいなことって根本的に理解不能です。


ベトナム戦争の話では、戦争前の美しい農村と戦争後なにもなくなってしまった景色を描きました。

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ベトナム戦争も、資料調べをしながら何度も泣きました。女の子も兵士になっていたり、ひどい虐殺や枯葉剤…。
人間は不思議です。


続いて、湾岸戦争時代のイラクの少年目線のお話。
もうすぐ戦争に行ってしまう大好きなおじさんとの食事の場面です。

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こちらも、とにかく幸せそうな美味しそうな食事シーンを描きました。


そしてこれが、描いていて1番辛かった絵です。

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お母さんの転勤でアメリカに引越した日本の女の子のお話なのですが、同時多発テロに巻き込まれ、お母さんと弟が亡くなってしまうのです。
この絵は、平和な一家団欒のある1日なのですが、描きながら「このお母さんと弟くんはこの後死んでしまうんだ!」と気がついて、泣いてしまいました。
挿絵ではありますが、自分が描いている2人が死ぬ、というのがものすごく辛かったです。死ぬ人を描く、というのははじめての経験でした。


ネットで資料調べをしていると、思いがけない写真が目に入ってしまうことも多々あります。
この仕事の期間は、信じられないような酷い写真を見てしまうことが多々あり、信じられない話を読むことも多々ありました。

これが事実なのだ、実際に過去にあった出来事なのだ、というのが本当に辛かったです。

ただただ、こんな悲しいことが2度と起こって欲しくないと思いながら描きました。
人は自然にいつか死ぬのですから、命を奪うことだけはしてはいけないと思います。

わたしの大好きなデュークエイセスの『生きるもののうた』という歌の中で、永六輔さんの語りの部分があります。
これに尽きる、とわたしは思います。

もし世界が平和に満ちていたとしても、悲しみは襲ってくる。殺されなくても命は終わり、誰もがいつかは別れてゆく。世界が平和でも、悲しい夜は来る。誰もが耐えて生きている。思い出と歌があなたを支えてゆくだろう。


こちらの記事がお役に立てたら幸いです!