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『VA-11 Hall-A』 グリッチシティで出会った人たちのこと

 最初、5月の雑感の記事に書いてたんだけど、ちょっとだけ長くなったので別記事にしてみました。

 『コーヒートーク』と同じ(電子的な)棚に積んであったゲーム。カフェのあとはバーかなというくらいの、軽い気持ちでサラッとやろうと思って手を出したんだけど……。
 それぞれのキャラの抱える痛みが鮮明で、なかなかサラッとはできなかったな。単純に思ったよりボリュームがあったというのもあるけど、それにしてもずいぶんゆっくり読ませてもらいました。
 これはアレか、むしろ『Night in the Woods』のほうが近いのでは……?

 ビールを飲むイベント、斬新だったよね。自分はあんまりというか、ほとんどお酒飲めないんだけど、会話の中のそれっぽいタイミングでビールを飲む行為それ自体がロールプレイング的というか、楽しめたよね。

 『コーヒートーク』みたいに、透明な語り手みたいな立ち位置かと思ってたら(別ゲームの話ですが、この表現もアレがコレでソレです)、主人公のジルがカウンターの外に出てきたシーン。このあたりから風向きが変わった感がある。
 それにしてもアルマの言い方に笑う。

 アルマといえばこれね。
 あんまりだ!!!!! ひどすぎる!!!!! ハッカーはよくない!!!!!!!!!!
 厨二病を笑うな!!!!!!!!!!!!

 いつまでも心に中学2年生が潜んでるおじさんに響いた名シーン。たぶん、自分が物語に惹かれるのはこういうことなんだと思う。

 なんというか、ひどく当たり前のことを言うようだけど、それぞれにそれぞれの過去があるし、人生があるし、痛みがある。当たり前のことかもしれないけど、それってすごいことじゃない?
 しかも現実世界でも、ゲームの世界でもおんなじで。そんなふうに感じさせるってことも、これまたすごいことじゃない?

 とか思ってたら、クリア後に解放されるプロローグでまんまな感じのセリフがあったよ。

ジル:モールとかバーとかたくさんの人がいる場所に
腰を落ち着けてぼんやり考えるのが
好きだったんです…
「ここにいるみんなにそれぞれの物語が
あるんだろうな」って。
自分がちっぽけな存在だって気づかされる。
誰にでも夢や恐怖があって、愛する人がいて。
二人の人間がいたとしても、深く掘りさげてみれば
両者の違いは思ったほどには大きくない。
それどころか、ほとんど違わない。
(中略)
ぱっと見にはどれだけ似ていても
二人として同じ人間はいない…
それってすごいことです。

「プロローグ3日目」より

 この先、ジルの人生にたくさんの幸せが訪れますように。
 それと、あなたの人生にも。
 中2心を持ち続けてるおじさんは、本当にそう思っています。

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