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あの人が亡くなられた。

今日、あの人が亡くなられたって知った。

SNSでも、みんなが思い思いのコメントを添えて、そのニュースをシェアしていた。

幼き頃から、我が家の食卓のブラウン管には、あの人がよく映っていた。

父が裏で放送されている人気番組に出ている大御所芸人が人を悪く言って笑いを取っていたのをあまり良く思っていなくて、いつも、人を傷つけない笑いをくれる、あの人の番組にチャンネルを合わせていた。

思えば、幼き頃、晩御飯の時には、家族そろって、いつもバラエティ番組を観ていたな。

食卓での僕の座る位置は、みんなよりテレビに近く、斜めから観る位置が定位置だった。だから、テレビからみて、左前?僕からしたら、右斜め45度くらいの角度でテレビをいつも観ていた。

僕は右目の方が視力が悪いんだけど、それが理由じゃないかとさえ思っているくらい。

その時期、僕は多感な小中学生くらいだったから、僕のDNAにあの人が組み込まれていると言っても過言ではないほど、あの人の影響を受けた。何がどこがって言えないくらい、もはや全体的に。もはやトータル的に。

大学時代、当時の仲間とボウリングに行った時、普通に投げたら、後ろから、笑い声と共に「投げ方、◯◯やん!」と突っ込まれた。

完全に無意識だったのもあり、その時の僕のリアクションは薄かったように思うが、そう表現されて、すごくうれしく思ったのを鮮明に覚えている。

なんせ、二十年前くらいのこんな些細なエピソードを覚えているくらいだから。

おとなになった僕は、テレビを観る事自体が少なくなり、あの人を観る機会も減っていた。

が、そのニュースを観て、僕は、何かを感じた。

こういう事を書くと、バカだなぁとか、不謹慎だろとか、思われたりするのかもしれないけど、4月に入ってから2件の飲み会の予定があった。

予定をたてていた時は、コロナは世界全体にこんなに広まってなかったし、日本でも感染者はまだまだ少なかった。小さい飲み会くらいなら大丈夫かな?その頃にはもう収まってるんじゃないかな?なんて、その頃は今よりずっと楽観的に思っていた。

ちなみに、3月5日以降、多く人の集まる会は一度も行ってないよ。

刻一刻、一日一日と、飲み会の日が近づいてくるものの、コロナは収まるどころか、日々、拡大している。

大規模なイベントは続々と中止。

ふとした時に、う~ん、どうするんだろう?飲み会の日にちが近づいて来てるな。やるのかな?延期するのかな?他のみんなは、どう思ってんだろう?こういう時って誰が言い出すのかな?って。

大きなイベントはもっとそうなんだろうけど、一旦決めた事のキャンセルとか、延期の決定のタイミングって、すごく難しい。

そんな中、そのニュースを見た。

その後、何の前触れもなく、特に考える事も悩む事もなく、ごく自然に、飲み会をする予定をしていた数人にメッセージを送っていた。

突然。

その中に「52年会」という同い年の仲間で集まる小さな飲み会もあった。

超いいやつらの集まり。

正直さ、やっぱ、久しぶりに集まるからさ、会いたいって想いがめっちゃあったよ。

だからこそ、決断しにくかった。判断を鈍らせた。

でも、僕は彼らに「我らが師匠◯◯さんがお亡くなりになられた今、そんな今こそ、4月会を延期にしませんか?みんなで罹患したら、それこそ、アホの52年生って言われるで笑  いかが?」と突然の延期発言に、自ら気を遣いながら、少し自虐の笑も込めながら送った。

そう送りながらも、正直「おいおい、ビビってるやん!」とかさ「何を大袈裟に!」とかいうリアクションも少しくらいあるかなと思ってたよ。

いやいや、ないんかい!

まったくなかった。

たぶん、師匠の名前を入れた事により、僕がこういう行動を起こした理由、動機、きっかけが明確になったのか、同い年の彼らにすぐに理解された。

それどころか、そう思ってたとか、僕も送ろうと思ってたところやったって書いたやつもいた。

なんせ、僕たちはあの人からたくさんの影響を受けた。

多くの世代の人たちがそう言うんだろう。

特に、僕らの世代は、多感な小中学生時代なんかによく観てただろうから、多くの人がどっぷり影響を受けているんじゃないかな?

そして、僕らがおとなになった今でさえ、あの人は最期の最期まで、こうして、僕らに影響を与えてくれた。

そのニュースを見て、僕の心が動かされて、自分の心の動きに、僕の体が反応して行動した。頭を経由せずに。

ほんの一瞬の出来事。

何を感じ、どう行動するか?

僕の周りの飲食店をやっている人たちも、しばらく店を閉めますっていう人が増えてきている。自分たちが感染源になってしまうかもしれないからって。

そんなこんながあった後にね、七十歳前後の方と少し打ち合わせをした時、その人は、こんな事を言われてた。

あの人と同世代の人だ。

「あの人はスゴいね。ニュースを観たけど、すごい広い世代の人に支持されてたんだね。初めて知ったよ(僕らの世代が多大なる影響を受けてるのはもちろんだけどって意味)ニュースで二十歳前後の人もたくさんコメントしてて、びっくりしたよ。この件で、コロナを対岸の火事だと思ってた日本全体もちょっとピリッとするんじゃないかな?」って。

ホント、そう思った。
ホント、そう願った。

きっとね、今回も、今まで、あなたがみんなに与えてくれた笑い同様、あなたが与えてくれるであろう影響は世代を超えて、日本全土に及びます。

きっと。

ありがとうございます。

う~ん、なんだかな?しっくり来ないな。
なんだ?この文章、俺が書いたのか?

さっきからずっと師匠だなんだって書いてきたけど、僕の中では今までの人生、あの人をそんな風に表現した覚えはない。

なんだかわかんないけど、おとなな感じで、名前を書くのは良くないのかな?とか思ってさ、あの人とか、〇〇とか、あなたとか、書いてみたけど、なんだか、すっきりしないな。もう。

もう!最後くらい、ちゃんと普通に言わせてよ。

ありがとう!志村!あんたは最高だった。
ありがとう、志村。俺はあんたをずっと大好きだったよ。

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