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エコロジカル・アプローチは適応力のある人材育成に最適である

コルクラボ12月の定例会。今回はサディこと佐渡島さんと、スポーツコーチの植田文也さんの対談を聴いた。植田さんは『エコロジカル・アプローチ』の著者でもあり、スポーツの世界で運動理論を研究&実践されているといういわゆる『コーチのコーチ』だ。

エコロジカルアプローチとは、スポーツの世界でよくある反復練習から型を学ぶようなアプローチ(伝統的アプローチというらしい)とは違い、環境や関係性に合わせて対応していく変動性を重視するアプローチをさす。

サッカーの世界でいうと、欧州のサッカーはパス回しや正確さが際立つスマートなプレイと言われ、こちらは伝統的アプローチによってできあがったもの。そして南米のサッカーは創造性や適応力、個人の特徴が活かされたエコロジカルアプローチによってできあがったもの。といったところだろうか。

南米の選手は遊びの中でボールのコントロールを覚えていく。トラップやシュートの型をひとつひとつ練習しなくても、ちゃんと出したいところにパスが通せるならばOKなのだ。実際にそのスタイルにスポットをあてると個人単位ではかなりバラツキがあるらしい。

「15歳までサッカー教室にいかないブラジル代表がいるんです」と植田さんがおっしゃっていたが妙に納得感があったのだった。

このエコロジカル・アプローチは野球界でも使われているそう。伝説の選手、落合さんのこんな一言がある。

『正しいバッティングはないが、間違ったバッティングはある』

先ほどはブラジルのサッカーの選手の例をあげたけど、プレイをみているとどれが正解かを考えるのがばかばかしくなるくらい選手はなめらかに多種多様な動きを見せる。正しいものを定義するのはあまりに難しいのである。しかし、間違ったプレイはと言われればもっと見つけるのが簡単になりそうだ。

さてさて、前半はスポーツの話が一気に展開されていっだけど、これらの話はどんな世界にも通じるよねって流れが後半に。

何しろ今の世の中は不確実性が高まっていて、適応性が求められる時代だ。環境や関係に合わせてアプローチするエコロジカルな動きはぴったりと言えるだろう。

ぼくは普段営業の会社にいるんだけど、資料を準備して商談想定ロープレを一生懸命やっているメンバーが全員TOP営業マンになるかというと、そうはならない現状がある。

あれってなんでだろうって考えてたんだけど、エコロジカル・アプローチであてはめるならば、基本的なトークを準備したら資料を一生懸命作り込むよりもお客さまのところにいって会話をしながらその場その場で対応できるようにトレーニングを積む、育成すべしとなりそうだな。

(そういえばロープレを一生懸命やってるひとよりも、合コンを一生懸命やってるひとのほうが案外売れてたりしていたのはそれか!)

またトークの中ではエコロジカル・アプローチは子育てにも当てはまるのではという話も興味深かった。親のしつけやコミットがきっちりしすぎているとそれが制約となって子どもの対応力が育たず、逆にちょっと自由にさせているくらいのほうがクリエイティブが発揮されて遊びも勉強も対応力が身につくという説。耳が痛いな…。

育成とは過度な制約の中で行われると非効率になる可能性もある。この制約をうまくはずし、それでもマネジメントやチームダイナミクスが効く状態にする。ここに現代を生き抜くための育成のコツがありそうだ。

ぼくはなにかと細かいことに口出ししすぎるクセがあるので、アプローチ方法をエコロジカルに変えていこうとおもったのでした。

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