以前、それまではクラシックのかけらも聴くタイミング聴く機会もなかった彼女とのデートにオペラ全曲のコンサートを選んだ。その時の彼女は「カワイと一緒ならどこに行っても楽しい」と思ってくれるような人だったし、当然私も「彼女とならどこに行っても楽しい」と思っていたので、私のそのお誘い提案はすぐに了承された。どうだいいのろけ話だろう。

　普段その手のコンサート会場に足を運んでる連中に「次回、ピアノ協奏曲を三つ演奏します、曲は皆様のアンケートの結果の上位三曲になります、ふるってご応募ください」イベントがあった。半年ぐらいかけて集められたそのアンケートの結果が出たのだが、何が上位三曲になったのか。普段コンサート会場に参加してる連中どもだぞ期待ができるではないか。

　クラシック、何から聴きはじめたらいいんですか、と訊ねられることがいままでにもよくあった。馴染みのある聴いたことのある曲の入ってるのを選べばよろしいと伝えていたけどその馴染みのある曲が誰のどんな曲なのかわからんのだからその伝え方は間違いだ。実際は彼ら彼女らのクラシック入門はここ十数年だとまちがいなくフィギュアスケートで使われてる曲からが多いと確認した。
　その前に「のだめ」で一般人向け大爆風がきてクラシックファンが一瞬だけ増えた。フィギュアスケート音源からでも「のだめ」からでもファンは増える。その中から後年のマニアが出てくるその出てくる割合なんてのはやっぱり10万人に1人くらいだろうと思うが、どんなもんでも突き詰めていこうというやつがそのくらいの割合でも増えるのはとてもいいことだ。
　
　で、そのコンサート、大盛況で、普段の料金なのに満席完売御礼になった。その数日前にサイトで曲名が発表された。私の予想通り、「チャイコフスキー1番」「ラフマニノフ2番」が上位2曲だったｗｗｗおまえらｗｗｗ数十年前のLPレコードのカップリングそのまままるで進化してないなｗｗｗあのな、おまえら、それは自宅でレコードで聴いとけや！！！と思った。残る1曲はグリーグだった。演奏する側も「またかよｗｗｗ」と思っただろう、私も「またかよｗｗｗ」と思った。ただ、一般の彼ら彼女らが普段は耳にしないような曲目がその他のコンサートであると、会場は満席完売にはならんのだ、空席が目立つ。これが「運命未完成新世界悲愴」あたりだと満席になる。いやほんとおまえら、それは自宅でレコードで聴いとけや！！！

　冒頭の彼女向けに私は『カルメン』を選んだ。終了後の帰り道で彼女は「私の知ってる曲が沢山出てきた！超楽しかった！」と大喜びしてもらえた。な、こんなところで『中国のニクソン』を選んだところで彼女は全く面白くないまま「オペラｗｗｗ超つまんないｗｗｗ」で帰ったに違いない。そういう部分でカワイは自己主張なんかしないのだ、そんな自己主張、何の役にも立たん。

　実際、新劇場最初の演目オペラはだいたい『カルメン』か『アイーダ』かモーツァルトのあれらだ。あっちも商売だ、金にならんものはかけない。