初めて救急車に乗った話
この日の昼は、近所のオートロックが無いビルの最上階まで行って
「このビルは後ろから飛べないな..」
なんて、色々なビルを探索していました。
諦めきれず、帰りに酒屋さんに寄って、日本酒を買いました。日本酒大好きなので。
店主のおすすめを2本買いました。
帰宅して、音楽を流しながら日本酒のにごりで一ヶ月分の睡眠薬を胃に流し込んでいました
この時の睡眠薬は長らくお世話になり過ぎて、愛着とは反比例に効かなくなっているレンドルミン0.25mg
流石に1ヶ月分、3シートを飲んだら気分が悪くなりました。
外の空気を吸おうと、家から出てドアを閉めて一歩歩いたら
ふにゃんと倒れました
バレエを17年やっていたからか軟体なので、全身の関節があっちこっちにひん曲がって異様な体勢で倒れたので
「こりゃ、歩けないなぁ」と思い、家に戻りました。
嘔吐恐怖症なので10年以上嘔吐したことがなくて、吐き方が分からなかったため
とにかく胃が気持ちが悪くて、家でお布団を被って寝ていました
心配した家族が家にいてくれて、様子を見てくれていました
その間も部屋に好きなバンドや女性歌手やアイドルさんの音楽が流れ続けていた気がします
そんな時、友人が家の近くにいたそうで「今から行ってもいい?」と連絡が入りました
久々に会いたかったこともあり、心配してくれていたことが嬉しくてすぐに承諾
しかし、友人だけが家に来るものだと思っていたのですが友人の友人を連れて家に来ました
インターフォンに映った姿を見て
「家にあげないで!」と何度も叫んだのに完全無視で2人を家にあげてしまったのです
これが命取りでした
2人が家に上がると、友人が家族と2人で喋りたいとのことで、別の部屋に移動
私は友人が連れてきた友人の友人と2人きりになりました
とにかく意識も混濁して、気持ちが悪い
相手はソファに座りながら、その姿を見て説教を始めました
気分が悪くてまともに返事ができなかった、口を開けると吐いてしまうのでは無いかと思って怖かった
段々と、説教が罵詈雑言に変わってきて
「(そうか、死にたいものは生きたいものから淘汰される存在なのか)」
悲しみながらも、突然暴言を浴びせられたのでびっくりしてしまいました
薬の飲み過ぎで、相手の言葉がうまく認識できていない?!
否、残念なことにそれは確かに罵りだったのです
この地球で生きるための力もない人間は、弱者として目に映るのでしょう
淘汰される存在なのだから、私に腹が立っても仕方がない
罵詈雑言を浴びせられていると、こちらも感情的になってきて
こんな状態になるまで勿論、色々なプロセスがあったわけでその一つがその相手がもたらしたものの一つだったので
寝ている私の上を跨いで、部屋を出ようとした時に
「それじゃあ、あんな名誉毀損のブログ書かないで、訂正文出してよ!」
泣き叫ぶと吐き気も吹っ飛び、意識が鮮明になりました
すると寝ている私の上を跨いだかと思うと、布団に隠れた私の下半身に強い痛みが走りました
そのまま壁に追い詰められる形で、ドカドカと蹴られ続けました
抵抗した私の姿は赤子のように丸まって、手を前に出してガードして、膝を曲げていて滑稽だったと思います
すごい音がしたそうで、別室にいた家族と友人が飛んできて、家族がまあまあと間に入っている間も蹴られ続けました
暴力なんてファンタジー的なもので、世界のどこかで日常的にあるものでも私の世界には全く持ってないもの
だって、闘う時は言葉や法律があるから暴力という手段が頭の中にないのです
間に入られたところで、二人は颯爽と私の家を後にしました
唖然
青、紫、赤、ピンク、草間彌生の絵のようにまだらになった2本の脚を見て
私の心が限界を迎えました
もう既にこの世を飛び立つ準備はできていた。タイミングよくトリガーが弾かれただけだ。
家を飛び出して、螺旋階段のあるマンションの最上階まで走って登りました。
なるべく顔だけは綺麗なまま棺桶に入りたい
最上階のコンクリートのふちに腰をかけて、体を後ろに倒しました
空は真っ暗で星は無かった
沈丁花の香りだけがします
天を仰ぐと、全ての苦痛から逃れられる
この汚い身体とも異端な自分とも別れられる
アラームをかけない時の深い眠りよりも、お風呂上がりに飲む炭酸水よりも、おろしたての靴に足を入れた時よりも、桜の下で深呼吸するよりも、苦痛から逃げられる約束は全てに勝る
風の中を仰向けに眠り始めるととんでもない快楽に包まれました
怖さなんて微塵にも無かった、嬉しくて嬉しくて
そのまま腰をずらして、仰向けに落ちていきました
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