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戦隊ヒーローのジレンマ

いつもお世話になっている”kintaのブログANNEX”の記事に触発されて。
前々から思っていたことをつらつらと。

確か、空想科学読本シリーズ、柳田理科男さんの本だったと思います。 
戦隊ヒーローのジレンマだったか、5人組ヒーローのジレンマだったか、そんな内容。
 
幼稚園に入る前、金曜日の夕方はターボレンジャーという5人組の戦隊モノを見るのが楽しみでした。合体ロボも持っていました。


ゴレンジャーを発端に、「○○レンジャー」として5人組の変身ヒーロー番組”スーパー戦隊シリーズ”は2024年現在も続いているみたいです。

仮面ライダーやウルトラマンのように1人のヒーローではなく、5人バラバラのキャラクターでそれぞれの能力を合わせて敵に戦うさま、また、時代時代で最新?の映像技術を使った迫力のあるヒーローに心躍らせた人も少なくないと思います。  

戦隊ヒーローはそれぞれのユニフォーム?が赤・青・黄色・ピンク・緑で5人5色になっていて、それぞれのカラーにイメージカラーがあります。
おおよそ、
レッド・・・リーダー。”走る”など基本ポテンシャルが高い。
ブルー・・・リーダーの補佐役。クレバーな戦術。
イエロー・・・しばしばぽっちゃりだったり、ドジだったりの3枚目。パワーが強い。
ピンク・・・紅一点。魔術系の技を繰り出す。
グリーン・・・ケースバイケース()
といった感じです。

さて、そんな「○○レンジャー」たち、「戦隊ヒーローのジレンマ」とは。

5人がバラバラの能力で敵と戦う場合、
例えば走るのが速いレッドだけが先に敵のいるところに到着すると、
レッド1人だけで敵と戦うことになります。
5人なら倒せるはずの敵も、レッド1人だと負けてしまう可能性が高まります。
そして、レッドがやられた頃に、ブルーが到着するも、やはり1人で。
以下続く・・・

すなわち、走るスピードに差があった場合、一番走るのが遅いヒーローに合わせることが最善策となり、他の4人は能力を発揮できない。

”走る”だけでなく、あらゆる場面、技において、5人が揃って力を合わせて敵と戦う時、最大限の効果を発揮するには一番能力が低いヒーローに合わさざるを得ず、5人それぞれの本来の能力が発揮し得ない、というジレンマです。(うろ覚え)

柳田理科男さんの本は、基本的なスタンスとして、空想科学やアニメを物理法則、化学原理に則って実現するためにはどうすればいいか、何とかして実現できないか、が面白おかしく書かれています。
そしておおよそのケースで、考えれば考えるほど実現できないことを証明してしまうという皮肉な結末になる、というところまでがセットです。

この「戦隊ヒーローのジレンマ」も、そんな文脈で面白おかしく書かれていたので、笑いながら読んだ記憶があるのですが、ふと、このジレンマって色々なところに当てはまるんじゃないか、あるいは、そうなっているのが現状ではないか、と。

例えば、”コンプライアンス”のもと、全体の中ではごく一部のクレーマーのせいでテレビをはじめとするあらゆる職業やサービスが、本来の目的から逆行しているケース。

例えば、全員が同じサービスを提供できない、同じ仕事量をこなすことが出来ない、時間がない、お金がないetc…ために、得られたはずの利益を見す見す逃しているケース。

例えば、一部の危険行為、違法行為、非モラル行為をする輩のために、その他全体の人々がどんどん厳しくなる制約の中、窮屈な思いをしているケース。

「多様性の時代」という流れがようやく、現代、世界的に広まりつつあります。
これ自体は素晴らしいことです。多様性こそ、生物としての種の強さでもあります。僕自身、この流れはもっと強く早く広まってほしいと思っています。

同時に、「多様性」を手放しに受け入れることは、何かが、誰かが、本来発揮できたはずの能力や自由を手放すリスクを十分に孕んでいる、ということに注意深くなる必要があるような気がしてならないのです。
「インクルーシブな社会」とは、LGBTQ、障害者、貧富の格差、国籍、etc…といった不合理な差別を受けてきた人たちだけではなく、上述のような「困った人たち」「困ったこと」をも包括して初めて、多様性を受け入れることになると思っています。
否、多様性を受け入れることはゴールではなく、ただただ、出発点でしかないと思うんです。
ようやく、今まで見てみぬふりをしてきたことを、一つ一つ紐解いていかなければいけないことが、ここから山積みにある。

実際の戦隊ヒーローはそれぞれの異なるポテンシャルを最大限発揮しつつ、悪の組織から平和を取り戻すために、周到な作戦を立てることが必須。

そしてそれは、戦隊ヒーローだけでなく、社会全体にもいえることだと思うんです。

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