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大河「光る君へ」(16)華の影

 今日は関東雨模様。桜はすっかり散っちゃいました。先週の福井旅の間が一番春らしかったなあ。はかないものよ。
※「源氏物語を読みたい80代母」のための企画です。最終回までこの形式で続ける所存。思いっきりネタバレ全開なのでご注意くださいまし。
お喋り役の平安女房ズは以下:
右近(右)、侍従(侍)、王命婦(王)、少納言(少)

侍「ねえねえ右近ちゃーん!!!」
右「なあに侍従ちゃん。暫く静かだったのにアッサリ元に戻ったわね。まあわからなくもないけど」
侍「やっぱりわっかるうー?わかってくれるうー?だってだって道長くんとまひろちゃんのひっさびさの!ラブラブ♡場面!お姫様抱っこからの献身的な看病……これはもうアガるっきゃないっしょイエー!」
右「道長くん、ツッナーが口滑らせた時の表情は見ものだったもんね」
侍「それそれ!『人間違いしちゃって~』がなければコロしてたよねゼッタイ!アレで火がついたね間違いなく!」
右「まひろちゃんも無茶するわよね。令和のコロナ禍を目の当たりにした我々としては、ノーマスク・ノー手袋・ノーソーシャルディスタンスでの感染者への接触とかドキドキしちゃう。案の定移っちゃうしさ」
侍「まー貴族の娘さんが悲田院でナイチンゲールばりに民衆の看病とか、絶対ありえないもんけどさー、でもいいのそんな細かいことは。道長くんが抱きかかえての乗馬とかー、まひろちゃんちでの
『藤原道長である!』
の名乗りとかー、あと
『逝くな、戻ってこい!』
のアツいセリフね!ラブラブてんこ盛りでアタシ大満足の巻!」
右「いとさんのうろたえっぷりも微笑ましかったわね。そりゃ驚くわ大納言みずから家に来て看病とか」
少「私……あのシーンは涙なくして観られませんでしたわ。紫上が一度息絶えられた時とそっくりで。あの時、女房達の誰もが亡くなられたと思い込んで泣き騒いでおりました。それをまず強く諫められたのがヒカルさまで……紫上は息を吹き返された(号泣)まひろさんも回復されてよかったです」【「ひかるのきみ」若菜下より】
王「わかるわ。色々な記憶の積み重ねがあの壮大な物語世界を形作ってるのよね。ドラマはもちろんフィクションだけれど、そういう図式を観る人に示すためのあえての飛躍。私は晴明さまの
『疫神が来るぞ』
にシビれた。存在感と説得力ヤバいわねあの人」
右「あれさ、思ったけど完全に現代の感染対策とおんなじじゃない?流行り病の到来をいち早く察知して・門を閉じ不特定多数との接触を控える・不要不急の外出もしない。物忌とか方違えとかも結構理にかなってんだわ」
少「私、道兼さまが心配ですわ。汚れ仕事は自分、とばかりにあんな風に出歩いてらしては……憑き物が落ちたような穏やかなお顔なのは嬉しいですがかえって不安です……」
侍「道兼さま見違えたよねー!少納言さんの、
『濃く深い闇のその奥の奥には、まっさらな情愛に溢れた、素の道兼さまがいらっしゃる』
大河「光る君へ」(8)招かれざる者 の記事より
 って言葉その通りだった。もはや三兄弟の中で一番いいヤツじゃん(手のひらクルー)」
少「侍従さんありがとうございます。そうなんですの、道兼さまはお心優しい繊細なお方なんですのよ、三兄弟の中で誰よりも」
王「このところ道隆ファミリーのキラキラっぷりが鼻についてきたものね。闇に目を向けない、存在さえ認めない『光』はまがい物よ」
少「眩しさに目がくらんでらっしゃいましたね……道隆さま」
右「やたら水をガブガブ飲んでたしね」
侍「ちょ、怖いんだけど!どういうこと!」
王「それはともかく侍従ちゃん、道長くんかなりピンチじゃない?倫子さますっかり勘づいちゃってるわよね。相手が誰かも、既にピンときてる可能性大」
侍「ヒエッ……そうだった……ヤバ、一番怖いかも!」
少「光も闇も、曇りなき目で見つめるお方ですものね倫子さま」
右「平安の野に下り立った真の姫よ。ゴルア道長ア!アンタには勿体ないパーフェクト妻なんだからちゃんとうまくやんなさいよッ!どうせひと悶着あるんだろうけど!」
侍「うわーんもうどうしたらいいかわかんなーい!また来週ー!」

今回もまた清少納言ネタを盛り込む隙がなかった。遂に出ましたね、
「香炉峰の雪」!

 中宮定子の問いかけ、即座に応える清少納言の仕草とこのドヤ顔!まさにイメージ通りで感激しました。いや真面目にこういうのすごく良いです……こういうエピソードを書き残してくれた清少納言ありがとうありがとう。後世に残すべきと考えて写本しまくった昔の人達ありがとう。感無量です。
 そこからの雪遊び、実際には可愛い女童めのわらわなどを集めて遊んでいるところを眺める、といった形だったのでしょうが、まさかの本人たちがキャッキャとはしゃいでる光景。定子サロンがいかに明るく華やかだったかという象徴として考えるとこれもアリかな、とまたしても納得させられました。悲田院の悲惨さとの対比にもなっていてまさに光と闇。これからの展開を考えると背筋が寒くなります。
 それにしても道長の、
「生まれて来た意味は見つかったか?」
 というセリフ。熱に浮かされたまひろではなく、自分自身に問うたのではないですかね。世の中を良くしたくても何も出来ない自分。結局好きな女だけを連れて看病する自分。別の道を選んだはずが、後先考えずの思いに任せた行動でまた交わってしまう。結局二人とも同じようなレベルで停滞してるんですよねえ。
 そして父の為時のセリフがまた心憎い。
「大納言さまには朝廷での重いお役目がおありになりますでしょう」
 と道長を帰らせる。病身の妾を献身的に看病し看取った為時ならば、道長の気持ちは手に取るようにわかったでしょうが、おくびにも出さずのこれですよ。期せずして、かつてのまひろの言葉と同義なことを言われちゃった道長。思いのほか刺さったんじゃなかろうか。
 倫子さまへのバレも含め(怖)着々と越前行きへの道筋が穿たれている気がする今日この頃。来週も楽しみです(怖)。
<つづく>
 












「文字として何かを残していくこと」の意味を考えつつ日々書いています。