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普段歩かない女、24000歩あるく

ウォーキングイベントで10キロコースに参加した。

最初、友達と「20キロのコースにするー?」と話す。だけど、普段歩かないし運動してないし、なんなら1日2000歩も歩かないような私と友達だったから「20キロは無理でしょ」と話し合う。
Googleマップで、自宅から10キロの中華料理屋にピンを立てると、歩いて2時間だとGoogle先生が告げる。2時間かぁ。観光地で歩き回ってたらそれぐらいかかるよね。「うん、10キロコースにしよ」と決定。

しかし、甘かった。

観光とは違うのだ。歩くだけ、なのだ。

当日。
家の周りは雪が降っていた。「今日寒いよね」と思いながら出かける。会場にはたくさんの人が集まりテンションあがる。
えーやばいやばい、わくわくするー!友達に「やばいやばい」と饒舌になる。

開会式して10時スタート。
足どり軽い。大丈夫だー歩けるぞー。

途中で川沿いに出る。川沿いをズラリと人が歩く。遠く先まで人が歩いて、小さな人がぞろぞろ歩いてゆく。不意に「あんな先まで歩くのか…いやだな」と思って、ゲンナリした気分が頭をよぎる。
それでも歩く。まだ大丈夫。

途中、チェックポイントを通過。チェックポイントだからちょうど5キロを通過かな?あと半分~と思ったのに、出ている看板には「残り5.4キロ」
…なんだ、まだ半分以上じゃん。
また気持ちがおちる。しかも、足がだるい。両足の内側の筋肉が「だるいよー」と言い始める。

ここからは中だるみ。川沿いを冷たい横風に吹かれながら友達と無言で歩く。横風が寒くてテンションさがる。そりゃ朝雪だったもんな。寒いよな。あーさむい、くそっ寒い。もぅなんで歩いてんだ私。あーもぅ。

無言で歩く2人の前に、河津桜の並木道が現れた。
「わぁー」友達と一瞬でテンションあがる。
桜をスマホで撮りながら歩く。少しだけ足どり軽くなる。

ゴールになっている市役所の高い塔が見えた。でも、その塔はいつまでも近付かない。
あー見えてるのに。まだかー。

河津桜も飽きてくる。
足がだるい。だるいよーだるいよー。
もぅなんで歩いてるんだよー。意味わからん。
それでも、とりあえず足を前に出す。そしたら進むから。進む。前へ。

友達が「あと少しだ」と言う。建物の影に隠れて見えなくなっていた市役所の高い塔が、いつの間にか大きくなっていた。

わー着くぞ!
ZARDの「負けないで」を2人で歌いながら歩く。がんばれ、がんばれ!!
足の内側がキャーと言ってるけど、がんばれー!

ゴールしたのは15時。
おい、5時間かかったんかぃ!!
まぁいいのよ。だってチェックポイントで豚汁のふるまいに舌鼓み。たい焼き屋さんに並んでたい焼き食べたり。寺院参拝したり。
道草しながらだからよし。

明日は絶対筋肉痛だ。
だけど、歩ききった。10キロだけど。もっと歩く人には、10キロなんて屁の河童だろうけど。

わたし、10キロ歩いたよ。
途中でやめなかったよ。やり切ったよ。
すぐ辞めちゃう私なのに、辞めなかったね。

足を前に出せば、必ずどこかに辿り着くんだ。

やり切った自分に、少しだけ自信が帰ってきた。

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