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【ひきこもり・不登校#3】土台があれば大丈夫!

以前の記事で、私が2人の不登校の中学生に勉強を教えたり、話を聞いたりしていることをお伝えしていました。

実は、最近2人とも私がいる場所へ来なくなりました。
1人(以下Aさん)は親の説得や学校の働きかけもあって、別室登校ですが学校へ行き始めました。
もう1人(以下Bさん)は、まだ頑として動かず、学校はおろか私のところにも来なくなりました。(まぁ1人ではなかなか来ないですよね)
一見すると、Aさんの方が一歩踏み出したように見えますが、私はどちらかというとAさんの方を心配しています。そして、Bさんの方は「そのうち自分で立ち上がるでしょ」と思っています。

その差はいったい何か・・・。それは「土台」です。

「土台」とは何か?

一言で表すのは難しいのですが、いわゆる「非認知能力」といわれる好奇心、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、数字では表せない能力のことを、ここでは「土台」と呼ぶことにします。

Aさんはこの土台がぐらぐらしている印象を受けます。特に感じるのが意思決定できないことです。今回、一度は「学校に行かない」という行動で、自分の意思を周りに伝えようとしましたが、説得されると、自分の意思を持たないままに学校へ行き始めました。はじめこそ毎日行っていたようですが、結局また行ったり行かなかったりするようになり、最近は全然行っていないそうです。

一方でBさんは、土台がしっかりしている印象です。自分の考えをしっかりともち、主張します。今は少し休憩中ですが、本来は自制心も忍耐力もあり、自分で決めたことは最後までやり抜く人です。だからこそ、家族や学校の先生がどんなに説得しても、まだ自分自身で答えを見つけていないので頑として動かないのです。
(ここで一つ断っておくと、学校へ行くことが2人のゴールとはまったく思っていません。)

それでは、Bさんのこの「土台」は、いつ作られたのでしょうか?

「土台」はいつ作られるか?

もちろん生まれ持った本人の特性もあると思いますが、「非認知能力」という土台には、乳幼児期の育ちが大きく関係していると言われています。

OECD(経済協力開発機構)では、非認知能力を「社会情動的スキル」と位置づけし、社会の課題に対処していくために重要な能力であるとし、さまざまな課題を乗り越えるためには、認知能力だけでは不十分であり、非認知能力も必要であることを意味しています。近年、非認知能力に関する研究が日本をはじめ各国で進められており、非認知能力は幼児期より育成することが効果的であるという研究報告が注目されています。

非認知的能力の発達と科学的検討手法についての研究に関する報告書(国立教育政策研究所)

Bさんが育ったこども園は、私の息子たちが通うこども園と同じです。ここの園では、自らの意志で動くことを大事にしていて、自然や人と関わる中で、様々な感情を知って調整できるようにと保育しています。
行事に向けた練習というものはなく、毎日水や砂、泥などの変化する素材や、虫、草花など季節によって移り替わる自然の中で、五感をたくさん使って遊んでいます。
そういった幼児期の環境も、Bさんの土台作りの1つになったのかもしれません。

「土台」があれば大丈夫!

さて、表題の件ですが、なぜ私がこの「土台」があれば大丈夫だと言えるのかというと、それは私自身がうつ・ひきこもりから回復できたのは、この「土台」が自分に多少なりともあったからだと今思っているからです。
私は子ども時代を本当に幸せに生きてきました。親からはちゃんと愛情を受け、朝から晩まで自然の中で遊び、やりたいことをやり、やりたくないこともやり、人と交わり、それなりにうまくいかないことや苦しい経験もしました。そうやって私には、土台ができていきました。
20年間教員として勤められたのも、一度はひきこもりになってしまった状態から回復できたのも、この土台のおかげだと思っています。

おわりに

今ひきこもり・不登校で苦しんでいる人や、一緒に苦しんでいる家族の方が、もしこの記事を読んでくれていたら、この土台さえあれば「ちゃんと回復するから絶対大丈夫」ということを声を大きくして伝えたいです。
むしろ「今はぐらついている土台を頑丈なものにしている時」だと思ってください。
ここで下手に周りが支えてあげて、ぐらついたままの土台に立たせても、またいつか転げ落ちてしまいます。私がそうでした。
何かしらの働きかけや人の助けはあってもいいと思いますが、最終的には自分で土台を作り上げ、その上にしっかり立つことができることを目指しましょう。
多少時間がかかっても構いません。時間がかかればかかった分だけ、より頑丈な土台ができることでしょう。

最後にもう一度言います。「絶対に大丈夫!」

前回から少し間があいてしまいましたが、今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
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