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障がいをもつ子どもの自立のためのワンストップサポートを廿日市市で始めた杉野治彦さんとの対話 子どもたちの未来のためにできること スナックはつかいち開店6日目

食パン屋さん「CUBE THE BAKERY」

写真は、広島市の中央通りと横川駅北口にお店を持つ「CUBE THE BAKERY」で買った食パン。ひとつ500円~。最近食パンばやりで、廿日市市内にも高級食パンの店が開店して流行ってるらしく、そんな流行に乗っかって一儲けしようっていう魂胆かな?…って思ってよく聞くと、ここの食パンは障がいをもつ人たちが作ってるって。

でもこちらのホームページ見てもまったくその点は触れられていません。コンセプトは「美味しい、やさしい、無添加」、それだけ。確かに食べてみると美味しいし、ふんわりとやさしいです。

そこには、このパン屋さんを経営するの杉野治彦さんの障がい者支援の理念があります。

杉野さん。「商品が売れてこそ、障がいをもつ人たちにもちゃんと賃金が払えます。ですから、CUBE THE BAKERYでは、障がい者が作っていることは一切表には出さずに、食パンのおいしさだけで売っています」

一般社団法人青少年ワークサポートセンター広島代表理事として

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 杉野さんのもう一つの顔、といってもこちらの方が表の顔のようです。この一般社団法人は、ひきこもりからの自立支援、障がいある人の就労移行支援・生活訓練・就労継続支援をされています。

 廿日市市でも、今年度の「生活困窮者社会生活参加支援事業」の運営を担っておられるとのこと。

 元々広島大学で障がい者教育を学ばれ、一般企業に就職した後に、ひきこもり支援にボランティアで携わって、そこで直面した相談者の困りごとの解決のために、現在の法人を立ち上げられたとのことです。

 そして、今年7月から、廿日市市の津田にあった元児童養護施設津田子どもの家の施設を改修して、就労準備型放課後等デイサービス「わくサポジュニア廿日市」、広域通信課程サポート校「わくサポ高等学院廿日市キャンパス」及び障がい者のグループホーム「ワークサポート廿日市ヴィレッジ」を開設されました。

 就労準備型放課後等デイサービスというのは、中高生を対象としてスムーズに就労できるよう「パソコン」「ビジネスマナー」や「軽作業」などを通して社会生活での自立に必要な能力やスキルを身に着けることを行うサービスです。

 また、広域通信課程サポート校「わくサポ高等学院廿日市キャンパス」は、通常の高等学校への通学になじめない生徒のためのサポートをしてくれる施設だそうです。中学時代に不登校になりがちだった生徒の高校進学への選択肢を広げ、かつ、就労を視野に入れた教育や訓練でスムーズに卒業後の進路につなげることができる独自の取組みです。

 しかし、コロナになって、活動が制約され軌道に乗るまでは時間がかかりそうということでした。


ひきこもりがちな子ども、発達障がいなどをもつ子どものワンストップサービス

ワクサポ①

 廿日市には、放課後デイやフリースクール、広域通信制高校サポート校などはすでにありますが、選択肢が増えることはいいことだと思います。

  今年から、廿日市市でも、不登校の児童がフリースクールに通うことを、一定の要件の下出席扱いにされるようになったとのことです。

 杉野さんも、高校以前の中学校の時点で、学校になじめなかったり、何らかの親の都合や、本人の特性で学校に行きにくい児童生徒を、この施設で受け入れること考えておられます。もちろん、通学のための車は確保してあります。

 ということで、杉野さんの活動は、中学生から高校、18歳以上まで、どこからでもワンストップで就学・就労の支援、そして冒頭の「CUBE THE BAKERY」といった実際の就労の場まで用意できるというところが利用される市民にとっても心強いところだと思います。ただ、まだ始めたばかりで、これから、廿日市市の学校現場と信頼関係を作るところから始めたいとおっしゃっています。

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律

 この法律は、「教育基本法及び児童の権利に関する条約等の趣旨にのっとり、不登校児童生徒に対する教育機会の確保、夜間等において授業を行う学校における就学機会の提供その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等を総合的に推進」(文科省ホームページより)のために平成28年に作られた法律です。

この法律に基づき、廿日市市教育委員会も、各市立学校の校長が出席扱いとするための指針である「廿日市市立学校における義務教育段階の不登校児童生徒に対する指導要録上の出席扱いのガイドライン」を令和2年4月に定めています。

 不登校になる要因は様々ですが、杉野さんに伺うと、発達障がいを持つ子ども多く、専門家の指導が欠かせないと言われます。また、現在、ひきこもっている40代、50代の大人たちを見ていると、できるだけ早い段階から適切な支援をしていれば自立できたかもしれないのにと強く思うのだそうです。今年から18歳未満のひきこもりや不登校支援をはじめたのも、このような経験と思いからです。

 いずれにしても、学校に行きたくてもいけない子どもたちの公的支援は始まったばかりです。しかし、学校ができることも限られています。民間の専門的知見を活用しながら協働して子どもたちの自立する未来を作ってあげられるようにしていけたらいいなと思います。

 廿日市市教育委員会、学校、そして職員、議員さん、よろしくお願いいたします。

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