田舎暮らしはのんびりライフではないし、のんびりライフは理想的ではない

田舎に一番多い職業は一次産業だ。一次産業は労働基準法から除外されているので拘束時間が長い。しかも田舎は拠点と拠点が離れすぎているために、住んでいる場所、職場、買い物、を行き来するだけでもちょっとしたドライブ旅行である。運転と仕事のために生きているようなものだ。田舎でのんびり暮らせると思ったら大間違いだ。過疎化が進み、かつて存在した売店も小売店も床屋も潰れ、ちょっと買い物にいくのにも、大型スーパーのある中心部へ何十キロも運転していかなければならない。常に時間に追われているし運転に費やす時間とお金のロスが半端ない。運転していると事故ることもある。鹿や熊と激突して車を廃車にしてしまう人も少なくない。そして日本には四季がある。春は夏の準備、夏は冬に備えて貯蓄を増やし、秋は冬の準備、そして冬には夏に蓄えたお金が燃料代や暖房費に消えて行くのだ。そういったライフサイクルだ。このように、都会と比べて田舎は自然環境の厳しさにさらされやすい。

田舎暮らしはのんびりライフではない。

だが果たして、嫌なものや厳しいものを排除したのんびりライフというものが実現できたとしてそれは理想的な生活なのだろうか?時間が限られている方が有効に時間を使おうとする、時間が有り余っていると無駄にしてしまう、というのが人間の悲しい性である。

また、環境の負荷が大きいほど、人は団結するものである。厳しい自然環境にさらされているお陰で、互いに助けあうようになる。ケンカもするかもしれないが、田舎には人が居なさすぎてほかに相手が見つからないので気に入らない相手でもそれなりに付き合おうとする努力が必要になる。そうすると対人スキルが磨かれる。気に入らない人がいたらさっさとその場を離れられる都会では、気に入らない人でも良いところもあったり、心の弱い部分がそうさせているのだと気づくこともできないだろう。

もしものんびりライフが実現したら、めんどくさがりで何も考えない、何もしない、フワフワでつまらないことでケンカしたり一喜一憂するダメ人間になってしまうことは疑う余地もない。

のんびりライフは理想的ではない。

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