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JAZZ

孤独な夜はJAZZを聞く
そう、俺は月明かりに照らされた男
ベージュのトレンチコートの胸ポケットに
秘密のメモ書きが大量に入ってる
大きく開け放たれたステンドグラスの窓から
トランペットの音が山を越えて流れていく
狼男がトランペットの音を追いかけて、
今にもその音色に泣き出しそう
山の反対側のセレブが沢山住んでいる街の灯は
点いたり消えたりして、
いつ終わるとも知れない遊戯に
人だかりができている!
狼男はついにその街まで下りて来ちゃった!
あるスターが玄関扉を開けるとばったり
「ウィスキーを少し分けてもらえませんか」
「ああ、いいけど。入ってけよ」
狼男はスターのハラコ柄のソファに二人で並んで座って映画を見る

微かにドラムの音が聞こえる…
微かにドラムの音が聞こえる…

星空のみずみずしいまるい月が黄金色の光を独り占めにしている
「パラパラパーーパッパラーーパッパラーーパラパラ!!」
稲妻のようにトランペットの音が街に鳴り響いた
街中の天使という天使が窓を開けて
夜空に向かって中指を立てた
これには俺は大満足。狼男も大満足そうに見えた。なぜなら、あいつはスターの退屈さに嫌気が差して、もうスターの家をあとにして、電灯の棒に寄りかかって口笛を吹いていたから。

微かにドラムの音が聞こえる…
ウッドベースの旋律も聞こえる…
トランペットの音色は夜空でぐるぐる回って、
音色のあとを蝙蝠たちが飛んでいる
月光で青白くなった俺と狼男も
口をあんぐり開けて二人で星空を見上げた
今夜は美しい夜だ。




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