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東京となかよくなりたくて

先週の記事で、書店の行く末についてけっこう厳しめの話を書きました。

ただ僕自身は紙の本は絶滅はしないと思っていて。

ただ単純に書店が潰れていくのを、公金を突っ込んで保護しようという姿勢に反対なだけで、本の文化としてはより進化して新しい形態に変わっていくんじゃないかなと思っています。

ということで、記事の最後に応援したいと一節くっつけたのですが、じゃあ実際、具体的にどういうものをイメージしているのかというと。

こういう記事を見かけました。

「無名の本でも好きになってくれる人はいる」。早期退職した元雑誌編集長が「ひとり出版社」を立ち上げ、大人向け絵本『東京となかよくなりたくて』を出版した理由 PR TIMES STORY 24/3/15

大手出版社を退職し一人出版社「月と文社」を立ち上げた藤川明日香さんのお話。そこで最初に出した本が記事タイトルにつけた『東京となかよくなりたくて』。大人向け絵本です。以前の仕事で知っていたイラストレーターsatsukiさんに絵を発注し、それに文章をつけ、さらにはBGM情報や英訳もつけ。

こういう手触り感が大切な感じの本は、実物で持ちたいなと思われるんじゃないか。

単純な情報産業としてはネットの方が明らかに便利なので、そちらに移行するでしょう。物語のパッケージとしての本も、そうかもしれない。

でもさらにそこから、ただお話の筋だけではなく、様々な感触までも伝えようとするものであれば、紙に印刷されている意味があるんだと思うのです。

そういう時にこの出版社のような一人出版社は向いている。この本は文章に関しては自分で書く、個人出版に近い形をとっています。そういう身軽さが重要なんじゃないか。一人の判断でぶれずにこだわりを詰め込めるからです。

こちらの本は直取引代行を利用して、2024年3月現在で丸善ジュンク堂書店や蔦屋書店という一部チェーン書店の他、独立系書店など、191店舗で売っているとのこと。直取引は書店側が注文して希望分だけ本を送る仕組みです。こういう本を扱いたいという書店の意思も込められているわけですね。

作るところから売るところまで、気持ちがこもっているのがいいですよね。こっち方面がもっと盛り上がってくるといいなあ。

(ブログ『かってに応援団』24/3/21より転載)

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