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東京ダイナマイト×金属バット ワンマッチ興行【前編】

芸歴15年以上の漫才師が集った賞レース『THE SECOND』

新たに出来た賞レースだけに開催前は賛否両論だったが、蓋を開ければ絶賛の意見が多かったと感じる。

私も凄くいい大会だったなぁと思っています。


ある一点の濁りを除けば。



それは、予選Hブロックにて、今、最も脂が乗った関西の雄『金属バット』と、芸人から絶大な支持を受ける東京漫才界の裏ボス『東京ダイナマイト』が対戦することとなった【事件】だ。

両者ともにコンプライアンス度外視の危険分子として認識されているも、それを漫才の面白さでねじ伏せる男気がウケ、根強い人気を誇るコンビだけに、お笑い界がざわついたのだ。

「実質、これが決勝では?」

この息を飲むスパークを期待していた戦いは、結果として東京ダイナマイトの棄権により、金属バットの不戦勝となった。

原因は、元々体調を崩し手術を予定していた東京ダイナマイト・ハチミツ二郎氏の手術が困難を極め、退院が遅れる事となった為だ。

この悲しいニュースにお笑いファンは悲観に暮れたと思う。

しかし、何よりも粋だったのが、不戦勝とはなったものの、体裁上、ネタを披露することとなった金属バットが、東京ダイナマイトの初M-1決勝で見せたネタを"カヴァー"して披露したのだ。

個人的には、あれはコピーではなくカヴァーだと思う。

そう、東京ダイナマイトが単独で『フォークダンスde成子坂』のコントをカヴァーしたように。
※当時、フォークダンスde成子坂のメンバーの訃報が同世代の芸人に大きな影響を与えた背景もある。

マンガのようなドラマチックな展開に、泥臭い青春を感じながらも、やはり皆「観たかったなぁ…」という気持ちが拭えぬまま、大会は進行していった。

金属バットは見事決勝に進出。
トップバッターという逆境にいながら、しっかりと毒がありつつ、存在感を見せつけ、堂々と、そしてラフに仕上げた漫才は初見の視聴者にも存分に爪痕を残してくれたと信じている。

そして二郎氏も「責任を持って金属バットと必ず決着をつけます」と宣言し、燻った煙がメラメラと炎をあげ『東京ダイナマイトVS金属バット』というカードは、大会終了後も火花を散らしていたのだ。

そして8月。約束の地、お台場にて幻となっていた戦いの火蓋が切って落とされる………はずだった。

ハチミツ二郎氏が、再度の入院となる。

容態も悪化傾向にあり、やはり幻は幻のまま終わるのかと、諦めムードに包まれた。


が、二郎氏の目は死んでいない。
2.9カウントでの跳ね上がりだ。
「絶対にやる。這ってでもやる。」という不屈の闘志で、再開催を宣言。
正直、その時点で二郎氏が復帰できるという見込みが完全にある訳ではない。
そして、今度も開催不可という事になれば、もう延期も難しいデッドエンド。

まさに、当日までどうなるのか分からない不安定な状態で、開催の日となったのだ。


10月20日。ルミネtheよしもと。

いよいよ、長きに渡った因縁に決着をつける灼熱の時間。


【後半へ続く】

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