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土に還す

食べ物は生き物だという意識があるので、得た食材はなるべく食べ尽くすようにはしている。

味噌汁の出汁にした煮干しは、煮出した後に頭とお腹と骨を取って具に戻す。

ブロッコリの芯なども大事な食材。固い皮を剥いた芯はほっこりして美味しい。

フライやカツが好きでよく作るが、残った卵液やパン粉や小麦粉は合わせて青海苔なんかを混ぜて一緒に揚げて食べ切る。

そんなこんなで、わが家の食品廃棄率は一般家庭よりかなり少ないと思われるのだが、それでもうっかりおかずを食べ尽くし損ねたり、野菜室の隅で野菜を悪くしてしまうこともある。
そうでなくとも野菜クズは普通に出る。

だかありがたいことにうちには庭がある。土がある。
人間の口に入らなかった食べ物は土に還せる。
要は人が食べるか、微生物が食べるかの違いなのである。

猫の額ほどの畑コーナーには、冬はあまり植える野菜もなく空いていて、直接生ゴミを埋められる。そしてそれが翌年の夏野菜のよい肥料になる。

だから食べた野菜の種からよく芽が出てくる。ほとんど抜き取るが、たまにはそのまま残してみることもある。
トップの写真はそんなひとつ。マルチをかけた畝の端から元気に生えてきたカボチャか冬瓜か…何がなるやらお楽しみ。

春〜秋は場所がないので簡易コンポストを活用する。

百均の不織布のチャック付き収納袋に百均の園芸用土(圧縮ココヤシピートを戻したもの)を入れ、それをプラケースの中にセットする。底には育苗ケースを逆さにしてスノコ代わりに敷いている。

持ち手がついてて撹拌もしやすい。
最近形状が変わった。

コンポストは屋外に置いているので当然虫が発生する。最初はコバエの天国。数が多くてかなり鬱陶しい。気温が上がってくると、真の主=アメリカミズアブが卵を産みつけて繁殖する。幼虫がせっせと生ゴミを食べて分解してくれる。それと同時にコバエの数は減少する。コバエの卵も食べられているのだろうか?

アメリカミズアブの分解力は驚異的だ。虫が苦手な人には間違っても勧められないが、それが嫌でなければ夏場の生ゴミのあの不快臭から解放され、ゴミ出しの回数も激減して、ありがたいことこの上ない。

白かった幼虫はある程度育つと黒っぽい蛹になる。袋の中で蛹になって羽化するのもいれば、不織布の袋を食い破って外に抜け出すのもいる。さらにプラ箱から脱走するのもいるが、大抵は箱の底に溜まっている。それを時々庭の土の上に解放してやると、今度はスズメがそれを食べにくる。

目下の懸案は、プラの不織布袋。便利なのだけど、ミズアブが食い破るので、環境によろしくないように思う。近々古シーツか何かで袋を手作りしようかと思っている。

コンポストの近くには、コバエやミズアブ目当てにジョロウグモやコガネグモがよく巣を張っている。

邪魔になる巣以外は、取り払わないで、なるべく残すようにしている。
最初はアリのように小さかったクモが、秋の終わり頃まで生き残ると、立派な大きな親グモになる。

昨年の末、そうして生き残った最後の1匹が、コンポストの上のサッシの隅で、自ら産んだ白い卵塊を守るようにして息絶えていた。じーんとしてしまった。

そして翌春にはその卵が孵化し、小さな無数のクモたちが生まれていた。
そしたまたコンポストの近くにたくさんクモの巣ができている。

生命は繋がれ、循環する。
自分も少しでもその輪に関わりたいものだと思う。

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