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rewrite続・今昔物語、第六話

出先から戻った遠助は、震える妻の背を見て全てを察しました。

お前‥箱を開けたのか!遠助は恐怖に震える妻の背を見ながら声をかけました。

あの‥えっと‥。妻は恐怖のあまり言葉になりません。

何と言うことをしてくれたのだッ!遠助は箱の中身にぞっとしながら急いで蓋を閉じ、絹の布を包み直しました。

今から馬を飛ばせば唐の郷にある「段の橋」に間に合おう。箱を渡してくる。妻にそう言い、箱を抱え段の橋へ向かいました。

日は西に傾きかけています。遠助は必死に馬を飛ばし、段の橋を目指しました。

‥勢田橋にいた女房(家政婦)の言う通り、段の橋の袂に女房が現れました。

‥お待ちしておりました。静かに女房は言いました。遠助は絹に包まれた箱を渡し、勢田橋の女房の伝言を伝えました。

女房は受け取った箱を見て、‥お侍さま、この箱の中を見ましたね‥。と遠助を睨みました。

いやッ!私は‥決してその様なッ‥!遠助は言いかけましたが、女房は不快感を隠さず

何と礼儀知らずなお方。とんでも無いことをしてくれましたねッ!激しい怒りを見せ箱を持ち女房は何処かへと去って行きました。

暫しぼう然とする遠助。心なしか身体が重い。とりあえず馬に乗り帰宅する事としました。

家を目指す遠助。身体か重いのは気のせいではなかった。全身に強い倦怠感、呼吸はどんどん荒くなり今にも倒れそうでした。

何とか馬にしがみ付き、自宅まで帰ってこれました。

どうにも気分が悪い‥。遠助は呟き、戸口で待つ妻を見つけると

あれ程開けるなと言われていた箱を、お前は何も考えずに開けるなどと‥‥。と言い終わるのが早いか遠助はその場で倒れ、そのまま息を引き取ってしまいました。


物語の題名・美濃の国の紀遠助、女の霊に会ってついに死にたること。

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