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慧音のひとり言ーレミゼを語る⑥ー

ちょっと九州の大雨が心配ですが、僕は家でまったりパソコンとにらめっこです。慧音です。

さて本日は「レミゼを語る」第六回。ミュージカル『レ・ミゼラブル』きっての名曲、「I Dream a Dream(夢やぶれて)」を語ります。バックナンバーはこちらから。

I Dream a Dreamーー夢やぶれて

さて、「レミゼを語る」ではミュージカルの曲順で語りますのでここに来ますが、映画版だと以下の曲順になります。頭の丸数字はミュージカル版での曲順です。

①At the End of the Day(一日の終わりに)
ジャベールの着任の挨拶(ミュージカル版にはなし)
⑤The Runaway Cart(馬車の暴走)(前半)
③Lovely Ladies (The Docks)(波止場(ラブリィ・レイディ))
②I Dream a Dream(夢やぶれて)
④Fantines's Arrest(ファンティーヌの逮捕)
⑤The Runaway Cart(馬車の暴走)(後半)
⑥Who Am I? (The Trial)(裁き)

「The Runaway Cart」においてジャベールが「本物のヴァルジャンが逮捕されて裁判にかけられる」と伝えるのは「Fantines's Arrest」の後ですので、このように記載しましたが。

「I Dream a Dream」の位置がだいぶ違うんですよね。ミュージカル版では解雇されたそのままの落ち込みで歌いますが、映画版では身を売った後になる。だいぶ落ち込み具合というか、感情の揺れ幅が違います。ただ、スピード感というか、没入感を重視するミュージカル版では、やはり「Lovely Ladies」の流れのまま「Fantines's Arrest」に行ったほうがスムーズ。という感じですね。観せ方の違いが大いにあると思います。

さて、では曲自体の話に行きましょうか。

昔は男たちが優しくて、声は柔らかくて、言葉は誘っていた
昔は愛は盲目で、世界は歌で、その歌は刺激的だった
昔は。そして全てがうまくいかなくなった

昔を思い出すファンティーヌ。この「男」というのは原作に出てくるトロミエスという金持ちの大学生で、若き日のファンティーヌの夫、そしてコゼットの父親です。彼は遊びだったのでファンティーヌを捨てましたが、ファンティーヌは本気で彼を愛していたので……。そんなわけでお金がなくてにっちもさっちもいかなくなって、金のかかるパリから出て、テナルディエの家に子供を預け、一人故郷のモントルイユに働きに戻るわけです。お金が貯まったら迎えにくるからね、と言って。つらい。

過ぎ去った昔の夢を見たわ
希望が高く、生きる価値のある人生を送っていた頃の
愛は決して死なないと夢見ていた
神は許してくださると夢見ていた
そして、私は若くて恐れ知らずで
夢を作って、消費して、無駄にしていった
身代金は支払われなかった(その代償を知らなかった)
歌われない歌はなく、味われないワインもなかった

昔を思い返します。今ではあの頃に後悔。若く身の程知らずだったのだと。あの頃はただただ、喜びだけを追い求めていたと。次のパラグラフでファンティーヌを襲った悲劇が歌われます。

でも夜に虎たちが来た、
雷のような柔らかな声で
まるで希望を引き裂くように
まるで夢を恥に変えるように

雷のような柔らかな声、っていうのは多分虎の「ゴロゴロ」でしょうかね。実は、ここまでは「men」「their voices」「tigers」と複数形です。ですが、次のパラグラフでは「He」と単数形。明らかにトロミエスを思い出していますね。ついでにきっと、できてしまった娘コゼットも。
このパラグラフのラスト「As they turn your dream to shame」で一音ずつ上がっていくロングトーンがこの曲の最高音、B♭4です。直前の「As they tear your hope apart」がG♭3と低いので、順序を踏むとはいえ一気に音が高くなる、しかも3小節にわたるロングトーンですので肺活量も必要です。

彼は夏、私の横で寝た
彼は私の日々を果てしない驚きで満たした
彼は私の子供時代を歩んでいた(彼と私は共に歩いていた)
でも秋が来ると彼は行ってしまった
そして私はまだ、彼が私のもとへ来てくれると夢見ている
私たちはこれからずっと共に暮らすと
でもそれらは実現不可能な夢
そしてそこには乗り切れない嵐がある

トロミエス、罪な男よ。そしてファンティーヌは彼を忘れられない。悲しい。頭ではわかっているけど心が理解を拒んでいる、って感じですね。

私には私の人生がどうなるかという夢があった
(それは)今私が暮らしているこの地獄からは程遠く
今は見た目とは全く違う(今とは全く違う生き方)
今、人生は、私が見た夢に殺された

もうさあ、泣くしかないわよ。こんなん歌われたら。素晴らしい曲です本当に。

この日本語訳は僕が勝手に書いたやつなのでおかしいところもあるかも。10thの映像(日本版)はもう廃盤になってしまっているのでアレなんですが、10thの字幕がすごく綺麗なので、観ることがあればそちらも見てみてください。

10thはガッツリコンサートとして歌うのに対して、25thはちょっと演劇っぽくもあるので、この曲の始まりだったらファンティーヌの「工場から出ていく」芝居があります。そういうところ好き。

ちょっと調べていたら新旧演出でオケ編成も変わったみたいですね。誰か確証を持ってる人いたら教えてくださいな。

なんか今回もまとまらない文章になってしまった気がしますが。次回は「Lovely Ladies」です。それではみなさま、良い一日を。

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