「耳は聴こえなくなる」を前提としたミックス&マスタリング

タイトルからして老化の話か?難聴の話か?なんだなんだ?と思われたかもしれませんがそうでは無いです。

一部の周波数は、耳を使いすぎると一定期間聴こえなくなっていく、というものです。
僕は東京高井戸にボーカルレコーディングスタジオを運営しておりますので一日1~3曲程度ミックス作業をしています。ですから一般の人よりも耳を酷使している状態です。するとどうでしょう、レコードプロデューサー、エンジニアなんてものをしてなかった頃と違い、日々、周波数の聞こえ方が違うことに気がつきました。

よくあるのが、高音成分が聞こえなくなっていることです。
いや、正確に表現すると、

疲れてくると耳が許容する音量が下がっていく。

です。

どう言うことが起きるんだ?どう不都合があるんだ?
ということですが、例えば、ミックスをし、マスタリングをします、当然耳に刺さるような成分、例えば3.5khlz、4khlz、5khlz、10khlz、など、をディエッサーや、Dyn-EQで下げておきます。

こうして完成した音源を次の日、耳が回復した状態で聴くと

あれー???高音が足りなくてちょっともこもこしてる?抜けが悪い?なんか元気のない音源に聞こえる???

ということになります。
つまり前日の耳は、許容できる音量が下がっていたんです。黒板を爪でキーってやると耳が痛いですよね?でも痛くないって人もいますよね?あれは耳の許容の違いです。
耳が疲れていると、この黒板キーみたいなのがより痛く感じるようになる。
ということです。

ではどう対処するべきか

  1. 耳がちょっと痛いなぁキンキンするなぁ、くらいのマスタリング状態で書き出しておく。

  2. 次の日など耳が疲れてない日に改めて周波数の見直しをする。

で解決します。はい、とっても簡単です。

簡単なんですが、僕のスタジオは時間貸しスタイルのスタジオなんです。なので次の日に再編集を依頼された場合追加料金を頂かないといけなくなります。それでも良いよって言っていただける事も多いのですが、できればお客様の予算を予定より増やさないようにする必要があります。

なので、きっと今の自分の耳はこういう状態だろう、と予測してミックス、マスタリングをしています。
例えば、耳がキンキンして痛いなぁ、と感じたら、一旦は下げて書き出しますが、さげないまま書き出す、もしくは下げた上でさらにHigh全体を少しだけブースト(1db〜2dbくらい、ちょっと痛いなぁくらい)
でも書き出します。
両方のデータをお渡しして後日好きな方を選んで使用してもらう。



マスタリングエンジニアの方も言ってました、データをもらった時は大抵Highのブーストから行う、と。ミックスの段階でみんな耳が疲れているんでしょうね。


音声データ編集の仕事で、歯擦音を下げてくださ、と追加編集依頼がついこないだ来て、しかたなく下げましたが、1週間後に同じデータを聞いたら、もっこもこのMuddyなサウンドだったため、こっそりHighを4db戻しました。
極秘情報です。笑

おそらく担当社員さんは重労働で耳が疲れていたんだと思います。



最近ミックスの勉強をしたいが教えてくれる場所がほとんどなく、またあったとしてもあまりピンとこない、と言う声が増えてきました。
ボーカルとオケのミックスレッスンを受けたいという方がいましたら声をかけてください。やるかどうかは分かりませんが多い場合はそういう場を設けたいと思います。


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