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男性ばかりの中学国語教科書

国語の教員免許も持っているので、
カナダに高校留学している高校生や、インターナショナルスクールに通う生徒さんに、国語や作文のレッスンもしています。

読み物が必要なので、光村図書の国語の教科書を取り寄せて使っています。
今、手元にあるのは令和2年検定済の中2の国語の教科書です。
この教科書、びっくりするくらい、男性ばかり登場します。
気のせいかな?と思って、確認してみました。

筆者の多くは男性

教科書の目次には、文学作品、詩、論文の題名と、それぞれの作者や筆者の名前が表記されています。
目次に見られる筆者の名前(翻訳者含む)の数は24、その中で女性は、清少納言を含む6人です。

ちなみに、目次には名前が出てきませんが、
「季節のしおり」というページが、春、夏、秋、冬、の順にところどころに登場し、四季折々の情景を詠んだ短歌や俳句が紹介されています。
合計で11の作品が紹介されていて、男性によって書かれたものが9首、女性の作品が1首で与謝野晶子によるもの、そして残り1首は詠み人知らずです。

また、報告・評論・論説・解説などに分類された論説文の筆者の数は、男性が7人、女性が2人です。

以上の数字から、男性によって書かれた作品が圧倒的に多く選定されていることが分かります。

登場人物も男性ばかり

この教科書には3篇の小説が選ばれています。
椎名誠の「アイスプラネット」
三浦哲郎の「盆土産」
太宰治の「走れメロス」
作者は全員男性です。

「アイスプラネット」は、主人公「僕」と、居候のおじ「ぐうちゃん」の交流を描く物語で、登場人物は男の子と男性です。
「盆土産」の主な登場人物は主人公(男の子)、主人公の姉、祖母、父の4人ですが、物語は主人公と出稼ぎから帰ってきた父を中心に展開されます。
「走れメロス」の登場人物はメロス、妹、妹の婿、メロスの友セリヌンティウス(男)、セリヌンティウスの弟子フィロストラトス(男)、暴君ディオニス(男)ですが、物語は主にメロスの独白で構成されています。

このように、それぞれの小説の主人公も、みんな男の子と男性です。

また、古文では、次の3作品が紹介されています。
清少納言の「枕草子」
「平家物語」から「扇の的」の場面
「徒然草」から「仁和寺にある法師」
漢詩の世界で紹介されている詩人は、お馴染みの杜甫、李白、そして孟浩然の3人で、すべて男性でもあります。

清少納言の「枕草子」が唯一、女性の感性や視点から紡ぎ出された随筆です。
平家物語は武士の活躍を描く軍記物語、徒然草は出家した男性歌人による随筆です。

現代の随筆は2作品が掲載されています。
大岡信の「言葉の力」と向田邦子の「字のない葉書」
「字のない葉書」は向田邦子(女性)によって書かれてはいるものの、
ご自身の父親の思い出が描かれているので、読者に父親(男性)の印象を深く焼き付ける作品です。

このように、教科書の作品中に登場する人たちも、架空であれ、また歴史上の人物であれ、そのほとんどが男性なのです。

ちなみに、巻末に表示されている編集委員の数は27人、そのうち女性は5人です。

光村図書の他の学年の教科書や、他の教科書出版会社の教科書も気になりますね。

さて、新しい一週間の始まりです。
今日のレッスンはカナダ人の小学生が2人、大人が2人、そしてこの中2の国語教科書を使っている日本人の生徒さんです。
今週も、楽しんでいきましょう。








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