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子どもアドボカシーと子どもの権利〜子どもアドボカシー基礎講座1日目

2月6日から始まった、連続講座「子どもアドボカシー基礎講座」を受講中です。子どもアドボカシーセンター広島と、子どもアドボカシー研究会が共催する講座で、週末を利用した全5日間の日程の1日目の受講記録です。

子どもアドボカシー基礎講座概要

<子どもアドボカシーとは>

講師:堀正嗣
熊本学園大学、著書「子どもアドボケイト養成講座

◆子どもアドボカシーとは

✅語源
Advocacy=弁護、支持、擁護、唱道=「(権利を侵害されている当事者のために)声を上げること」
Advocate(名詞)=弁護者、支持者、擁護者、唱道者=「子どもの声」

✅アドボカシー=マイクになること(イギリス)
子どものマイクになること、子どもの声は小さくて社会に届かないため大きくすること、と定義されています。子どもが主導し、マイクのスイッチは子どもが握っています。言いたくないこと、秘密にしておきたいことは勝手に話されません。

✅マイクが必要な理由
「女子供は黙っていろ(日本)」に代表されるように、黙らされる、押さえつけられる経験は誰もが子ども時代にしています。子ども差別(アダルティズム・抑圧主体は大人)への異議申し立てとしてのアドボカシーでもあります。

◆アドボカシーを必要としている子どもたち

例えば…
✅児童養護施設の子ども・わかもの
✅刑事事件を起こした子ども
✅福祉サービスを利用する子ども(障害児など)
✅親の離婚に直面する子ども
✅いじめに加担した子ども
✅不登校の子ども
✅若年妊婦

◆子どもアドボカシーの3つの形

セルフアドボカシー=「ひとりで言えるよ」
アライ=「でもそばにいて欲しい時もあるんだ」
アドボカシー=「代わりに言って欲しい時もあるよ」

◆アドボカシーいろいろ

✅個別アドボカシーとシステムアドボカシーの協働
✅アドボカシージグゾー=組み合わさって効果的に

個別アドボカシーシステムアドボカシーの協働
子どもの困難は構造的な問題を根本としており、個別アドボカシー(意見表明支援・代弁)とシステムアドボカシー(政策提言・制度改革)の共同が必要。

アドボカシージグゾー=組み合わさって効果的に
子どもの周りのアドボカシーには
フォーマルアドボカシー(専門職)
インフォーマルアドボカシー(市民)
ピアアドボカシー(仲間)
独立/専門アドボカシー(専門アドボケイト)
がいて、これらが組み合わさって協働することで効果的に声を上げることができます。

(午前を終えての感想)
私自身は子どもを与え与えられる対等な存在だと考えています。アドボカシーの存在意義が、子どもを守り与える存在である方向へ偏っているように思え、そのこと自体が子どもの声を封じてしまうのでないかという心配が生じました。(午後の講義へ)

<子どもの権利条約を読む>

講師:昇慶一
常盤会学園大学

◆基本的人権について(権利の大前提)

基本的人権は「人間が生まれながらに持っている必要不可欠で基本的な権利」であり、他人の人権を侵さない限り認められるもの

間違った論説として、「義務を果たさない者に人権はない」や「権利と義務はセット」と言った言葉が挙げられ、これらは「契約」の場合の話だということです。

セーブザチルドレン子どもの権利条約

◆子どもの権利4つの原理

子どもの権利条約について、国連の「子どもの権利委員会」が4つの原理として整理しています。

✅差別の禁止(第2条)
✅子どもの最善の利益(第3条)
✅生命への権利(第6条)
✅意見表明権(第12条)

◆子どもの権利4つの柱

子どもの権利条約について、ユニセフが4つの柱を整理しています。

✅生きる権利
✅育つ権利
✅守られる権利
✅参加する権利

子どもの権利条約(ユニセフ)

◆意見表明権への2つの支援

意見を表明する機会の保障を基盤に、以下の二つの支援が必要とされています。

✅意見表明支援=意見を表明するための支援
✅意見形成支援=意見をまとめるための支援

意見形成支援を行うにあたっては、こんなことが必要とされます。

✅子どもと支援者の信頼関係
✅傾聴し理解
✅伴走
✅情報提供
✅意見を形成、表明する力の育成

◆意見表明権と子どもアドボケイト

昇さんが講義の最後に力を込めて話したのが、「アドボケイトは公平中立な立場ではない」ということでした。アドボケイトは「完全に子どもの側に立つ存在」であると締め括られました。

(感想)
子どもの権利条約を真正面から学ぶことができ、とても勇気づけられました。子どもとの関わりで迷いが生じた時に立ち返り、読み直すべき物だと感じます。午前の講義での疑問にバランスが取れたように思いました。

<アドボカシーをライフスタイルに>

講師:原京子
子どもアドボカシーセンターNAGOYA

◆子どもの権利を阻むもの、妨げるものとは

参加者全員でワークを行いました。「大人の”よかれ”が良くないこと多いよね」「”前例がない”とか…」「”子どものくせに”とか…」これらは大きく4種類に分類されます。

✅大人
✅伝統
パターナリズム=強者が弱者の利益のためだとして意思を問わず介入・干渉・支援を行うこと
アダルティズム=子どもは大人の支配下にあるという考え方。若年者への偏見

子どもの権利を阻まず、妨げないために、前述の子どもの権利4つの柱(生きる・育つ・守られる・参加する権利)を忘れずに。

◆「〜してあげる」「〜させる」からの脱却

子どもの権利を守るために必要なこととして以下のものが挙がりました。いずれも何かとよく使いがちな「〜してあげる」「〜させる」から脱却するために大切なことです。

✅境界線理解
✅傾聴と共感
✅審判や評価をしない
✅肯定的メッセージで伝える(アサーティブコミュニケーション)
✅I(アイ)メッセージで伝える
✅フェアである
✅子どもの力を信じる
✅子どもの声を聞く

(感想)
「アドボカシーはライフスタイルである」という言葉が、心地よく腑に落ちました。自分や大人が考える「子ども像」ではなく、「目の前のその子」を見つめて寄り添っていきたいと思います。


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