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不登校の子どもの命を守ってください。

先日、7月11日日曜日。千葉県松戸市のオルタナティブスクール「地球の家」の8周年記念イベントで、不登校の保護者として少しお話をしました。その時話した言葉に予想以上に反響をいただき、驚いています。

話したのはこの言葉です。

「親はいろいろな(子どもの)将来を思い描くけれど、そのどの未来にも子どもが生きていなければ意味がない」

<目次>
私の言葉へいただいた反響
この言葉が生まれた背景
不登校は子どもの命をかけた選択です
理由の分からない不登校も命の危険がある
学校に行けない子どもの自信は危機的状態
子どもが感じる困難をおとなが勝手にジャッジしないでください
子どもの語ること、語らないこと、語れないことを聴いてください
子どもの命を守るおとながひとりでも増えますように

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◆私の言葉へいただいた反響

地球の家代表の亜希子さん

参加者「ゆるっと♪柏」代表ぺいさん

司会「地球の家」副代表の銭さんFacebook投稿

​https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=5762074200534006&id=100001944501907

不登校ごときで「子どもが生きていなければ」なんて大袈裟だと思うでしょうか。思う方も多いかと思います。しかし、これは私が差し迫って感じた、実際の生々しい危機感です。その背景を説明したい、そして少しでも理解してもらいたいと思って書いています。

不登校は子どもの命をかけた選択です。それをできるだけたくさんのひとに知ってもらいたい。そして、困難を感じている子どもを追い詰めないように行動してほしいと願っています。

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◆この言葉が生まれた背景

我が家は第一子が小6で登校不可能になってから、下の子2人も順繰りに学校に行けなくなり、今年で不登校生活7年目を過ごしています。

頑張り屋で体力オバケだった息子①が複数の病気を立て続けにして倒れ、起き上がれなくなり、起立性調節障害が重ためだと言う診断を受けました。一日中走り回っていた息子が、寝たきりになった日々。良く思い出すことができません。

確かその頃、Facebookにそのことを書いたのです。そうしたら、古い知り合いがメッセージをくれて、「学校には行かせたほうがいいよ。どんな理由であれ、行かせないのは良くない」と。

行ける状態ではない、と話しても、それは甘やかしだと彼は譲りません。長い押し問答のやり取りがあり、最後に我慢できずに叫ぶような気持ちで叩きつけたのが、冒頭の言葉でした。

「親がどんな未来を思い描こうが、その未来に子どもが生きていなければ意味がないんだ」

「頑張ってね」と返答をくれて、彼は黙りました。それが切り捨てたのか、率直な励ましだったのか、私にはわかりません。

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◆不登校は子どもの命をかけた選択です

不登校は子どもが学校に「行かない」ことだと受け止める人には理解できないのかもしれません。子どもは「行かない(選択)」のではなく、「行けない(不可能)」なのです。

我が家の息子①は分かりやすく病名がついたからまだ良かったのです。

起き上がれず、泣きそうな顔で「だるい」と言い、食欲もなくし、お風呂にも入れず、どんどん気力を無くしていく彼を背負うようにして、何軒もクリニックを回りました。小児科、小児神経科、心療内科、児童精神科。

やっと診断が降りた児童精神科で私は恐る恐る尋ねました。「鬱状態と起立性調節障害の関係はなんですか?」主治医は明快に答えました。「起立性調節障害の方が、うつ病の一症状と言う見方があります」

うつ病は命の危機のある危険な病気です。この時、私のすべきことが見えました。彼から目と心を離さないこと。大切だよ、大好きだよと伝え続けること。子どもの命と比べたら、学校に行かせたい自分の思いも、理由も、世間体も、私のキャリアも瑣末なこと。

一方、これは息子①の状態を説明する力と言葉を得た瞬間でもありました。その後、学校と教育委員会に説明しやすかった上に、理解を得るのも早かったのです。

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◆理由の分からない不登校も命の危険がある

学校に行けなくなる子の、もしかしたらほとんどが、病名がつかず、理由もわからない状態かもしれません。だからと言って、病名がついている子よりも気が楽だろうとか、辛くはないだろうとか言うことはありません。

息子①が倒れたのが4月の終わり、記憶も朧げな3ヶ月を過ごし、9月の頭に、息子②が登校不可能になりました。

ランドセルを背負った途端に体を硬直させる朝が続き、体に触れると異常に緊張し、身動きもままならない、呼吸も怪しい状態。本人も訳がわからず涙を一筋流す。「学校行かなくていいよ、行っちゃダメだよ(許可よりも禁止が必要だと考えたので)」と話すと、ゆっくりゆっくり解けていくのが分かりました。

そんな朝が続きました。その間、日数や実際に学校はどうしていたのか?記憶にありません。それほどの異常事態でした。

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◆学校に行けない子どもの自信は危機的状態

理由が分かってもわからなくても子ども本人は、学校に行くという「みんなができること」が自分にはできない、と言う事実を重たく受け止めます。できない自分は「できない子」「いけない子」「出来損ない」「甘えている」「サボっている」「弱い子」「悪い子」子どもそれぞれに自責します。

毎日「登校できない自分」を思い知り、自覚し、自責します。そうして、毎日自信をすり減らして行きます。

これは元々「自分はできる子」という自信があった子でも同様です。むしろ、「できていた自分」を失った気持ちになって、大きく自信が損なわれることもあるかと思います。

学校に行けない子どもたちの自信のすり減り方は危機的です。「どうせ僕(私)なんか」が募り、「役立たず」「迷惑ばかりかけている」「害がある」「いない方がいいんじゃないか」「死んだ方がいいんじゃないか」とまで至っていることが多いように感じます。

しかし、その思いを子どもの口から聞くことができるのは稀です。言葉にすることもできないほど辛いからです。苦しいからです。

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◆子どもが感じる困難をおとなが勝手にジャッジしないでください

ほんとうにつらい時、苦しい時、それを身近なひとに伝えることができて、助けを求めることがスムーズにできるひとはどれほどいるでしょう。つらければつらいほど、苦しければ苦しいほど、それは言葉にすることが困難で、自分の中に溜まっていくものではないでしょうか。

それでも、何度か奇跡的に伝えることができ、改善した経験を得たひとは、伝えることが改善の有効な手段だと知り、表現のハードルを下げていくことができるでしょう。しかし、子どもにはその経験が乏しい。

子どもが語らないからといって、何も起こらなかったことにしないでください。子どもはおとなに言わないこと、言えないことをたくさん抱えています。それは信頼していないからとは限りません。大切なひとを悩ませたくなくて黙っていることも多いのです。

子どもが語ったつらさや苦しさを「そんなことくらいで」「もっと頑張っているひとがいる」などと言わないでください。子どもは体験したつらさ苦しさを再度強く体験することになります。不要な傷つきを増やさないでください。

子どもが感じている困難を、おとなが勝手にジャッジしてはならないと考えています。

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◆子どもの語ること、語らないこと、語れないことを聴いてください

子どもは難しいことに、「おとなの注意を引かないように」大切なことを話します。何気なくさりげなく、それこそ親が忙しくしている時を狙って、嫌だったこと、傷ついたこと、苦しかったことなどを話してきます。

私はそれを聞くためにいろんなことを手放してきました。そうやって時間を作った時には話さずに、やっぱり忙しくしている時に「聞き流して欲しそうに」話し出す、ということもありました。それでも、いつでも全身全霊で聞くよ、という姿勢を伝え続けるのは大切だと思っています。

我が家の子どもたちはよく話しますし、「思春期にもなって親に隠し事がないなんて」と笑って嘆く子どもたちですが、それでも語らないこと、語れないことはあると考えています。

子どもから語られる言葉の後ろに、語られないこと、語れない言葉が浮かび上がってくるかもしれない、と思っていつも全力で話を聞いています。(できない時もありますが)

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◆子どもの命を守るおとながひとりでも増えますように

「学校に行かない」という「やらない」選択をしただけで、何がそんなにつらいのだろうと思うひとは少なくないように感じます。「不登校は子どもの命をかけた選択」だと先に書きましたが、この表現は正しくありません。

「選ぶ」という言葉は怖い表現です。本人が意志を手にそう言う時は最高に力強く素敵な言葉になりますが、ネガティブな立場に追い込まれて、「選ばざるを得ない」ひとや状況はたくさんあります。そのひとつが多くの不登校です。

子どもたちの感じている困難を勝手にジャッジせず、語られる言葉を聞いてください。語らないこと、語れないことも聴いてください。子どもたちをこれ以上追い詰めないでください。

子どもたちの心に想いを馳せて、命を一緒に守ってくれるおとながひとりでも増えますように。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

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私は千葉県松戸市でこんな活動をしています↓

★【はらっぱとそらプロジェクト】@千葉松戸は「困難を感じている子どもたちの自信を回復する」お手伝いをしています。

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★末っ子娘とその友人と運営している「まつど*あそびラボ」は「10代が作る10代の居場所」です。

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