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障害を選ばないハンドサッカーを体験

東京都ならびに東京都障害者スポーツ協会のお仕事で、「第23回東京都障害者スポーツ大会 オープン競技 ハンドサッカー」に参加させてもらいました。通常のサッカーではハンドは反則です。なのに「ハンドサッカー」って何?と思う方もいるかと思います。まずは簡単に競技のことを説明していきましょう。

多くのパラスポーツは、障害の種類や重さによって、平等になるようにと細かくクラス分けがされています。一方でハンドサッカーは「障害を選ばないスポーツ」と呼ばれ、障害の種別や重度を問わず、誰もが一緒にプレーできるというのが最大の特徴です。

チーム構成はゴールキーパー(GK)が1名、フィールドプレイヤー(F)が4名、スペシャルシューター(SS)が1名、ポイントゲッター(PG)が1名という7名1チームとなります(選手交代は自由)。Fは障害の重度によってボールを保持できる時間が10秒、5秒、3秒に分類されます。大きな特徴としては、メインゴールとサブゴールの2種類があり、3つの得点方法があることです。

一つ目の得点方法は、メインゴールへの直接シュート。これが決まった場合は3点が入ります。二つ目の得点方法は、SSによるシュート。SSにボールがわたると、シュート2本の権利を得られます。SSが自ら設定した課題(成功率が50パーセントになるようなシュート)でサブゴールに向かって2本シュートをして、決まれば1点が入ります(最大2点)。三つ目の得点方法はPGにパスが通った段階で1点。さらにPGがメインゴールに向かって、自ら設定した課題(成功率が50パーセントになるようなシュート)でシュートをして決まれば1点が入ります。

SS、PGのシュート方法は障害の度合いによって様々です。ボールの大きさや硬さはバラバラで、投げ方も、手で投げるのが難しい方は、ボッチャのランプを使ったり、あるいは車いすでボールを押すような形だったりと多種多様。自分が成功できるか失敗するか半々くらいの難易度の課題を設定してチャレンジします。簡単すぎたのでは達成感を得られないので、確率50パーセントくらいの難易度の課題に挑むというわけです。

みんなに平等にチャンスがあるようにルールが設定されているため、年齢が違っても、障害が違っても、一緒にプレーすることができます。今回、私は「Bremen Nexus」というチームに入れてもらいました。一番の年長者が55歳、11歳と12歳の小学生もいるバラエティーに富んだメンバーです。

1試合目はFで出場。私は3秒しかボールを保持できないので、なるべくチームメイトと近い距離にいるように心がけます。車いすのプレイヤーが思った以上に速く、最初はプレースピードに戸惑いましたが、チームメイトの特徴を知ると、自分がどういうプレーをするべきかがわかってきました。

5秒プレイヤーは上肢の力があって、多少遠い距離でもパスを出せるので、少し離れた位置にいてもいい。10秒プレイヤーは、ボールを持ってから動ける時間が長いので、動きやすい位置でパスを出してあげれば、ゴールやSS、PGの近くまで一気にボールを運べます。車いすのプレイヤーの視界に入る位置に必ずポジションをとる…というように、それぞれの特徴を理解してプレーすると、うまくボールが運べるようになっていきました。

そしてSS、PGにボールがわたると、それぞれが成功率50パーセントの課題に挑んでシュートをします。みんながつないできたボールをシュートするので責任重大。一生懸命課題に取り組んでシュートを決めてくれると、思わずハイタッチに駆け寄ってしまうほど、みんなで一緒に喜ぶことができました。

2試合目はチーム事情でPGを務めました。今度はみんながボールをつないできてくれるのをPGエリアで待ちます。そしてボールが自分のところにきてキャッチすると、まずは1点。続いてもう1点取るための課題に挑みます。「頼みますよ!」「頑張って」とチームメイトから声をかけてもらい、プレッシャーとともにやる気十分。

私の課題は制限時間1分以内に車いすでボールをコントロールしながらコーンを回って、ボールをゴールに入れるというもの。時間制限があるため焦ってしまいますが、ここでも「まだ大丈夫」「車いすの角を使って」と仲間が声をかけてくれます。そしてゴールが決まったときの達成感と、チームメイトが喜んでくれる姿がなんとも嬉しく、本当にみんなで一体となっておこなう競技なんだなということを実感できました。

車いすに乗って課題にチャレンジ

障害者とか健常者とか関係なく、一緒にチームメイトとしてプレーができ、また対戦チームの選手が課題をクリアしてシュートを決めたら心から拍手ができて、すごく素敵なユニバーサルスポーツだなと思いました。

障害者の方が初めてスポーツに挑戦するときには最適な競技の一つであり、オープン大会には健常者の方も参加できます。いろいろな障害のある方と交流できる貴重な機会をぜひ体験してもらいたいと思います。すごい一体感、仲間感を味わうことができます。

初めての参加でありながらそこそこ活躍できたので、試合後に11歳の男の子に「おじさん結構頑張ったでしょ」と言ったら、「まあまあだね」と言われました(笑)。最高です。

おわり。

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