見出し画像

日本の、日本人の素晴らしさを体感した話

暑い日が続き、物騒なニュースばかりの昨今ですが、先日、日本の人たちの素晴らしさを身をもって体感する出来事がありました。

日曜日の夕方、取材を終えて帰宅する途中、新宿駅でJRから小田急への連絡口に向かっていると、突然、目の前で女性が倒れてきました。暑さによる熱中症かと思いきや、目を見開いた状態で体が固まっていて、ただ事ではないことが瞬時にわかりました。

声をかけても反応がなく、ゆっくりマスクを外して脈を確認すると、首でも手首でも脈が振れておらず、慌てて「救急車」「AED」「駅員呼んで」と叫んでいました。すでに事態を見て動いていた人がいたようで、10秒と経たないうちにAEDは届き、「いま電話してるから」という声も聞こえてきました。

さらに「救命資格持ってます」という方、「看護師です」という方が駆け寄ってきてくれて、脈が振れてないことを改めて確認して、すぐにAEDをつけて、心臓マッサージを開始。AEDの音声からは「電気ショックの必要はありません」とアナウンスがあり、脈、呼吸が戻ったことがわかりました。

看護師の女性は意識のない倒れた女性に「バッグ失礼します」と声をかけてから、所持品をチェック。てんかん薬を発見し、「おそらくてんかん発作だと思います」と、こちらに向かっている救急隊員に報告していました。

そうこうしているうちに、野球観戦に向かう途中であろう男性から「隠してあげましょう」と、阪神タイガースのユニフォームとタオルを渡され、周りにいた数人でカーテンのようにして、見えないようにしました。目の前で人が倒れてきて動揺していた私は、そこまで気がまわりませんでしたが、倒れた方は女性であり、瞬時に気づかいができたこの阪神ファンの方の冷静さは、すごいなと関心してしまいました。

この間、ほんの数分です。一人の人が倒れ、まったく関係ない人たちが瞬時に見ず知らずの人を救助するために動き出したのです。私自身は何もできませんでしたが、人の優しさに感動しました。

その後、JR、小田急、双方の駅員さんがまわりを囲うゲージを持ってきて、「医療関係の方以外の方は下がってください、ご協力ありがとうございました」と指示があり、ここでお役御免。倒れた方はまだ意識が戻っていないようでしたが、間もなく救急隊もやってきたので、きっと大丈夫だったと思っています。

冒頭に記したように、昨今は野蛮なニュースも多く、日本は平和な国ではなくなってしまった印象もあります。しかし、見ず知らずの人を助けよう、プライバシーを守ってあげようと、咄嗟の判断でたくさんの人が動けるということを体感し、日本人は捨てたものではない、日本はいい国だなと実感しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?