浅間明月記7



 【朝の日課】2023年6月17日
 朝の日課は小鳥への餌あげ(撒き餌・小粒の向日葵の種)、栗鼠
への餌あげ(胡桃・向日葵の種)、人工芝の落ち葉の掃除、花壇等
の草取りである。雨の日は掃除と草取りは休みにしている。
 苔庭の雑草切りも私の担当だがこちらは日課ではなく気が向いた
時に行っている。

 小鳥達には餌あげ爺と認知されたようで私の姿を見ると大声で呼
び合っている。栗鼠は向日葵の種は餌台で急いで食べるが胡桃は持
ち去って安全な場所で食べている。夜は餌台で食べているようで綺
麗に割れた胡桃の殻が落ちている。
 落ち葉の掃除をしていると隣地のイチイの枝の間から音がした。
栗鼠が胡桃を割ろうとしていた。手(前足とは言いたくない)を上
手に使って時間をかけて齧っている。驚かさないように掃除の場所
を移動した。

 時々狐の仕業と思われる手袋やサンダルの紛失がある。先日雨の
日に狐が庭に来た。気付いた愛犬がガラス越しに吠えたが、逃げ道
を熟知しているのか悠然としていた。宅地に狐が来るのかと考えた
が話は逆で彼らの昔からのテリトリーに我々が入り込んだだけだ。
餌がもらえる小鳥や栗鼠は弁済を受けているともいえるが、狐に取
ってはサンダルを持ち去るくらいでは憂さは晴らせないのではない
かと思う。

 人工芝にしてから落ち葉が気になるようになった。秋は一面の椛
の落葉を眺めた後一気に掃除することが可能だが、初夏の団栗の落
花やイチイの葉の生え変わりは芝の目に入ってしまい手間がかかる。
朝食前の適度な運動を超えている。

 新築当初の庭は一面フキだらけだった。地下茎は別として表面部
分は一掃した。その後芝がなかなか根付かず雑草がたくましく繁茂
してきた。
 人工芝に張り替えたのでその周辺と花壇の雑草取りが日課となっ
た。スギナが群生していたので私の独善的判断でフキに変わる敵性
植物はスギナとした。地下茎までは除去できないので地上部を殲滅
させて光合成による地下茎への補給を弱めようと考えた。僅かに芽
を出しただけでも目についたものは全て抜いている。
 冬を除くと一年中終わりのない作業なので、スギナの駆除対策に
ついて調べてみた。説明を読むと除草剤が付いた手袋のまま地上部
のスギナの全面に除草剤が塗布(とふ)されるよう撫でるように1
本ずつ丁重に付けていくと葉が除草剤を確実に吸収して地下茎に送
るので地下茎が枯れると書かれていた。陰湿な作戦なのでこの化学
兵器は使用しないことに決定した。
 花壇の先の隣地にスギナの大部隊がいるので専守防衛だけでは限
界を感じ隣地との境界線をはみ出したところまで攻撃を仕掛けてス
ギナを一掃した。このような越境の攻撃は何回も繰り返せないので、
通常は専守防衛に徹している

 花壇の雑草取りは隣地に大本営がある部隊との戦いである。地上
部の出てくるところは予め予想できるが時々想定外の所から出てく
る。先日も芝桜に隠れて成長している小隊に遭遇した。そんな時は、
「こんなに大きくなるまで気が付かずにごめんね」と言って一気に
引き抜いている。

 敵を理解するために調べてみるとスギナは繁殖力が強く地下茎が
しっかりしているので地上部を抜いても抜いても生えてくると理解
していたが、光合成の確保が必須なので意外なことに背丈のある雑
草と並ぶと負けてしまう競争に弱い一匹狼タイプだと分かった。一
瞬同情する気になったが上にはとことん弱いのに下には強圧的だっ
た存在を思い出して戦闘モードは持続することにした。

 スギナにとって私は明確な敵だが、私はスギナと一緒に終わりの
ないゲームをやっているような気がしている。典型的な消耗戦であ
るがスギナの繁殖力を考えると手抜きはできない。
 冬は停戦協定が成立する。来年の戦いを有利に展開するためにも
夏から秋口の戦いが重要である。

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