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【プロ野球】開幕から1週間の投手起用方法の大切さ・・・数字より各投手の心情を優先に

1.はじめに

 プロ野球のシーズンが開幕してから1週間。各球団が2カード(5〜6試合)を消化し、先発ローテ投手の大部分が登板をし終えた。
 近年、多くの球団は先発投手の球数を、100球程度を目処に、継投へ移る準備を進めているが、それ以前では150球を超える球数は当たり前で、試合展開により投球にアクセントをつけていた「先発完投型」の筋肉と、現役投手の筋肉の質は異なり、現在の投手は試合の中で100球を精一杯投げ切ると、しっかりと肘・肩・腰などに疲労も蓄積される。また、この100球を目処とする判断は、それぞれの先発投手がシーズンの流れに乗り切った(4月中旬〜下旬頃)状況で適用すべきもので、開幕前のオープン戦での登板は、気温の低さや、シーズンに向けての取り組みなどで条件が整わない事が多く、開幕前に試合で100球以上投げてきた投手はごく僅かだ。従って、シーズンが開幕したから100球程度は投げられるであろう、の考え方は乱暴で、シーズン初登板の緊張感の疲れも軽視はできず、いきなり100球を超える投球で身体に負担を与えると次回以降、もしくは疲労の出やすい梅雨時期の登板に、しわ寄せが及ぶケースは少なくない。影響がほとんどないと言える条件は、年齢が回復の早い20代前半で前年までにシーズンを通して先発ローテに入って登板した事のあるような投手。これらの条件に加えて、開幕までに問題なく調整を進められてきた投手であり、基本的には試合展開も関わるが、キャンプ〜オープン戦を順調に過ごしてきた投手でも、80〜90球程度で投手に余力のある状態で降板させるのが、シーズンを通して安定感のある登板を与えられるスタートと言える。また、前年度までの登板経験などにより、シーズン初登板の緊張感は各投手で違ってくるため、それぞれの投手の様子を深く観察して、球数やイニング数を決めて、継投に入らなければならない。シーズン1試合目の登板で、初回から良い投球ができていたとしても、降板直前に制球が定まらなくなったり、連打を浴びて打ち込まれたりすると、スッキリした気持ちになれる投手は少ない。こうなると、次回の登板で余計な力みが生じ、本来の投球ができるまで、数試合を調子の波の大きい登板にしなければならず、チームにとっても痛手となる。シーズンを通して、本当にその投手の活躍を期待するならば、リフレッシュしているブルペン陣に、余裕を持ってバトンを渡すのが賢い選択だろう。リリーフ投手は開幕から1カード(3試合前後)、登板機会がないと、開幕直後の高揚感の影響で、普段の3倍くらい長く感じる。登板がない状態で2カード目に入ると、試合感覚も薄れてきて、本来の力を発揮するのは容易ではない。開幕後、1日でも早く初登板を与えてあげるのが、各投手に本人の存在意義を感じさせ、言葉の要らない信頼関係が築けるものだ。

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