大手一憲

板橋区志村坂上ゆき歯科医院。noteの記事は主に歯科医療従事者向けの記事を書いています…

大手一憲

板橋区志村坂上ゆき歯科医院。noteの記事は主に歯科医療従事者向けの記事を書いています。 https://www.yuki-dc.jp/

最近の記事

なぜゆき歯科医院は最高の医療をリーズナブルに提供できるのか(1)前書き

こんにちは、ゆき歯科医院です。 これまで、質の高い歯科医療を提供するための医院づくりを中心とした、様々な記事を書いてきました。 これらの記事は、当院と志を同じくする皆さんのお役に立てる記事だと自負してはいますが、いまひとつ断片的で、全体像がつかみにくかったように思います。 また、思いのほか歯科医療従事者以外の方に読んで頂く機会が多く、経営者の方や患者さんから反応が頂けたことも意外でした。 そこで、あらためて、当院で提供している歯科医療を全体から俯瞰して整理すると共に、歯

    • 矯正歯科専門の歯科医院へのお願い [一般歯科より]

      Xでこんなポストを拝見しました。 矯正医として著名な、ねこじ先生のポスト。 自ら矯正専門歯科医院を開業されるにあたってのポストですが… ポイントは「矯正医も虫歯をチェックすべき」という話。 これ、確かに良心的な矯正医の先生ほど、このような勘違いをしがちな気がしたので、今回はこれについて語ることにしました。 結論:検診だけ勧めてほしいさて、最初に結論を書いてしまうと、 一般歯科としては矯正医の先生に虫歯のチェック・診断はしてほしくないです。 じゃあどうしてほしいかと

      • 歯科の世界では、近しい仲間や目の前の先輩から学んではいけない

        同業者同士で情報を交換し、学び合う。 先輩から教えてもらう。 自分が先輩になったら積極的に後輩に教えてあげる。 こんなふうに積極的に学び、あるいは教えることは、とても良いことのように思えますよね。 先輩が後輩に教えるという行為は、後輩が学ぶことができるだけでなく、先輩自身の学びにもなる、一石二鳥の手です。 実際、多くの世界で、これは良いことでしょう。 私自身、他の世界と同じように、歯科の世界でもこれは良いことだと思っていました。 でも実際は全くそうではないということに

        • 症例発表をするとき/見るとき 最初に意識すべき大事なポイント(歯科)

          みなさん、症例発表してますか? スタディグループや院内発表会、学会でのプレゼンや雑誌への投稿など、様々な機会で症例発表を行う方がいらっしゃると思います。 また、自身で症例発表を行う機会は少なくても、他人の症例/症例発表はよく見る、という方は多いでしょう。 ところが、我々は症例発表についてきちんと学ぶ機会がほとんどありません。 見様見真似で症例発表をしているだけ。 症例を見るときに特別意識していることはなく、なんとなく見ている/読んでいるだけ。 そんな方は少なくないと

        なぜゆき歯科医院は最高の医療をリーズナブルに提供できるのか(1)前書き

          2024年版 プロが選ぶ最強のおすすめ歯みがき粉

          ※この記事は一般向け(患者さん向け)の記事です。 こんにちは、ゆき歯科医院です。 歯みがき粉、自信を持って選べていますか? お口の健康を守るためには、歯みがき粉選び以外にも大事なポイントがあることは確かです。しかしながら、歯みがき粉選びはとても気軽に取り組めますし、虫歯予防の効果も大きいので、最初に取り組むにはもってこいでしょう。 この記事では、歯みがき粉選びのポイントと共に、おすすめの歯みがき粉をお伝えします。 結論. フッ素1450ppmの歯みがき粉を選ぼう最初

          2024年版 プロが選ぶ最強のおすすめ歯みがき粉

          なぜ歯科医院では器具・機材を非常に丁寧に扱わなければならないのか

          歯科の世界では、他のほとんどの業界よりずっと丁寧に器具・機材を扱うことが求められます。 その理由について書いてみます。 1. お金の問題これはどの業界でも同じことですが、まず第一に、お金の問題で器具・機材を丁寧に扱うことが求められます。 器具・機材を乱雑に扱うと寿命が短くなります。 寿命が短くなるということはお金がかかるということ。 お金は大事。 そんなことは小さな子どもでも分かっている当たり前のことですが、会社や医院のお金は自分自身のものではないので、どうしてもそ

          なぜ歯科医院では器具・機材を非常に丁寧に扱わなければならないのか

          一流の歯科衛生士になるために必要なのは勉強ではなく気持ちなのだと気づいた話

          恥ずかしながら、歯科衛生士の採用に何度も失敗してきました。 狙い通りの人材を確保できたはずが、実際に勤めてもらうとどうもうまくいかない。 自分たちの目指す、一流の歯科衛生士になってもらうはずが、全然そうはならない。 そんな経験を繰り返して、はたと気づいた話。 「あれ? これは考え方自体が間違っているのでは?」 と思った話です。 前提. 一流の歯科衛生士とは本題に入る前に、前提の話です。 この記事で語る「一流の歯科衛生士」とは、下記の2点において優れた歯科衛生士で

          一流の歯科衛生士になるために必要なのは勉強ではなく気持ちなのだと気づいた話

          それってヘルスケア? ヘルスレコード? ヘルスケア歯科診療について

          昨日2023.2.26に日本ヘルスケア歯科学会の地方グループ、東京ヘルスケアGrにて当院より発表を行いました。 テーマは「スタッフ教育」で7医院が発表。 当院はスタッフ教育にかなり力を入れている医院で、その教育のレベルや衛生士の臨床力が圧倒的にガチなので、正直皆さん引いていた感はありましたが、ある程度は参考にして頂けたようでよかったです。 で、その本題とは別に以前から感じていたことではあるのですが、昨日あらためて感じたことについて一つ書き残しておきたいと思います。 僕

          それってヘルスケア? ヘルスレコード? ヘルスケア歯科診療について

          C治療の質は歯科医師で決まるのではない。歯科医師と歯科衛生士のチームで決まるのだ。~『歯を守るう蝕治療』のエビデンスに触れて~

          日本ヘルスケア歯科学会の代表である杉山先生が執筆された、『歯を守るう蝕治療』が出版されました。 この本は、う蝕治療ということを考えたときに、カリエスマネジメントに立ち返り、特に非切削のう蝕治療に重点的に着目した、素晴らしい本です。 私も非常に勉強になりました。 この本について語りたいことはたくさんあるのですが、今回はこの本で触れられていたエビデンスで、とても良いと感じたものがあったのでご紹介します。 CRの予後についてページでいうとP22~P23。 「直接修復法による

          C治療の質は歯科医師で決まるのではない。歯科医師と歯科衛生士のチームで決まるのだ。~『歯を守るう蝕治療』のエビデンスに触れて~

          炭酸水の酸蝕症リスクについて

          pHの低い飲食物には酸蝕症のリスクがあることがよく知られています。 近年、炭酸水メーカーや強炭酸水の普及により、炭酸水の摂取にも注意が必要なケースが増えてきました。 炭酸水の酸蝕症リスクについては学ぶ機会が少なく、ご存じでない歯科医師・歯科衛生士の方々が多いようなので、整理することにしました。 なお最初に結論をいうと ・炭酸水(クエン酸等が入っていない、ただの炭酸水)にも酸蝕症リスクはある。 ・炭酸水は他の飲料以上に注意が必要である。なぜなら同程度のpHでも他の飲料以上

          炭酸水の酸蝕症リスクについて

          歯科医療とは、機能回復、審美改善、再発防止である

          歯科医療とは、口腔の 1. 機能回復(or改善) 2. 審美改善(or回復) 3. (疾患の)再発防止/未然防止 です。 まあ当たり前といえば当たり前なんですが、意外とこれを言語化できていない先生が多いですし、言語化はできていてもこの3要素をきちんと挙げられる先生も少ないようなので、今回あらためて書くことにしました。 歯科医療のゴールは一言でいえば「健康」なわけですが、それをこの3要素に分解して意識することで、より良質な歯科医療の提供が可能になります。(と思います)

          歯科医療とは、機能回復、審美改善、再発防止である

          歯を削らない抜かない方が良いという誤解、それを誤解したままのエセ予防歯科、あるいはDMFT等の指標に依存することの危険さについて

          今回のお話はこんな内容です。 ・削らない、抜かないこと自体は正義ではない。 ・削らない=予防、と勘違いしている歯科医師や歯科衛生士が多いが、これは全くの誤り。 ・ゆえにDMFT等の指標による成績の評価と管理は、必ずしも有効なものではない。 ・以上のことを理解するだけで一流の歯科医療従事者になれる。 それでは話していきます。 歯を削るのはどうして?歯を削るのはどうしてなのか考えたことはあるでしょうか? 虫歯ってC0,C1,C2なら、別に痛みはないし、ご飯を食べるのになん

          歯を削らない抜かない方が良いという誤解、それを誤解したままのエセ予防歯科、あるいはDMFT等の指標に依存することの危険さについて

          歯科医院での禁煙指導/禁煙支援について。ゆき歯科医院のやり方と考え方

          歯科医療従事者にとって、患者さんの喫煙は悩ましい問題です。 喫煙とカリエスの関係についてはまだ因果関係がはっきりしていない部分もありますが 1) 2) 、歯周病に深刻な影響を与えること 3) は今やどんな歯科医師・歯科衛生士でも理解していることでしょう。 タバコの害はどんなに優れた歯周治療も無に帰してしまうほど凶悪です。 喫煙者に対しては「超一流の歯周治療を施すこと」よりも「禁煙・卒煙させること」の方がはるかに効果が大きく優先度が高いとすら言えます。 とはいえ、これも

          歯科医院での禁煙指導/禁煙支援について。ゆき歯科医院のやり方と考え方

          ゆき歯科医院の歯科衛生士症例発表会の考え方とやり方について

          今回は当院の歯科衛生士症例発表会について、考え方とやり方のご説明です。 過去のnoteでも形式的な部分についてはお話してきたのですが、説明不足な部分があったので、今回は根本的な考え方からしっかりご説明する形で書き直しました。 当院の症例発表会で特徴的な3つのポイントを取り上げて、お話していきます。 1. 学ぶための症例を選択する 一般的な症例発表:  特にうまくいった症例を選ぶ 当院の症例発表:  学びとなる症例を選ぶ  例:反省点のある症例、うまくいかなかった点を相

          ゆき歯科医院の歯科衛生士症例発表会の考え方とやり方について

          なぜゆき歯科医院では歯科技工士を雇わないのか

          歯科医院の中には、歯科技工士さんを雇っている医院さんもいらっしゃいますよね。 当院は、歯科医師1名(院長)・歯科衛生士4名・受付1名(+事務長1名)という体制で、歯科技工士さんはいません。 今後雇うつもりもありません。 今回は、なぜゆき歯科医院では歯科技工士さんを雇わないのかお話します。 最初に結論をいうと、歯科技工士さんを雇わない最大の理由は医療の質が下がると推定されるからです。 ついでの理由として、コストがかかりすぎて割に合わないからですね。 この詳細についてお

          なぜゆき歯科医院では歯科技工士を雇わないのか

          担当衛生士制? 分業制? それともランダム?

          今回は患者さんを衛生士さんにどう割り当てるか問題。 いくつかパターンがあると思うので、それぞれのパターンに利点・欠点についてお話していきたいと思います。 本題に入る前に、まずよくある3つのパターンの簡単な解説だけしておきます。 ランダム制: そのときあいている衛生士さんをただランダムに割り当てるやり方 担当衛生士制: 患者さんごとに担当衛生士を決め、原則としてその衛生士以外がその患者さんを担当しないやり方 分業制: アシスト、各検査、TBI、SRPなど、処置内容によ

          担当衛生士制? 分業制? それともランダム?