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spin cycle #5分で書いた3分以内で読める小説

読みかけの文庫本は机の上に置かれたまま。

思い立ったわたしはポットの口の湯気が熱いということさえ忘れて
スマホに手をのばす。

返事はまだなかったし、既読にもなっていない。


コーヒーか抹茶ラテか迷っていただけで。本当はどっちでもよかった



ちいさな雨と風が窓の外で行き交う人波のあいだをぬい、ときにぶつかりしみこむ。


わずかにできた染みは多くの人にとってなんでもないものかもしれないし、人によってはこのあと会うだれかのことを考える悩みの種にだってなるとかなんとかふだんなら他人ごとで済ますようなことを考える。


「どっちに転ぶかなんて、わからないよ」


とたんにおかしな気分になって少し笑ってしまった。
部屋の中にはあいかわらずわたし以外誰もいないし、てれびの中にはたくさんの人。





ハッと我に返る。

だれかに声をかけられたようで、実のところじぶんの口から出た言葉に

わずかに助けられたような気がして






いつの間にか既読になってた








「週末、いつもの店でいい?」




彼からの返事に明日も、もうすこしがんばれる気がした。

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