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【突然の猫ミーム】② #毎週ショートショートnote

*参加させていただきます。お題は【突然の猫ミーム】です。😊



*とあるパラレルワールドにて


現行世界と並行して存在するという《パラレルワールド》だが
現行世界においても、一部の存在が特異な周波数を持った場合、
その一部の世界が現行世界から分離して新たな歴史を刻み始める
場合がある。 ここも そんな世界の一つ・・・
【突然の猫ミーム】と呼ばれた現象から発生した宇宙である。

その世界では、イレギュラーこそが新たな価値観となった。
笑う時に怒り、怒った時にこそ笑う。
感動する心は憎しみに満ちていて、醜悪な出来事にこそ美を感じる・・・

【突然の猫ミーム】と呼ばれる現象によって
そんな世相が常識かのような宇宙が発生したのだ。


そんな世界でも、皮肉にも常識があって法が定められている。

例えば、かつて《名作》とされた映画の記録媒体も取引は違法とされた。
元の作品に登場する人物のセリフは様々な景色に変換され娯楽とされたが
いつしか、元の作品はタブーとされ観ることさえ重罪とされたのである。


ここでは・・・違法の闇取引きが密かに行われていた。
依頼者は屈強な体躯の大男。
《ブツ》を手にするのは絶世の美女である。


ほ、本当に手に入ったのね? 信じられない!!

「間違いねぇよ! 正真正銘の【 ローマの休日 】だ。
一切の・・・セリフの変更なんかねぇオリジナルそのものよぉ!!」

(あえて重ねるが、依頼主が男で《ブツ》を渡したのが女である)

「う・・・嬉しいっ!! 夢のようだわ!!」

「おう、オレも嬉しいぜ。金は確かに受け取った。
せいぜい感動に泣いてくれ。誰かに見つからねぇようにな。」

当然よ! あたし・・・独りで楽しむのっ!!

屈強な大男の眼からはすでに感動の涙が溢れていた。
一瞥した絶世の美女は取引の場を去ってゆく・・・


( 厳密にいうと、彼らの交わした口調も古典的なものであり
違法だったが、闇の世界では今でも密かに生きているのだった。)


【了】

(闇の世界にて・文字数も守らない)



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