みはるの悲哀の仕事ードリフよ、永遠なれー

「令和」という元号が好きだ。

音の響きも。使われている漢字も。

なのに、どうしてこうも「令和」の時代の幕開けは、試練の連続なのだろう。

昨年の台風。

現在進行形で、刻一刻と状況が変わり行くコロナの残酷さ。

気が付けば、ニュースを見て溜息を付いている。

昨日、コロナ感染を他人事にしていないか、と疑問を呈した。

みはるはもう一度、我が身を振り返る。

元々、手洗いはこれでもか!と鬼の首を取ったかのような勢いでするタイプ。
うがいも同様。

では、何が変わったのか?
と問われれば、危機意識ということだろうか。

長年、電車を使ってあすぴれんとに行っていたが、混雑を避けるため、随分前からモノレールに切り替えた。

手に入る目度が全く立たないマスクは、中性洗剤で洗い、熱湯消毒。

なんのことはない。

この時期、多くのひとが行っているであろうことを実直にこなしているだけだ。

体温測定や外出自粛も言わずもがな。

それでも罹るときは罹るのかも知れない。

正直に言うと、実にお恥ずかしいことだが、どんなにニュースやワイドショーで情報を仕入れていても、どこか壁を一枚隔てた「向こう側」のことにしか感じられずにいた。

それが一変したのは、志村けんさんが亡くなってしまったこと。

報道に触れた途端、みはるは声を挙げて泣き出した。

耐えられなかった。

そんな馬鹿な…

受け止めなければならない現実が重過ぎて、やっぱり俄には信じられなくて。

みはるは鉄板でドリフ世代だ。

みはるの生まれた年に、8時だョ!全員集合が始まった。

いつ、見始めたのか。

記憶は無い。

それでも気が付いた時には、我が家の土曜日8時はドリフターズと決まっていた。

なんの疑問も無かった。

そういうモノだと思っていた。

昭和の時代の当たり前の土曜日。

両親と声を立てて笑いながら、1時間たっぷり楽しんだ。

This is a Pen!

お馴染みの荒井注さんのギャグだが、流石に記憶はおぼろげ。

後から加入した志村けんさんが、次々と飛ばす大ヒットギャグに、夢中になった。

カラスの勝手でしょ〜♪

が、大好きだ。

東村山音頭も、勿論、口ずさんだ。

PTAがこぞって、子供の教育に宜しくない!と目を吊り上げていたそんな声も、我が家には全然届かなかった。

原家族に全くもって“良い記憶”が無いみはるだが、少なくとも土曜日は家族揃って《ドリフの団欒》を満喫していた。

誤解を恐れずに、敢えて書こう。

みはるは、志村さんと加藤さんのどちらかを選べと言われたら、加藤さんに軍配を挙げる。

子供心に思ったのだ。

それまで、誰が見ても明らかに
“加トちゃんの一人勝ち”
だったグループが
“志村さんの台頭”をあっさりと許し、楽しげにコントを繰り広げている。

加トちゃん、イヤじゃないかなぁ?
悔しくないかなぁ?

けれど、当のご本人は、一番年若い志村さんのドリフへの加入を後押しした。
志村さんを付き人として雇っていた加トちゃんは、志村さんが可愛くて仕方がなかったのだろう。

確か、昨年だったか。

仲本工事さんが柔和な笑みを湛えて、雑誌のインタビューに答えており、その見出しに

加藤は天才 志村は秀才

というモノが有った。

それを読み、ドリフの凄さを改めて感じた。

誰がトップとか、誰が一番人気とか。

外野が口さがない「噂」や「詮索」をしようとも、ドリフのメンバー達はどこか達観して、淡々と「ドリフターズ」というグループを作り上げて来たのだろう。

幼い頃のみはるの余計な心配は、本当に余計なモノで加トちゃんは志村さんが大好きだった。

仲本さんも、高木ブーさんも。

3年前に志村さんがメンバーを呼び寄せ、コントをした時に撮影された4人の写真は本当に素敵な写真だ。(著作権の問題に引っ掛かりそうなので、写真、割愛。検索して探してね)

志村さんは、ドリフターズを「家族みたいなモノだ」と言った。

一家の大黒柱である、いかりや長介さんを失ったときのメンバーの悲しみは、みはる達には到底想像が及ばない。

それでも、みはるは悲しかった。

志村さんを失ってしまった今回とおんなじように、みはるは長さんの死に泣いた。

今、毎晩、全員集合をYouTubeで見ている。

繰り返し、繰り返し。

たかが50分強の生放送の中に、大掛かりな仕掛けを施したコントを20分ちょい。
ゲストに歌も唄わせて、後半のコント。

それが毎週続いたのだ。

そう考えると、鳥肌が立つ。

今風に言えば、すべての放送が

神回

だ。

どうやっても受け入れられそうにない、志村さんの死と、なんなら未だに納得できていない長さんの死も含めて、毎晩、みはるは、悲哀の仕事を続行中である。

悲しみを覆い隠さず。
切なさに背を向けず。

スマホの画面に映し出される、5人の可笑しさを存分に堪能し
ひとり暮らしの自由気ままさをここぞとばかりに極めて

東村山〜♪

と振り付きで唄っている。

♪エンヤーコラヤーどっこいちゃんちゃんコラヤー♪

の振りも今更ながらに、絶賛研究中なのだが、何故だか難しくて、今ひとつ成果が出ていない。

だめだ、こりゃ。

16年もの長きに渡り愛された全員集合。

最終回も見た。

裏番組で、打倒!ドリフを掲げて、たけしさんやさんまさんという大物芸人を贅沢に使った番組が制作されたが、みはるは一度としてドリフから離れたことがなかった。

浮気はなし、だ。

誰しもが思っているように、みはるも思う。

今頃、天の国で長さんと会い

「なんで、お前が来るんだよ!順番が違うだろっ!」

って、黄色いメガホンで頭を叩かれているに決まってる。

その隣で、注さんが少しふて腐れたような顔をして

「そうだ!そうだ!」

って言ってたりして。

ドリフは永遠だ。
 
この先、どんなに凄いお笑い芸人さんが出ようとも、みはるの中のトップはドリフターズ。

ひたすらに、悲哀の仕事をしようと思う。

ブーさんが過日の追悼番組で言った言葉。

「志村は生きている。」

既に周りを取り囲む多くの芸人さん達から、師匠と呼ばれるようになった志村さんを

「志村!」

と、呼べるのは、ブーさん、工事さん、加トちゃん位のものだろう。

「ブーさん、そうだよね!
志村さん、ずーっとずーっと、みんなの心に生き続けるよね!」

東村山、も
エンヤーコラヤー、も。

たっくさん泣きながら、笑いながら
ドリフ、凄い!凄い!
って言って歌い続けよう。

こんなに想いが溢れているんだから

ちょっとだけよ❤

なんて、言わなくていい。

ドリフ、いーっぱい愛してる!!

追記)
この記事を執筆中に加トちゃんの葬儀屋さんのCMがテレビから流れて来た。
「この時期、流石にキツいなー。」
と言いながら。

ブーさん、工事さん、加トちゃん、どうか、御身お大事に。
これからも、いつまでも、全員集合!のお話、聞かせてください。

みはる

2020'4'13(月)

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