質量と魂(重量)で穿て

前に書いた文章10万字だった。これはもともと10万文字越えようと思って書いた文章だった。
毎回半年に一回くらい数万文字の文章を書くと決めてて、この前書いた文書は3万文字だった。
次は5万文字かな?って思ったけど、なんか刻んでいくのもうっとおしいと思った。
5万というのはキリがいい感じがするけど、前回から2万プラスされただけだ。
かと言って、倍の6万だとキリが悪い感じもあった。

書いて完全に納得のいく数字が10万文字だった。

今回は分割もしない、途中経過もツイートなどで報告しない。
一気に出して、固定ツイートには少しだけ載せるくらいでそれっきりだ。
あくまでも自分のためだけにやっているという決意だ。
人に知らしめるつもりはないので、意思表示ではなく、決意なのだ。

俺はどこまで文が書けるか。評価とかそういうのを気にせず文と向き合えるか。
そもそも10万を書ける精神力はあるのか。自分の方法論は10万文字を達成できるのか。
10万書くとどんな世界が見えて、何が得られるのだろうか。

そういったことを気にして書いた。実力試しと経験のためだ。

まず、10万書いてく過程で1つの材料から多くの文をが思いつくようになった。
厳密には思いつきやすくなった。引き出すまでの時間が短くなったのだ。
後は1万文字以下ならそんなに考えずに書けるようになった。
題目にもよるが、文章を書いてくことの抵抗がさらに薄くなった。

自分の中の文章力としてはこんな感じのことが挙げられる。

問題は店を見ながら文字を書いていくという行為についてだ。
文章というのは出だしが苦戦する。本当の最初の方だとある程度、頭に浮かんでるので、
その浮かんだ分は書けるが、そこを過ぎてしまうと書きづらくなる。
何とかエンジンがかかるとまた書けるようになるが、そこまで時間がかかる。
その間にだいぶエネルギーロスを起こす。しかも、相手が10万だから少し書いた程度では書いたうちに入らない。
たかが5,6千文字いったところで、爪の先でひっかいた程度の進捗なのだ。
そこまで出力を出してもひっかいた程度。これが精神に来た。
さすがにいつ終わるのだろうかと遠い目になった。
頑張れば、1週間以内に終わるだろうと思ってた自分がいたが、
すごく甘いことを思い知らされた。
ほぼ自由形式な文章なのに書くネタが枯渇しそうになる。
プロットに進捗予定を書きだし、
全体の予定の何割に着手しているか確認しながら進んで行くが、
もう少し文章を稼がないと終わらないと焦った。

とにかくプロットを引き延ばして、
時にはプロット以外のことも思いついたら付け足して書いていく。
何とかして前回の3万文字を越えても不安でいっぱいだった。
1週間で終わるラインはここまでだ。
ここから先はどのくらいかかるかなんて想像もつかない。
4万文字越えたあたりで思ったより進んでないことにさらに焦る。
このままだと1月中に終わらない。
少なくとも緊急事態宣言中に終わらせないと来客対応でこんなに書けなくなる。
結局、2月の半ば近くになり、ようやく書けたのだが、それでも終わらないんじゃないかと不安だった。
そんな状態だったからとにかく時間を取って進めるしかないと思った。
そこで、店から出て、また戻るのがもったいないと考え、いっそ店から出ないことにした。
とは言え、1回だけだ。何連続も店に居続けるわけにはいかないので。もたないし。

夜書いて、朝と思われる時刻にまた書いて、何とか6万文字いった。
この時半分越えたので感性と絶叫を上げて鼓舞した。いける。勝てる戦いだ。
そこから大変だったのが、書いてる間に来店があり、一気に終わると思っても、なかなか終えられなかった。
ここまで書いた頃には常時筆が進む状態になっており、マラソンで言うところのランナーズハイが日々続いていた。
なのに、今度は絶妙な来店で止まってしまう。店としてはうれしい限りだが。
何時になったら記事が出るのか、昨年12月から出てないじゃんっていう声も聞こえる。
うるせぇ、店が優先だから進まねえんだよ!イベンターもいねぇしよぉ‼

本当にここからが刻んでくように進んでいった。8万文字までが長かった。
当初からどんなにネタが尽きても、2万文字なら勢いで進めると思ってた。
だから、最低限8万文字はいかないと目途が立たないと分かっていた。実際のところその通りだった。
むしろ、プロットを余らしてる状態でここまで来たので、
あとは雑にプロットの内容を潰してけば終わるような
消化試合のようになっていた。
本当に10万文字書けるのか、データ飛ばないかなぁ、
いけたらこっそりうまい酒飲もうなどと考えていた。
9万文字と5千文字くらいでまた来店で止まり、気もそぞろに接客していた。
(終わる…1ヵ月半の戦いが…)

プロットを書いてから着手までも1週間くらいかかったし、そこから書き上げるのも時間がかかった。
ただ文字数を稼ぐだけでもここまで労した。店で夜を明かしたのは5,6回くらいあった。この文章の為だけに。
身体のあらゆるところが凝り、寝ぼけた状態が半日続き、眼精疲労過ぎて目の奥に消毒液でも入れたかのような刺激があったときも。
勢いで最後は本当に書け、10万と7千で完走した。7千は実質、10万文字と言い切るための文字数だ。
余計な文字やただの引用もあるので10万ぴったりだと自分の文だけで越えたことにならなくなってしまう。
だから、10万よりも多く書く必要があった。これなら実質10万と言い張れる。

書き終えてからも見出しつけながら、文章を見直しい、全体で大きな手直しが3回くらい。接続詞などの細かい直しがそこそこにあった。
一応、このスピードでこのくらいの編集で済んでるのなら、昔よりは良くなっているかもしれない。
更新までじらされたが、ようやく終えた。この間に店の方でも動きがあったが、そこには全く携われなかった。
もう文章書くことで精一杯なのと書いたことで余力が消えていた。

10万文字という文字数は人を削る文字数だというのが分かった。本当に硬くって、何度ぶつかってもビクともしない。
そして、10万という数字を目標にしている限り、途中でどんなに書けたとしても終わってなければ、0文字と価値が変わらない。
10万以下なんていつでも書いてるツイートと何にも変わらない。結果が全てだ。
何十回も「まだか!?」と叫び、そして祈った。筆が折れる不安なんてしょっちゅうだった。
こういうのは一気に書かないといろんな理由をつけて書かなくなり、未完になってしまう。それだけは避けたかった。

Twitterも少しでも感情のエネルギーを削らないためにやらなくなっていた。少しでも文章に注力したかった。
書いてる途中で店に置かれた「アイシールド21」にはお世話になった。絶対に勝つと勇気づけられた。
本気で読みすぎて、たまに泣いたし、夜はそれで終わったときもあった。

移動中も少しでも文章が進むように頭の中で考えてから行ったりした。それでも進まないときは進まないので、厳しかった。
あまりにも気が乗らないときは大声で歌ってから書いた時もあった。地下で本当に良かった。
どこにも行けず、遊ぶわけにもいかず、ずっと一人でやった。
配信とかしてた方がまだ店の為になったかもしれないけど、
それでも文章を優先した。
これで終わらなかったら地獄だと思った。

それでもこの期間しかこうして集中して書けなかったし、この時期に店長にやってた記事は自分の記録としても必要だったので、
とにかく書くしかなかった。

そうして書き終えた10万文字。何の価値もあるわけではなく、自分の為であり、自分を知ってる人のためのモノであった。
これは誰も取り上げることもなく密かに終わる文章。記念のようなものだけど、この世に一つの作品だ。

書き上げた後、しばらく抜け殻のようになり、普段の精神状態になるのに時間がかかったが、何とか元に戻った。
次も同じ文字数かちょっと超えるようにするのかはわからないけど、何とかやってくだろう。
その間にも色々と書けるよう頑張っていく。

読んでいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。 ところでこの「さぽーと」って何ですかね?神が使う魔法かなんかですかね??良くわかりませんが、これ使う人は人間以上の徳がある人なんでしょうね。