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世界平和の実現のために(後編)

前回の投稿では、世界平和の実現にいち個人としてどう取り組むかという、なんだかとても壮大なテーマについて書き出してはみたものの、前段の世界平和の定義を考えるところまでであえなく力尽きた。ここから、ようやく本題に入っていく。ちゃんと着地できますように。

すこしおさらいしておくと、人には欲望がある。そのひとつの帰結として争いがあり、争いのひとつの帰結として暴力がある。

また、暴力とそれに伴う不幸には、伝染する力がある。職場でうけたハラスメントの腹いせで、家で子供に手をあげる人も、電車でほかの乗客に対して暴力や痴漢行為に及ぶ人もいるだろう。それらがまた次の新たな暴力を生みだすかもしれない。長期的な影響だって馬鹿にはならない。幼少期や青少年期に受けた暴力の影響で、大人になってから、誰かに暴力を振るうことだってあるかもしれないのだ。

このように、「欲望→争い→暴力→連鎖」という構造をみると、この各ステップに、何がしかの働きかけが可能なことに気づく。すなわち、欲望から争いへのステップ、争いから暴力へのステップ、暴力から連鎖へのステップの三段階だ。

第一ステップに関しては、欲望を満たせるだけの十分な供給があれば、そもそも争う必要はなくなる。経済活動は、突き詰めれば誰かの欲を満たすものなので、それは平和につながっているとみてよい。今では、他国を侵略するより、友好的な通商関係を結ぶ方がよほど経済的かつ合理的なので、そのような戦争は少なくなっている。経済活動は、平和に寄与する力があるのだ。

争いから暴力へのステップでは、暴力にかわる争いの調停方法がポイントになる。ここには、法制度の整備やその運用に代表されるような、いわばハード面のインフラが不可欠だ。同時に、人の心理的文化的な面では、自身の内面をメタに認知する力、感情やニーズを伝える力、他者との共感力などの感情的な知性、それらを他者と分かち合うための対話などが役に立つ。

「対話」をすこしだけ掘り下げると、これは、他者に耳を傾けるというプロセスなので、他者の声が自分のなかで共鳴することで、他者視点の取り込みという作用が起こる。利害が対立している関係でも、双方がお互いの声を聴くことを通じて、他者への尊重という視座を獲得するとともに、相互のこだわりと譲れることを共有しあうことで、お互いに満足できる解決を見出すことも可能になる。

3つめのステップでは、前段の要素も大事だが、それ以上に、まずは暴力を受けた人の心身の傷を癒やすことが先決になるはずだ。これにかかわる重要な仕事は、医療や社会福祉などの領域に多数ありそうだ。

以上、非常におおざっぱにではあるが、3つの領域にわけて考えてみた。これらのうちで、私の仕事との関わりが特に深いとおもうのは第2のステップで、人の知性にかかわるところだ。人は内面の成長を通じて、身勝手な思考様式から脱して、より周囲を配慮した思考ができるようになっていく。この精神的な成長を後押しするように、対話と学びの場をつくることで、世界平和の実現に貢献していけるのではないかと思っている。


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Kazu IIDA

education and learning
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