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「Low fantasy.」 (7)

「鏡の入江」


よく晴れた日の朝、岬の庭師と朝永さんは
必ず入江の見回りに出るそうだ。

朝永さんが、倉庫から運び出したカヤックを
番屋のある岸辺から水面へ浮かべた。
オールを漕ぐのは庭師の方が上手いらしい。
鏡のように風景を映す水面に僅かな波を立てながら
カヤックは進み、静かに入江をめぐる。
それは まるで空に浮かんでいるかのような感覚だった。

見回り中、入江には多種多様な生き物がいることを教えてもらう。
中でも印象深かったのは「ウミウシ女」の話。
何度となくカヤックをひっくり返したり、オールを沖に流されたりされたそうだ。
庭師が言うには「あれは総じて性根が悪い。関わらない方が良い。」
とのことだった。

(8)へ続く

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