映画感想つぶやき:君たちはどう生きるか

宮崎駿の映画「君たちはどう生きるか」を観てきた。
映画の封切りからまだ間もないので、ネタバレ回避のために、呟きたいことをここにまとめておく。


戦争のこと

・戦争については、うすぼんやりとしか描写されない。東京からの疎開・出征してゆく中年男性・軍用機の風防・食事時に語られるサイパンの陥落、それらはいずれも背景でしかなく、主題とはならない。潔い。それはもう十年前にやったから、ということなんだろうか。

・インコ大王の大叔父への憤り、帝国に対する裏切り云々のくだりは、「日本のいちばん長い日」にあるような、継戦を諦めることに対する憤り、のようにも感じられはした。……が、これを太平洋戦争のメタファーと取るのは、浅いような気がする。もっと根源的に、日本的な心理のありようを示すもののようにも思える。その視座では、太平洋戦争そのものすら、日本についてのメタファーということになるのだろう。

墓のこと

・ペリカンが押し入ろうとした「墓」とは何か? キリコが忌避した「墓の主」とは何か? 「石」とは別もののようだ、「石」はそれ自身の意思を持ってナツコやマヒトやヒミに介入してきたが、「墓」は何ひとつ語りはしなかった。大叔父とのさいごの問答からしても、どうも「墓」は、絶対的にネガティブな何物かであるようだ。

・我を学ぶ者は死す、という門の上の言葉は、宮崎駿と同世代の絵手紙作家が師匠に言われた言葉らしい。↓

・亡くなったペリカンを埋葬するシーンがあったが、あれは「墓」に連なるものなのだろうか。