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理知を継ぐ者(33) 続・周囲という当事者①

 こんばんは、カズノです。

【概要】

 山本が問題視したSPA!誌「ヤレる女子大学生RANKING」で、名指しされた大学の対応を前回まで見てみました。関連して、こういう疑問点もあります。
 ここでも記事を引用します。これはこれで「無かったことにする」はよくないでしょう。ちょっと読んでみてください。

 特にコラムの後半、「キャンパスが渋谷にあって…」あたりから、つまり話題の「RANKING」表が作られた、元になった発言に注目してください。
 これってとてもヘンじゃないでしょうか?

 *

 ごく単純に、この話って分かりづらくないでしょうか。つまりこの5校の女子生徒がなんで「ヤレる可能性が高い」か、みなさん分かります?
 おれにはちっとも分かりません。

「キャンパスが渋谷にあって遊んでいるコが多いA校、男ウケの良さを磨いているB校、横浜方面に住んでいて終電が早いC校あたりは、ヤレる率が高い……。大企業を狙えるか狙えないかの中間に位置するMARCHのなかでも……D校は就職相談で仲良くなれる……E校はキャンパスが遠いので、都内へ出て "遊んで帰る" マインドのコをよく見かける……。」

 整理すれば、
・A校は渋谷にあって遊んでるコが多い
・B校のコは男ウケのよさを磨いてる
・C校のコは横浜に住んでるコが多いから終電が早い
・D校は大企業を狙えるかどうかの就活相談で狙える
・E校のコはキャンパスが遠いから遊んで帰るマインドがある

 これって説明になってるでしょうか?

【論理を整合させる】

 A校の「渋谷にあって遊んでるコが多い」を例にすれば、だって渋谷には他にも学校がありますよね。大学はもちろん、それに類する学校も含め、ぜんぜん。
 あれこれ考えるまでもなく、あの学校もあの学校もあります。それら学校の生徒も、授業が済めば渋谷の繁華街で遊んでるでしょう。遊ばず帰る日も多いでしょうが(それはきっとA校の生徒も同じでしょうが)、じゃあなんでA校のコだけ「ヤレる可能性が高い」になるのでしょう?
 分かりません。
 この「A校は渋谷にあって遊んでるコが多い」という言葉に説得力はあるでしょうか?

 ちなみに、例えばこれが単刀直入に、「A校は遊んでるコが多い」という断言だったら、それなりの説得力はあるとおれは思います。
 このコメント氏はべつに、科学的/統計的に分析しているわけではないし、事情通としてコメントしてるだけですが、でもこういった記事では「事情通の断言」は不思議に説得力を持つものです。
 例えばサッカーの中継で、元サッカー選手の解説者が「今のプレーはこうです!」と断言するのと同じです。「事情通が『A校のコは遊んでるよ』と断言するなら、きっとそうなんだろう」みたいに、なんとなく説得力がある気がするものです。

 でもこれが「渋谷にあって遊んでる」になると、そうはなりません。「A校のコは遊んでるよ」「そうなんですか?」「だってほら、渋谷にあるから」「あそうか。けど渋谷には他にも学校ありますよね? なんでそれでA校?」「…いや、まあ、そう聞かれるとあれなんだけど」になってしまうからです。
「渋谷にあって」という余計な修飾があるばかりに、「事情通の断言」の説得力が奪われているのがこの発言の気がするんですけど、どうでしょう?

 *

 そう見ていくと、A校はもちろん、C校「横浜に住んでコが多いから終電が早い」にも、E校「キャンパスが遠いから遊んで帰るマインドがある」にも、ぜんぜん説得力がないと思います。だってそんな学校、他にいくらでもあるからです。
 よね。
 なのでまず、A校・C校・E校のコならなぜ「ヤレる可能性が高い」のかは、まったく分かりません。



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