カズノpub.

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出版レーベルです。運営は宮崎研治。記事の執筆も。 https://kazno-pub.com/home.html

マガジン

  • 読書感想文

    まんまです。本を読んで思ったことを話します。

  • そういえば、あれってなんだったの?

    旬をすぎた時事ネタを取り上げるコラムです。まあ、その話題で盛り上がってる時期はおれもみなさんも冷静には考えられないもんですから。

  • 理知を継ぐ者

    「生娘シャブ漬け発言」「ヤレる女子大学生RANKING」「お母さん食堂」など、ネット上の(なるべく古い)抗議活動をモチーフにしたコラム。「あー、そういえばそんな抗議もあったね。あれってなんだったんだろう?」を考えます。トライセラ和田と奥田民生もあります。

最近の記事

市川沙央『ハンチバック』 読書感想文 C

C-① といったとこが市川沙央『ハンチバック』読書感想文の概要ですが、それぞれの話題を突っ込んで話しだすと終わらなくなるので、よします。 C-② 小説における「文」のこと、純文学とエンタメでのその違い。そもそも両ジャンルの違い、テーマや内容へのアプローチの仕方。 純文学とエンタメの売れ方の違い。その原因。 現状の「売れ線」と「社会的問題提起」との相関。 ぜんぶ話せますね。 C-③ それくらい豊饒な本だし、読書だと思います。 #市川沙央 #ハンチバック C-④ ただまあ

    • 市川沙央『ハンチバック』 読書感想文 B

      B-① でまあ、世間で話題の「『ハンチバック』な内容」についてですが──、 B-② しっかり話せてると思います。実体的な事実も、当事者の内面も、訴求力も、過不足なく揃ってる。 B-③ ただ、今ってこういう「被害者側からの訴え」「弱者からの抗議」が多い時代なので、その中に埋もれるだろうなとも思います。 B-④ そういう社会状況なので、べつに市川の力量の問題ではないんだけど、単純に「惜しいなあ」と思います。 今って「被害のインフレ」ですからね。こんなにしっかりした訴えも、た

      • 市川沙央『ハンチバック』 読書感想文 A

        こんばんは、カズノです。 市川沙央『ハンチバック』を読んで、感想をXに連投しました。その全文を再掲します。 けっこう最近の記事です。てか今週か。 長いので3回に分けます(A・B・C) A-① 市川沙央『ハンチバック』(文藝春秋・2023) #読了 障害を持った人物の、日々の現実や雑感、その雑感から生まれるドラマ。テーマ/内容は周知でしょうが、障害以外の話題も多い。目立つのは性的な話題ですが(そうなんですが)、いずれにしろ話しがいのあるおもしろい小説。その点が何より重要。

        • あれってなんだったの? 松尾潔④

           これからの話は蛇足みたいなものです。  R・ケリーのエピソードで松尾は、「達郎さんは放送の中でも『(R・ケリーは)才能はありますよね』と言っていましたから、アートの天才には免責特権があるという才能至上主義は、その頃から一貫しているわけです」と話したようですが、そんな「主義」が山下にあんのかなあ? とおれは思います。  *  今回の松尾と同じように、社会的な問題について積極的な人というのはいます。積極的じゃない人もいます。どちらがよいとかわるいとか、そういう話は今は置きま

        市川沙央『ハンチバック』 読書感想文 C

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        • 読書感想文
          4本
        • そういえば、あれってなんだったの?
          11本
        • 理知を継ぐ者
          63本

        記事

          あれってなんだったの? 松尾潔③

           作者と作品を分けずに考える、松尾の根拠(のひとつ)はどうもアメリカ/アメリカ人にあるらしい。ではそのアメリカ人とはどういう人たちでしょうか?  例えばアメリカ人とは、身内をまず擁護する意識/理念/習慣を持っている人たちです。  *  例えば、何らかの犯罪をおかした息子や娘を、それでも父親や母親は、その是非や重度や社会的影響などまったくおかまいなく、息子や娘を擁護します。  極端な例でいえば、とある女性をレイプし射殺した死刑囚の母親は、それでも息子を擁護します。「そこま

          あれってなんだったの? 松尾潔③

          あれってなんだったの? 松尾潔②

           ところで、芸能事務所の運営者に限らず、芸能人やタレント、俳優や映画監督・舞台演出家など、文化に関わる人間が「不祥事」を起こすと、決まって起こる議論があります。 「本人に問題はあっても、作品に罪はない」 「本人に問題があるのだから、作品も鑑賞できない状態にすべきだ。公表の場を制限すべきだ」  といったものです。  クスリや不倫やセクハラを報じられたタレントや文化人/その作品は、だいたいこの文脈で擁護されたりハブにされたりするようですが、ところで、おれの知る限りでは、この議論に

          あれってなんだったの? 松尾潔②

          あれってなんだったの? 松尾潔①

           こんばんは、カズノです。  こないだ山下達郎の話をしましたけど、いちおうあれはあれで完結した話だと思ってます。なのでどうしようか迷ってたんですが、やっぱり山下発言の原因になった松尾潔の話もちょっとしておこうかな、というのが今回の松尾編です。  *  ジャニー喜多川の問題に、ラジオで言及した松尾は、そのせいもあってスマイルカンパニーとの業務提携契約を解除することになりました。  ところで、この一報を聞いたおれは、こう思いました。  だとしたらこれから、音楽も言論も社会的活

          あれってなんだったの? 松尾潔①

          あれってなんだったの? 山下達郎⑦

          【★節Cの解釈と感想③】  という風に、山下の話の文脈は、喜多川の現事務所のマネージメントへの批判になっています。藤島ジュリー景子にはぐさっと来るでしょう。  ただそこに、 「先日、男闘呼組の再結成といううれしいニュースがありましたが、同じようにいつか、近い将来、SMAPや嵐、キンプリの再集合も実現するような日が来ることを、竹内まりや共々に願っております」  という言葉が入るのが山下なりのまとめ方だってことです。  なお念のため、男闘呼組の解散のきっかけは、メンバーの高

          あれってなんだったの? 山下達郎⑦

          あれってなんだったの? 山下達郎⑥

          【★節Cの解釈と感想②】  山下は★節Bで「喜多川に対する尊敬と感謝」を話していました。そこから繋がる★節Cで、いきなりSMAPの名前を出しましたが、たぶんこれは、やはり「例えば」の話なのだと思います。  山下がこの節で話しているのは、SMAPうんぬんではなく、喜多川がやってきた事務所の「正直残念な」事態(近過去からの現状)についてなのでしょう。  そしてその「正直残念な」現状について、けっこう苛烈に批判している、というもののはずです。  なので翻って、ここでポイントになるの

          あれってなんだったの? 山下達郎⑥

          あれってなんだったの? 山下達郎⑤

          【★節Cの解釈と感想①】  不思議な飛び方を始めた山下の発言は、★節Cで爆発します。山下発言でもっともヘンなのはこの★節Cです。  山下はこのように話します。 「ですから、正直残念なのは、例えば、すばらしいグループだったSMAPの皆さんが解散することになったり、最近ではキンプリが分裂してしまったり、あんなに才能を感じるユニットがどうして…、と疑問に思います」  この文脈は飛んでます。飛びすぎです。  なんでいきなりSMAPが出てくるのかまったく分かりません。  どこがどう

          あれってなんだったの? 山下達郎⑤

          あれってなんだったの? 山下達郎④

          【★節Bの解釈と感想】  さてその次の★節Bですが、ここらへんから山下発言の「ヘン」が始まります。とても不思議な文脈が始まる。  まずこの★節Bは、ジャニー喜多川に対する山下の感想から始まります。 「中学生だった1960年代に初代ジャニーズの楽曲と出会って、ジャニー喜多川さんという存在を知」ったのが山下本人で、 「何年か後に初代ジャニーズの海外レコーディング作品を聞いて、私はとても感動し」たと。  もちろん、これもまた状況説明ですので、「へえ、山下と喜多川の間にはそういう

          あれってなんだったの? 山下達郎④

          あれってなんだったの? 山下達郎③

           さてそんなところが山下発言の「ほぼ全文」ですが、では具体的にこの〈文章〉で何が話されているか、流れにそって確認してみましょう。  *  注記でも断りましたが、「★○○」とはカズノで勝手に振った題字です。つまり山下文章にそれらの節タイトル/区切りはありませんが、まずその「★前文」。 【★前文の解釈と感想】  この★前文は、まんま前文ですよね。芸能シーンでいうところの、いわゆる「前説」というやつなので、とくべつ注目する内容は無いと思います。  どういう経緯からこれからの話

          あれってなんだったの? 山下達郎③

          あれってなんだったの? 山下達郎②

           山下発言の「ほぼ全文」はこうです。 ★前文  この度、私のオフィス(カズノ注:「私が所属しているオフィス」の意でしょう)、スマイルカンパニーと業務提携をしていた、松尾潔氏が契約終了となり、そのことで、私の名をあげたことで、ネットや週刊誌等でいろいろ書かれております。  私はツイッター、フェイスブック、インスタグラムといったものを一切やっておりませんので、ネットで発信することができません。そのため、私の唯一の発信基地である『サンデー・ソングブック』にて、私の話をみなさんに

          あれってなんだったの? 山下達郎②

          あれってなんだったの? 山下達郎①

           こんばんは、カズノです。  7月のことですが、山下達郎が話題になりました。松尾潔が火種になった、あれです。  ま、どういういざこざかは周知でしょうけれど、まあざっとおさらいしましょうか。  英国BBCがドキュメンタリー番組で、ジャニー喜多川の性的な暴行(?)について放送した。それを見ていた松尾が、その内容について、あるラジオ番組で言及した。しばらくして松尾は、マネージメント契約をしていた会社との契約が解除された。その会社は喜多川の芸能事務所と関わりがあった。山下達郎とも契

          あれってなんだったの? 山下達郎①

          宇佐見りん『推し、燃ゆ』 読書感想文

           こんばんは、カズノです。  こないだX(旧Twitter)で読書感想文を連投しました。モチーフは宇佐見りんの『推し、燃ゆ』です。文庫になったから読むことにした、というわけではなくて、最近ちょっと気になり始めたから読んでみました。  Xでの連投をほぼそのまま再掲します。  * ① 宇佐見りん『推し、燃ゆ』(河出文庫・2023) #読了 思春期に特徴的な観念に「推し活」をリンクさせることで、普遍的な観念を現在的に表現し、現在的な風俗の普遍性を表現した作品。 と、たぶん紹介

          宇佐見りん『推し、燃ゆ』 読書感想文

          理知を継ぐ者(63) 正義とは⑤

           こんばんは、カズノです。 【向坂の正義】  いくつか前に『笑の大学』の話をしました。そこでも紹介しましたが「一度も笑ったことがない」向坂睦夫は、周囲からも「おまえには笑いのセンスがない」と言われています。でも彼が、脚本/脚本直しにのめり込めばのめり込むだけ、椿からは「向坂さんには笑いのセンスがある」と言われるようになります。  脚本/脚本直しに際し、べつに向坂は個人的な意見を言っているだけだし、経験的な知見を述べているだけなのですが、椿一という笑いのプロから見れば十分に

          理知を継ぐ者(63) 正義とは⑤