ちょっぴり怖い話(交差点から見えるエレベーター)

駅に向かう道。
いつも通る交差点の角に、古びたビルがありました。

そのビルのエレベーターは、通りから内部が見える造りになっていました。

信号待ちしていると、上下しているそのエレベーターに何気なく視線が行きます。

早い時間帯には、人が乗った状態でエレベーターが上下しています。

仕事帰りの夕方には、誰も乗っていないのに、そのエレベーターはひっきりなしに上下していました。

人が乗っていないのに上下することがあるのかと、不思議に感じていました。

ある夜、仕事で帰りが遅くなった日、そのエレベーターが見える交差点で信号が赤になり、立ち止まりました。

時刻が遅いため、他に通行人はいませんでした。

いつものようにふとエレベーターを見上げました。
いつものようにエレベーターは上下に動いています。

そのとき、サイレンの音とともに救急車がその交差点を通りかかりました。
救急車の赤色灯の明かりが、ビルを照らします。

すると、エレベーターの中に人が乗っているのが見えました。
高齢の男性と、若い女性が乗っているのが見えたのです。

救急車が通過してしまうと、2人の姿は見えなくなってしまいました。

ひっきりなしに上下しているエレベーターには、普通の状況では見えることがない、誰かが乗っているのかもしれませんね。

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