堤カズユキ

文章を書くのが好きです。怖い話、怪談が好きです。 身近に起きた怖い話を書いてみようと思…

堤カズユキ

文章を書くのが好きです。怖い話、怪談が好きです。 身近に起きた怖い話を書いてみようと思います。 2022年8月17日(水)に、NHK総合のテレビ番組『ホラー短歌の世界へようこそ』で、ぼくが書いた『コインランドリー』が映像化され、放送されました。

最近の記事

ちょっぴり怖い話(喫茶店にいた)

法事の際に、お世話になっているお寺の住職から聞いた話です。 その住職は、実家が静岡にあり、その実家もお寺だそうです。 今は、都内のお寺で働いています。 その住職のお父さんが亡くなったそうで、実家に帰省しました。 お父さんとはあまり仲が良くなくて、この数年会うことはありませんでした。 実家近くの駅を出て、歩いているとご近所さんと偶然すれ違いました。 「なんだ、帰ってきてたんだ。お父さんは駅前の喫茶店にいたよ」 「え、今ですか?」 「そうだよ。XXXの窓際の席に座って

    • ちょっぴり怖い話(行進)

      これは同じ職場の友人から聞いた話です。 彼は、都心から快速電車で1時間弱の駅に住んでいました。 駅の近くには小さな商店街がありましたが、商店の多くは廃業していて、いわゆるシャッター商店街になっていました。 彼が住んでいたのは、その駅から10分ほど歩いた、大きな国道に面した場所に建つマンションでした。 仕事で遅くなったとき、人通りがまったくなくなったシャッター商店街をひとりで歩きます。 もとは商店街でした。 人がたくさんいるイメージを想起させる街並みに、人がまったくいない

      • ちょっぴり怖い話(公園で遊ぶ子ども)

        これは知人から聞いた話です。 彼は、住宅街にあるマンションの1階に住んでいました。 金網のフェンスを境にして、小さな公園がありました。 土日には、公園で遊ぶ子どもたちの笑い声がよく聞こえてきます。 ある夜、深夜に目が覚めました。 時計を見ると0時を過ぎています。 カーテンを閉めた窓越しに、子どもたちの笑い声が聞こえていました。 こんな時刻に公園で遊ぶ子どもがいるのか? そう思いながらカーテンを少し開けると、数人の子どもたちが公園を走り回っていました。 しかもその

        • ちょっぴり怖い話(海外で購入した絵画)

          これは、新宿三丁目のバーで働いている男性スタッフから聞いた話です。 そのバーは、築年数の建っている雑居ビルの地下にありました。 地下には何店舗かテナントが入っていて、ほとんどが飲食店でした。 営業中に、隣の店舗の女性スタッフが勢いよく扉を開けて、入ってきたそうです。 「店内がおかしいので見てほしいんだけど!」 男性スタッフに霊感があることを、その女性スタッフは知っていたのです。 男性スタッフは、店にいたお客さんに断りを入れて、隣の店舗の様子を見に行きました。 バーの

        ちょっぴり怖い話(喫茶店にいた)

          ちょっぴり怖い話(マンションに浮かぶ女性)

          これは、お盆に実家に帰ったときに聞いた話です。 いつの頃からか隣のマンションに女性が浮かんでいるという噂を、母が聞いたというのです。 そのマンションの3階のルーフバルコニーの部分に、ワンピース姿の若い女性が、直立した状態で浮かんでいるそうです。 母が実際に見たわけではありませんが、近所の人たちが目撃したというのです。 気になってしまい、深夜にそのマンションのルーフバルコニーを、2階の部屋から見てみました。 外から気づかれないように、部屋の照明を暗くして、カーテンの隙間か

          ちょっぴり怖い話(マンションに浮かぶ女性)

          ちょっぴり怖い話(交差点から見えるエレベーター)

          駅に向かう道。 いつも通る交差点の角に、古びたビルがありました。 そのビルのエレベーターは、通りから内部が見える造りになっていました。 信号待ちしていると、上下しているそのエレベーターに何気なく視線が行きます。 早い時間帯には、人が乗った状態でエレベーターが上下しています。 仕事帰りの夕方には、誰も乗っていないのに、そのエレベーターはひっきりなしに上下していました。 人が乗っていないのに上下することがあるのかと、不思議に感じていました。 ある夜、仕事で帰りが遅くな

          ちょっぴり怖い話(交差点から見えるエレベーター)

          ちょっぴり怖い話(結婚披露宴)

          職場の先輩から聞いた話です。 先輩は、離婚した奥さんとの間に娘さんがいました。 その娘さんが結婚することになりました。 結婚式の1ヶ月前ころ、娘さんのおじいちゃん、先輩の義理のお義父さんの体調が悪くなり、救急車で搬送されました。 大きな病院で治療が進められたのですが、残念なことに、お義父さんは亡くなられてしまいました。 先輩は、離婚した奥さんから結婚式を延期するかの相談を受けたそうですが、お義父さんも楽しみにしていたことだし、予定通りに実施するのが良いのではないかとア

          ちょっぴり怖い話(結婚披露宴)

          ちょっぴり怖い話(霊安室でいたずら)

          これは、知人女性から聞いた話です。 知人女性が高校生の頃の話です。 彼女には大学生のお兄さんがいました。 そのお兄さんが実際に体験した話だそうです。 夏休みのある夜、お兄さんのところに友人が3人遊びに来ていたそうです。 どういう経緯かわかりませんが、廃病院に肝試しに行くことになりました。 妹である知人女性も誘われたそうですが、怖いので頑なに断ったそうです。 お兄さんは3人の友人と一緒に、友人が乗ってきたクルマで、自宅から1時間ほどの場所にある廃病院に向かいました。

          ちょっぴり怖い話(霊安室でいたずら)

          ちょっぴり怖い話(駐輪場のおばあさん)

          これは、友人から聞いたお話です。 数年前に彼は勤務先が変わり、住んでいたマンションを引っ越しました。 新しい住まいは新築のマンションでした。 住み始めて数ヶ月経過した頃に、不思議な現象を目撃したそうです。 マンションの脇の通路から裏手に回ると、駐輪場があります。 その駐輪場に、おばあさんの幽霊が出るというのです。 彼も何度か、駐輪場の真ん中にしゃがみこんで、何かをしているおばあさんの姿を目撃したそうです。 盛り塩が置かれたり、近くの神社の御札が貼られたのですが、効果

          ちょっぴり怖い話(駐輪場のおばあさん)

          ちょっぴり怖い話(2階から聞こえる足音)

          行きつけの飲食店のスタッフさんから聞いた話です。 スタッフさんの弟さんが、お子さんが産まれるタイミングで家を買いました。 都心から離れた郊外ですが、新築の一戸建てです。 小さいけれども庭があり、子供が歩けるようになったら遊ぶスペースにもなります。 とても気に入って購入したそうです。 引っ越してから半年が過ぎた頃、1階の居間で過ごしていると、2階から音が聞こえるようになりました。 最初はネズミか何かがいるのかなと思いましたが、よく聞いてみると、人が歩いている足音に聞こえまし

          ちょっぴり怖い話(2階から聞こえる足音)

          ちょっぴり怖い話(さきいか)

          これは父が亡くなった日に経験した内容です。 これは怖い話ではなく、ほっこりするお話です。 早朝に父が亡くなり、病院から連絡がありました。 妹とタクシーで駆け付け、葬儀屋さんに連絡をして寝台車を手配しました。 夏だったため、葬儀場の冷蔵の保管庫に父を安置してもらいました。 その後に葬儀屋さんと、お寺に電話をして葬儀の日程を決めました。 帰宅して、妹と一緒に父の部屋に入りました。納棺の際に棺に入れるものを選ぶためです。 部屋に入った瞬間です。さきいかの匂いが強く漂いました

          ちょっぴり怖い話(さきいか)

          ちょっぴり怖い話(行きつけのバー)

          職場から駅に向かう道の途中に、行きつけのバーがありました。 雑居ビルの地下にあるお店で、看板も目立たないため、新規のお客さんは少なく、いつも顔見知りの客ばかりでのんびりできるバーです。 マスターは初老の男性で、体調が悪いとかでしばらく休業していました。 休業してから半年ほど経った頃でしょうか。 看板に明かりが灯っているのを見つけました。 また開店したんだ。 そう思ってバーに入る階段を降ります。 重たい木の扉を開けると、仄暗い照明の店内に、あのマスターがいました。 「

          ちょっぴり怖い話(行きつけのバー)

          ちょっぴり怖い話(懐かしい思い出の曲)

          たまの休日に買い物でもしようと、ターミナル駅のショッピングセンターに行きました。 フロアを一人でぶらぶら歩いていると、館内放送の音楽が、懐かしい曲になりました。 それはイギリスのバンドの曲です。 ぼくが20代の頃に流行した曲で、ぼく自身も好きでよく聴いていた曲です。 こんなショッピングセンターでも、懐かしい曲を流すことがあるのだなと思いながら買い物を続けました。 買い物を終え、自宅近くの駅まで戻りました。 駅の反対側に、行きつけのバーがあります。 同年代のマスターがレ

          ちょっぴり怖い話(懐かしい思い出の曲)

          ちょっぴり怖い話(出張で宿泊した民宿)

          これは、職場の同僚から聞いた話です。 彼は営業職で、よく出張に出かけていました。 ある地方都市のお客様を訪問する際、お客様拠点の近くにはビジネスホテルがなかったそうです。 旅館でも良いかなと探して現地に赴いたそうですが、旅館とは名ばかりで、素泊まり専用の民宿(1軒屋)だったそうです。 2階に二部屋あり、奥の部屋に通されました。 畳の和室で、部屋の中央に大きなちゃぶ台が置いてあります。 壁際には小さめの液晶テレビが設置されていました。 和室の隣に、洗面所と浴室がありまし

          ちょっぴり怖い話(出張で宿泊した民宿)

          ちょっぴり怖い話(ステーキ弁当)

          これは、飲食店を経営している知人からきいた話です。 そのお店は、ステーキやハンバーグを提供するレストランです。 ランチタイムの11時から、ディナータイムの22時までが営業時間。 オーナーシェフの知人と、日によってかわるアルバイトスタッフで切り盛りしています。 店内での飲食以外にも、お客さんの要望により、持ち帰りのお弁当にして提供もしています。 ある夜、もうすぐラストオーダーの21時30分になろうかという頃に、電話がかかってきました。 店内にはもうお客さんはいなかったた

          ちょっぴり怖い話(ステーキ弁当)

          ちょっぴり怖い話(街で会った同級生)

          これは、学生時代の同級生からきかされた話です。 彼は、都内にある実家で、両親と一緒に暮らしていました。 実家はお蕎麦屋さんで、両親が営んでいました。 彼も仕事が忙しくないときは、出前や皿洗いなど、家業を手伝っていたそうです。 ある夜、仕事終わりに自宅の最寄駅から歩いていると、前から歩いてきた男性に声をかけられました。 その男性の顔を見ても、誰なのかすぐにはわかりませんでした。 「おれだよ。Aだよ。○○中学で同じクラスだったじゃないか」 そう言われて思い出しました。

          ちょっぴり怖い話(街で会った同級生)