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高校年代のロングスローについて

皆さんは高校年代によく見られるロングスローの多用についてどう思われますか?

「ルール上問題ないので全然OK」
「足でやるのがサッカー、手を使うロングスローをあまりにも使いすぎるのはちょっと…」などなど賛否両論色々なご意見があるかと思います。

これについて僕自身がどう思っているかというと…

どちらかと言えば否定的な立場です。


ただその理由はあくまでも指導者としての立場から、高校生といえども育成年代であるということを考えた時に

今コレをやっててその先に繋がる何かがあるのか?

ということが1番にあります。

まず前提として、高校年代でロングスローを多用することはよくあることです。

20年以上前、自分が高校生の時に先輩でやはりロングスローの練習をしまくってロングスロー担当になっていた人がいましたが、そんな感じで各高校に1人はロングスローを投げれる選手を置くなんてことは高校サッカーでは昔から結構あるあるみたいなところも実際にあります。

(昔からやってることが変わってないということも進歩がなく問題だとは思いますが今回の論点はそこではないので割愛…)

では、そもそも高校年代でこれだけロングスローが多用されるのに対して、Jリーグや海外リーグではそれほど重宝されていないし、あまりやってるイメージが無いのは何故なのか?

それは実はどちらかと言えばDF側の問題が大きく影響しています。

高校年代は筋力的・フィジカル的にまだまだ成長段階でそれほどボールクリアに飛距離が出せません。
さらにロングスローのボールというのは速度がゆっくりなふんわりボールなので、遠くに弾き返すにはより大きな筋力が必要になります。

もし大人のプロ選手であればしっかりと大きく弾き返すことが可能でしょうが、高校生ではよほどの体格でない限りはなかなか処理が難しいという事情があります。

なので手を使って正確なボールを入れことのできるロングスローをゴール前に投げ込むことで高確率でペナルティエリア内の混戦に持ち込むことが可能であり、あわよくばクリアミスから得点が狙えるということが要因としてあります。
(割と劣勢時に追いつく為の手段として使われます)

では、例えば大人のプロ選手がプレーをしているJリーグで、屈強な世界レベルの長身DFがいる欧州リーグやW杯で同じようなロングスロー戦術が通用するでしょうか?

もちろん相手チームとの身長差がものすごくあるような場合など一部の状況下では有効な場合もあるとは思いますが、多くの場合で有効な戦術とはならないと思われます。

実際日本の高校サッカーほどロングスローを多用するようなチームは今のプロの世界では日本でも海外でもほぼ見ないですし、有効でないからこそ採用するチームが無いとも言えます。

※昔プレミアリーグにデラップというめちゃくちゃロングスロー飛ばせることで有名な選手が確かにいましたが、逆に言えばそれで有名になるということはそれだけデラップがマイノリティな選手だったという証明でもあります。

では将来使わないであろうそのロングスローを育成年代の選手達に必要以上にやらせることに果たして意味があるだろうか?

結局はその試合で勝ちたいが為の、その場しのぎの行為なのではないだろうか?

というのが僕個人の見解です!

プロでも代表でも世界でもずっとコレをやっていきます!というなら全然良いですし、文句を言うつもりもありません。

ただ将来的に必要の無い技術に時間を割いて、他のフットボールのもっと大事な原則や技術の習得が疎かになってしまうのなら、それは良く無いことだと思います。

それにフィジカルサッカーでは対世界になった時に優位性が無い場合が多いので、その他の方法で如何にペナルティエリアに侵入するのか?どうやってチャンスをつくるのか?ということに重点を置いて指導していくべきだと思います。

もちろんロングスローそのものを否定しているわけではありません。スローイン自体はセットプレーの1つとしてデザインすることで優位に試合を進めることもできますし、ロングスローはその戦術の中の1つではあります。

ただ高体連サッカー界として、あまりにこれを多用し過ぎているように感じる場面があることには常々疑問がありました。

そしてロングスローをやってくるとわかっているのにも関わらず、守備側チームもそれに対しての対応策を特に練っていないように見えるというのも非常に大きな問題を感じます。

高校生にもなれば、ある程度指導者の意図したことを理解して実行する力はあるはずです。
練習からロングスロー対策にも取り組めるはずですし、もっと戦術的にプレーするチームが出てきても良いのかなと言う印象は今大会も否めませんでした。(基本蹴っちゃうことが多すぎる)

これは指導者がやらないのかやれないのかはわかりませんが、今後の日本サッカーを強くしていく為には、この高校サッカー(特に部活サッカー)のレベルを上げていくことは絶対に必要だと思いますので、是非そういった高校の指導者の方々にはチャレンジしていって欲しいなと思ってしまいました。

現状、僕はB級ライセンスの資格は取得していませんので高校のサッカー部の監督になるのはほぼ無理ではありますが、非常に興味のある分野にはなりますので将来的にやってみたいという気持ちもあります。

その為に、まずは今指導している小学生チームをしっかりと戦術的に戦えるチーム、選手達にしていかなくては…研鑽の日々は続きます。

それでは、また次回!

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