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忍者と極道展を鑑賞(み)た

2年ぶりの大阪

11月。出張のビックウェーブ第1波を乗り越えた私は、大阪にいた。
仕事の調整はすべて済ませた。ワクチンも2回接種した。かなり久しぶりな仕事ではない遠出にワクワクしながら、「上り」の新幹線へ乗り込んだ。

そこまでして大阪に行きたかった理由は2つ。
①忍者と極道展 @モモモグラ
②Takarazuka Greatest Moments @梅田芸術劇場

全部話すと大変な量になりそうなので、今回は①についてお話する。

「忍者と極道」について

その名のとおり、忍者と極道がバチバチに戦うバトルマンガである。
あらすじは以下のとおり(出典:講談社コミックデイズ・作品紹介ページのあらすじ https://comic-days.com/episode/10834108156722664318)↓

トラウマから笑えない少年・忍者<しのは>、表向きはエリート会社員ながら裏では組を牛耳る極道<きわみ>。そんな2人が出会った時、300年にわたる忍者<ニンジャ>と極道<ゴクドウ>の殺し合いの炎が熱く燃え盛る! 孤独を抱えた漢達による、情熱と哀切に彩られた命のやり取り。決めようか…忍者と極道、どちらが生きるかくたばるか!!

めちゃくちゃに物騒である。事実、この作品ではかなり大勢の人が死ぬ。ネットでも、「よく生首がとぶ」と評判だ。 ※一応書いておくと、血しぶきは飛ぶがモツ的なものは出てこないので、あまりグロくはない…はず…

それでも私はこの漫画が大好きだ。おそらく高校生のときにはまったハガレンぶりに紙の書籍を全巻揃えてしまった。その理由は大きく3つ。

①ストーリーが単純明快、なおかつ伏線の張り方も回収の仕方も丁寧
②キャラクター設定が上手で、感情移入しやすい
③作者(近藤信輔先生)の「これが描きたい!!!」熱量がアツい

特に③については、最近のマンガの中ではトップクラス(※芳田調べ)だと思うし、本題の原画展でもビシバシと伝わってきた。
今回は「原画展レビュー」なので漫画の紹介は割愛するが、忍者と極道、とても「マンガという名の娯楽作品」としては間違いなく令和史に残る傑作だと確信しているので、ぜひ皆さまには読んでほしい。とりあえず総理大臣がヤクキメて友だち守るところまでは

原画心底(マジ)偉大(パネ)ェ~

原画展の話に戻ろう。

この原画展は、大阪市の日本橋近くにあるギャラリー「モモモグラ」で開催された。 ※サイトはこちら→https://www.momomogura.com/
ちなみに一部の作品を除いて写真撮影OK&SNSへの投稿OKとのことだったので、本記事でも少し紹介したい。

ギャラリーは雑居ビルの1室にあり、それほど広くない。百貨店のすみっこにあるミニギャラリーより狭いほどだ。それでも十分すぎるくらい、美術館の特別展レベルの見ごたえがあった。
何より原画のチョイスが秀逸だった。私が観たのは主人公サイドの原画が中心に展示された「忍者編」だったが、そんな彼らのかっこよさ、優しさ、美しさ、恐ろしさ。「理解(わか)る、理解(わか)ります。その選択(チョイス)…!」と思わず唸ってしまうシーンの数々。会場がそれほど広くない分、たっぷりと煮詰められたキャラクターの魅力や世界観を味わえた。

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こちらはある意味でめちゃめちゃ有名なシーン。
マンガに限らずほかの美術作品でもそうだが、原画(本物)を見られる良さのひとつに、「技法」を生で見られること、すなわち作者の精神が形になって生まれようとしている瞬間を体感できることがある。
おどろおどろしく縁どられた吹き出し、恐怖に震える実験室(?)、ネズミ君の逆立つ毛並み、ネズミ君の異常なパワーを誇示するヒグマの傷跡、勢いよく繰り出される中指。ペンの濃淡や線の強弱、塗りつぶしの表現から、そういったものをより強く感じることができた。

愛(ラァブ)大盛(マシマシ)の原画展

原画のすばらしさに感動しながらもうひとつ、感じたことがある。

この展覧会に関わった方々、みんな忍者と極道大好きなんだな…

シーンの選び方が素晴らしいのは先ほどお話したとおりだが、キャラクターが輝く場面だけでなく、影の場面もちゃんと紹介していた。(一ファンとしては)うわあああと泣き崩れたくなるシーンも多々あったが、逆にそこが良かった。おそらくあのチョイスは本当に作品を愛していないとできない
さらに言うと会場で流れている音楽にも愛を感じた。「忍者と極道」はサブタイトルが実在のポップスナンバーになっていることが多いのだが、その元ネタが流れていた。リンダ・リンダ・リンダとかね…もうね…

入口には構成員(ファン)からのお花も飾られてた。後ほど調べたところSNSで募集をしていたらしい。生首の絵に美しい花たち。そのデザインも愛あってこそだ。写真を撮っておけば良かったなあと後悔している。あと次また展示やるなら私も構成員になりたい。

そして何より作者(サクガミ)・近藤先生の愛。入口近くにコメントが掲示されていたが、忍者と極道に対する、いや、創作活動そのものに対する愛というか執念というか魂そのものといえばいいのか、とにかく胸を抉られる内容だった。ボードの前で、思わず頭を下げてしまった。

おわりに ~とても灼熱い(アツい)展覧会でした~

というわけで「忍者と極道展」は、冗談抜きで個人的には最近行った展覧会の中でもトップクラスに心震えた、5000兆点(点数を付けるのもおこがましいが)の展覧会だった。
展示品もすごいし、空間やグッズの作り方も最高。「日曜美術館」とか「プロフェッショナル 仕事の流儀」とかでぜひこの原画展の企画や設営の裏側を覗いてみたくなるほどだ。あっ、「アートシーン」でも良いです。

余談にはなるが、現在、私の会社デスクには原画展特別グッズである「忍極語録湯呑」「壊爺メモパッド」が飾られている。 
※イメージはこちら:KAI-YOU.net記事:https://kai-you.net/article/81692(2021年10月)
湯呑は好きなお茶を飲むのに、メモパッドは締め切りが近くて絶望(パオン)な要件のToDoリストとしてとても役に立ってはいる。同僚からも「芳田のデスクが物騒になった」と評判だ。

ちなみに現在「忍者と極道」の本編はとんでもないことになっているので、しばらくしてまた新しい場面が増えてきたら、次のフェーズの「忍者と極道展」を観にいきたい。モモモグラさんの雰囲気もあの展覧会には絶妙なエッセンスになっていたと思うので、またあの場所で、あの空気を味わいたい。


キャラクターはみんな好きですが推しは色姐です 芳田