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潜って、見つけ出す

今から10年ほど前、2年続けて、スコットランドのエディンバラで夏の時期に開催されるfringeに参加しました。

fringeはパフォーミングアートの大イベントで、約1か月間に渡り何千もの演目が上演されます。

先鋭的で質が高いオリジナリティ溢れる演目から、大学の演劇サークルの演目まであり、プロもアマチュアも入り乱れ、様々な国籍の人達が行き交います。

私がfringeの演目に惹かれる理由は、やはり演目の独自性にあると思います。
もともとあるフォーマットに自分を合わせるのではなく、自分に合わせて新しいフォーマットを作るという創意が感じられるからです。

今ある世界と自分がなんだか合わない…と凹んでいても、fringeで活躍するアーティスト達を見ると、自分に世界を合わせれば良い、そしてそれに必要なのは、自分を沸き立たせるアイデア、情熱を注ぎ続けられるアイデアこそが必要なんだ!と思えるのです。

今、世の中で注目される人って、あっその手があったか!という着眼点や自分と他者のニーズを細分化し、ジャストサイズに捉えられる思考力を持っている人なんじゃないか、と感じています。
そういう人は何というか、「鋭さ」「軽さ」「柔らかさ」を兼ね備えているイメージです。

舞台の話に戻すと、私は「重さ」を感じる作品が嫌いです。
私の思う「重さ」は内容が暗くて重いとかではなくて、物理的に重そうな舞台のこと。
大した意味も、効果もないのに置かれた無意味に豪華な舞台装置や乱雑な舞台装置は見るに耐えない。
そのつまらない見栄に、どうしようもない「重さ」を感じてしまう。
座組みの人間関係に必要のない上下関係が透けて見える舞台も「重い」。

日本では、この「重さ」が尊重されることが多いように思う。
私のようなフラフラすることを必要とする人間と、この「重さ」はとかく相性が悪い。
だから私はfringeで上演される「軽さ」を感じさせてくれる作品が好きなのです。

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