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普通の生活と夢の折り合い

なんて好感が持てる4人のメインキャラクターなんだろう。どのキャラクターも大好きになって、感情移入しながら、時に涙しながら読んだ。4人とも、音楽、という自分よりずっと大きな何かに身を委ねているから、利己心みたいなものがあまり感じられないのだろうか。

高島明石には特に共感した。私自身もかつて夢見た職業があってそのために大学院まで出たけれど、今は結婚して子供もいて、別の分野で会社勤めをしているからだろう。

「これで最初で最後だから、頼む、挑戦させてくれ」「パパは音楽家なんだって明人に言ってみたいなぁ」「今更誰にも頼まれもしないのにコンクールなんか出てどうするんだろうね」「今だから弾けるものってあると思うんだよ」「駄目だ、全然指がついてこない。気持ちばっかり先走って、曲になってない」「やっぱり、こんなことやめときゃよかった」「説得力のないピアニストが悪いんだよ」「本選に残ったら、みんな聴きに来てくれるってさ」

普通の生活と夢の折り合いをつけるのは難しい。でも、高島明石には本当に励まされた。私にとってのコンクールが何なのかは、まだ分からない。でも、私も諦めずに挑戦したい、と思った。

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