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しょぼいWebサイト…でも52億円調達

すみません、タイトルの「しょぼい」と言うのは本音でして、何のことかと言いますと中国企業のZEGOが52億円を調達したという話題。

2020年の中国企業の資金調達額、実は凄いことになっているのです。

<2020年・上半期資金調達額>
✅中国企業:321億ドル(世界全体の約49.8%)
✅米国企業:158億ドル(世界全体の約24.5%)

そりゃ…経済覇権握りますよね。もう抗えません。アメリカの倍。本当に倍。単純に額が多ければ凄い!ということではないのですが、この流れは今後も続くでしょう。間違いありません。

で、前述のZEGOですが、凄い企業なんです。日本の方でしたら「オーディオブックのHIMALAYA」と言えば「あぁ知ってる」という方もいるのではないでしょうか。この、おおもとの会社です。

(Source:https://jp.himalaya.com/

月間1.2億のアクティブユーザー…数で言えば日本の総人口、中国では人口のたった8.6%です。もはや数の暴力にすら見えてきますが、このアプリだけで終わっている企業ではありません。ユーザーとの接点をたせるプラットフォームを作り、上手くB2B(B2B2C)の事業戦略を持っているのです。

ここに、テンセント出身者が立ち上げたという遺伝子が垣間見えます。

多くの「声データ」が集まるので、そのデータから言語解析に応用したり、ヒアラブルに応用したり…いや、もう考えてますよねきっと。

企業のWebサイトを見ると…本当にショボい(褒めてます)。

もはや、日本のようにWebサイトを凝った作りにしている企業は、中国では見当たりません。「えっ、このサイトってノーコードとかローコードで1時間くらいでチャチャッと作ったの?」と思えるもので溢れているというか、そういうものしか見たことがありません。

アリババグループのトップページに至っては、もはやHTML初心者でも作れてしまうほどのショボさ(褒めてます)。

何が言いたいか。

それは、もはやWebサイトというのは集客プラットフォームでも何でもなくて、ただの顔だということ。顔はシンプルなほうが良い。ぐっちゃぐちゃにこねくり回してメイクでなんだか分からないように隠してると、「素顔が分からない」と思われてしまいかねません。夜中にスッピンを見てしまった時に、「えっ、そんな顔してたんだっけ」という、付き合って日が浅い秘密だらけのカップルになりかねません。

何を書いているのか、もはや分からなくなってきました。

中国企業の場合、Webサイトは「あってもなくても良いレベル」になってきている感じがします。役に立つアプリ、面白いアプリがあれば、説明とか使い方なんて一切見ずに、ほんの数秒でダウンロードしてユーザーと繋がってしまう。繋がったユーザー同士が、楽しみ方や使い方をどんどんシェアし合って拡散する。

これが文化として成り立ってしまった。強い。

先日、日経36Krのセミナーに参加して「何か決定的に違うものがある」と感じたものの正体が、多分これです。いや、分かってはいたのですが、それを改めて強烈に突きつけられた感じがします。

日本で、そういう遊び心のあるアプリを考えて、1億人以上のユーザーを惹きつけられるアプリを開発できる企業・人っていますか?この時点で、もはや土俵が違うというか、セミナーに参加している方々の質問が「どこか的外れ」に聞こえてしまったのは、正直な本音です。質問のポイントが時代遅れというか…もう違ってきているのです。

で、Webサイトを見ても一見何が凄いか分からないZEGOが、52億円を調達してしまう。もちろんリードインベスターがテンセントなので当然かもしれませんが、そういう当然かもしれないことが日本でバンバン起きているかというと、そうではない。

なんと言いますか…別に私以外の日本の経営者や働く人々を責めるということではないのですが、中国で事業を営む私にとっては…ちょっと起業家引退という文字がまぶたの裏表に浮かんでは消えない日々なのです。

実はこれ、この1年で強烈に意識するようになりました。

もしかすると…想定より早く引退するかもしれません。千代の富士が貴乃花と土俵上でガッと組んで引退を覚悟した、そんな心境です。分かりますかね…分からないかもしれませんが、冷静かつ客観的に判断することが得意な私には、もはや中国で戦う自信が無くなってきています。

どなたか強烈なベホマズンをお願い致します。効かないかもしれません。

本日もお読み頂きありがとうございました。

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