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米大統領令|中国企業31社への投資を禁止~31社の内訳は

トランプが大統領令を発令、中国関連企業31社への投資を禁止しました。

(Source:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020111300307&g=int

6月のイニシャル・リストに今回11社が追加されて、合計31社となっています。

(Source:https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2328894/dod-releases-list-of-additional-companies-in-accordance-with-section-1237-of-fy/

あれ…バイトダンス無いんですねぇ。少し拍子抜けしました。トランプらしくないなぁ、と。

これは金融デカップリングのスタートでしかないと思います。

輸入に関しては関税戦争をしかけてきました。これは中国からアメリカへの事業移転を促すためだったのですが、そんなに上手く行っていません。

実は今年5月、アメリカ連邦政府の退職基金が、議会や政権からの圧力を受け、中国株への投資計画を停止していました。また、8月には政府委員会が、中国企業が米規制当局に財務記録へのアクセスを許可しない限り、アメリカの証券取引所からの上場廃止を勧告しました。

この流れから、アメリカによる対中金融デカップリングは今後強化されていくことが分かります。何度か書いてきましたが、「中国の企業には投資的な旨味はあるが、急激にマーケットキャップが増えるわけではない」という理由がここにあります。アメリカのファンドも対中投資規制を求められるかもしれません。

ただ、もともと中国は軍事やテック系に関してそれほどアメリカ資本に依存していないので、この大統領令によって中国が軍事やテック系の成長を妨げられるかというと、その可能性はゼロです。短期的には指数が下げるでしょうけど。いつものイジメですね。

半導体もチップも中国は自前で作れるようになるので、逆にマーケットを失うのはアメリカ企業です。

大統領令に関しては、アメリカ自国のの裁判所によって停止されることもありますし、もしバイデンが大統領になると「トランプ政策の否定」がスタートするでしょうから、長期的な視野が必要かと思います。バイデンが金融デカップリングを続けるのかどうか。トランプが再選なら続けるでしょう。

一方で意外だったのが、中国当局による自国企業への締付け強化です。

11日午前の香港株式市場で中国のネット銘柄が大幅に下落している。アリババ集団は一時24.40香港ドル(8.85%)安の251.00香港ドルまで下落し、8月21日以来約2カ月半ぶりの安値を付けた。中国の規制当局である国家市場監督管理総局は10日、ネット企業の独占的行為を規制する新たな指針の草案を公表した。アリババなどが念頭にあるとみられる。同社は傘下の金融会社アント・グループが当局の指示で上場延期になったばかりで、規制範囲の拡大が事業運営に水を差すとの警戒が強まった。

アントグループのIPOが直前で延期されたのも、やはり中国がデジタル人民元を万全の体制で仕掛けたい思惑があるからでしょうね。一見、独自決済アプリを持つ企業とは競合しますので、ある企業が「独占」をすることは避けたいのかな、と…でも中国も変わってきた感じがしませんか?民主主義的というか…アメリカが社会主義的に思えてきます。

ただ、ジャックマーの体制批判とも取れる発言にはお灸を据えましょう、と。

■中国アント、史上最大規模のIPO延期の理由。ジャック・マーは誰を怒らせた?.
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/29542?page=3

とは言え、中国政府はどこかで折り合いをつけて、さらにトップ企業を押し上げると思います。今回は思惑と周辺の規制が追いつかなかっただけではないでしょうか。また、アメリカがもろもろもたついているので、そんなに急がなくても良いと思ったかもしれませんね。

今日の株価は、美団点評もテンセントもアリババもシャオミも上げています。

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