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男性の育児参加と運動不足


 子育てに積極的に関わる男性が増えている。

 そう言えば、私の勤める小児科の乳児健診でも、いつの頃からか、お父さん、お母さんそろってやってくる光景が当たり前になったと思っていたら、最近はパパが一人で赤ちゃんを連れて来る姿も珍しくない。

 男性の育児参加推進は、厚労省も強力に後援していて、その甲斐あって、男性の育児休暇取得率はジリジリと上昇してきているようで、内閣府の調査では、2018年度に6.16%だった男性育休取得率は、2022年度には17%(ちなみに女性は80.2%)と過去最大にまで伸びているという。しかしその一方で、男性の家事・育児に対する参加意識については、「家事や育児の主体は女性であり、自分はサポート役」との意識も相変わらず根強く存在しているようで、OECDの調査でも日本の女性の一日あたりの平均家事労働時間は224分と主要先進国内では平均的であるものの、男性については41分と相変わらず先進諸国中最下位に沈んだまま……

 家事も育児も女性に丸投げで、男性は仕事に邁進する……なんて時代、そう、昭和は大分遠くになってきたが、まだまだ道半ば……と言ったところなのかもしれない。

 昭和な時代にも、子どもが保育園や幼稚園から小学校くらいまでは、運動会を両親やおじいちゃん・おばあちゃんまでそろって見に行く事はあったと思うが、いつの頃からか、運動会を単に「見る」だけではなく、競技に参加する事が増えてきているようで、その中でもお父さんが参加する事は割と当たり前の光景になっている様だ。仕事を理由にして日頃は家事・育児をもっぱらお母さん任せにしているお父さんたちが、この機会に家族に存在をアピールしようとして張りきる微笑ましい姿が目に浮かぶようだ。

 そこで先月(2023年10月)、血圧計など医療機器のメーカーであるオムロンヘルスケア社が面白い調査を発表しているので紹介したい(注)。

https://cdn.kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M000242/202310040630/_prw_PR1fl_Cx9snhZ7.pdf

 この調査は、運動会が3年ぶりに全国各地で開催される事をきっかけに行われたもので、幼稚園・保育園から小学校3年生までの子どものいる、運動会に参加した経験のある30代から50代の父親1056人を対象に、インターネットを通じて行われた。
 調査に回答した人の中で、実際に運動会で競技に参加した事のある人は約60で、年代別では30代の父親の参加率が最も高かったが、50代のお父さん達も、2人に1人は競技に参加している事がわかった。競技に参加した理由として多かった理由としては、「家族が喜ぶ顔が見たい」、「家族や子どもに格好の良いところを見せたい」などと言った声が聞かれ、子どもや家族の手前、ついつい頑張ってしまう姿が伺える。その一方で、「動ける気がしない」、「運動不足だから」、「ケガや筋肉痛が心配」などと参加をためらったり、あきらめる人も4人に1人程度存在していて、自身の日頃の生活から、運動不足を自覚している人も少なくない様だ。

 実際、競技に参加して転んだりケガをした経験のある人は10人に1人と結構な割合に上り、そんな経験をした人の大多数が「想像していたほど身体が動かなかった」と回答している。
 転倒やケガをしてしまった競技のトップはリレーで、ついで障害物競争、徒競走と続いており、いずれも「走る」と言う共通点がある。実際に走ってみると、気持ちは前に進んでも思う様に足が動かなかったり、スタートやカーブで身体のバランスを崩してしまって倒れてしまった経験をお持ちの方も少なくないだろう。

 それでも、競技に参加した70%以上の人は今後も運動会の競技に参加したいと回答しており、そのためにも日頃から運動を心がけるのはもちろん、当日「張り切り過ぎない」様に気をつけ、当日は事前に「準備運動」をするなどして気をつけたいと答えている。
 今回の調査では、普段は運動の習慣がないと答えた人の割合は40%ほどである。まずは日頃から短時間でも運動を取り入れる事から始める必要がありそうだ。

 歳をとってくると、次第に身体が動かなくなってくるのは仕方がない事だけど、身体の衰えはゆっくり進んで行くので、実感として衰えを感じる段階では、すでにかなり運動能力が落ちている事が多いと言う。また、若い頃に運動部などで活発に活動していた人ほど、若い頃の自分のイメージと歳を取った現実のギャップに気づきにくく、「この程度の運動ならば……」と無理をしてしまいがちだそうだ。

 コロナ禍で在宅勤務が増えて、通勤もなければ、仕事は一日中パソコンの前に座りっぱなし……などという人も少なくないだろう。やはり、身体の衰えを防ぎつつ、いつまでも「かっこいい」お父さんであるためには、短時間でも日頃から運動を続ける事が大切な様だ。

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