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現代のプロダクトに求められるシンプルさとは何か

新年なので会社のキックオフみたいなのがあった。

CSMOにサービスドリブルって何って聞こうと思ったけど多分サービスドリブンを噛んだだけっぽい気がする。
(追記:サービスドリブンに修正されたのでリンク差し替えました)

写真だけ見ると大きい会場を借りてお酒飲んでウェイウェイしてるだけに見えるけど、一応これの前に真面目なセッションがあって毎回恒例みたいな話が偉い人から出た。たぶんどこの会社でも一度はこういう話がされてると思う。

一言で言うと「コアバリューに集中してシンプルなサービスを作ろう」って感じの話だ。

こういう話をするといつも湧いてくるのが「余計な機能をガンガン削除してシンプルにしましょう!」っていう人たちで、今回もいっぱいいた。
立場上こういう話をされることは普段からも多いし、この機会に私見を書いておこうと思う。

それはあなた個人の主観では

機能を減らしたいという熱意は結構だが、主張されている内容を聞くとその人の個人主観に基づいており根拠も代案もないことが多い。

「(示せる数値も根拠もないけど)この機能は(自分は使ってないので)必要ないと思います」
「広告は邪魔なのでなくした方がいいと思います(けど広告収入がなくなってもサービスは引き続き無料で提供し続けてください)」

()内のエクスキューズが入ってしまうこれらの提案は、一見意味があるようでいてマックにいる女子高生が暇つぶしにする雑談程度に他愛のないものだ。
機能削除に限った話でもないけど根拠と代案がセットでなければ生産性が全くないので結局は話を聞くだけで終わる。
しかもその割に「前から言ってるのに改善されない!」みたいな謎の遺恨が残ったりして余計にタチが悪い。

そんな悲劇がまた繰り返されないようにこの文章を書いているわけだが、一番言いたいことは、いま求められているシンプルさというのは機能が少ないことと完全にイコールの概念ではないんじゃないのということだ。

現代のプロダクトに求められるシンプルさとは何か

当初ミニマムな機能しかなかったサービスやプロダクトに後からたくさん機能追加されて複雑になったみたいなエピソードはよくあるし、私も他人のことを言える立場ではない。
ただプロダクト開発者もアホではないので不要な機能を作ろうとしたり複雑にしようとしてやっているわけはなくて、ほとんどの場合はユーザーのニーズがあるかビジネスチャンスがあるから機能が追加されていく。

問題はせっかくその機能を必要としている人がそれを探せなかったり、あるいは本来最も提供されるべきコアバリューが阻害されてしまうことだと思う。
それが増えすぎた機能と複雑さによって引き起こされることが多いのは同意だが、便利な機能ばかりであっても多ければ悪なのだろうか。

前述の偉い人は昔の携帯電話と比較して、物理的なキーボードを排して一枚のスクリーンだけになったiPhoneのデザインがシンプルで優れているという話をした。
しかしそれはiPhoneの方が昔の携帯電話よりも機能が少なくてスッキリしているという意味ではない。

iPhoneや昨今のスマートフォンが優れているのは、自分が必要な機能(アプリ)だけをピックアップして利用したり、自分の使いやすい配置に整列したり、全面タッチパネルによって機能ごとに最適化されたUIを提供できることだ。
ユーザーが求めるときに必要な手段へ素早くたどり着ける前提であれば、個人ごとのニーズに細かく応えられる多機能にこそ価値がある。

情報が溢れる現代だから世の中には無数のWebサイトがあるが、Googleにキーワードを打ち込むと私達が求めているであろう情報が優先的に整列されて必要なコンテンツを見つけることができる。
従来のテレビでは個人のニーズに応えきれなくなり、たくさんのコンテンツが好きなときに見られるオンデマンドの映像配信サービスが人気だ。
これからもWebサービスや、アプリ、それらから配信されるコンテンツも機能もどんどん増えていくだろう。
きっとそれは多様化し続けるユーザーニーズに応えるために避けられない流れだ。

本当に要らない機能だったら消せばいいと思う。
だけど必要とする人がいるのであれば、ユーザーが求めたときに無数の選択肢の中から迷わず必要なものにたどり着けることこそがこの時代のプロダクトに求められるシンプルさなのではないだろうか。
それはユーザーの行動を元に高度にパーソナライズされたレコメンドなのかもしれないし、位置情報に基づいた気の利いたプッシュ配信なのかもしれない。それとも自由にカスタマイズできるUIさえあれば良いのだろうか?
議論や考えなければならないことはたくさんあるけど結局まだ実現できたことの方が少ないしそれは私の責任だと思っている。

あまり新年の抱負とか考えるタイプではないのだけど、頑張って良いものを作っていきたいと思った。

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って、さっきマックにいた女子高生が話してました。

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