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第12話 │ 流行り廃り(part 1)

みなさんもよくご存知、大人気の映画シリーズ『ミッションインポッシブル』の第6作で、敵の親玉レーンが発するセリフにこんなものがある。

「私の経験では、この世界というものはすぐに目移りする。そこから自らの考えに影響されることはしない。」

というものである。

今回のテーマは、流行り廃りとしたのだが特に私が見ているのは飲食業界についてのそれだ。なんだか、経済論の導入のような語り口になるかもしれない。

現在、調理・製菓の専門学生として日々奮闘しているわけだが次年度から、実際に社会復帰することとなる。


飲食に限った話なのだが(特に製菓という知見から)、今の日本の世間はおしゃれなカフェというものを求めているように思う。

私自身、昨年度製菓の学生としてなりたての頃は「よし、いっぱい食べ歩くぞ!食べるのも勉強勉強!」と
呪文のように唱えながら、色々なところを食べ歩き、それをノートにもつけた。

しかし、ふと気づいた時
そのノートは途切れていたのだ。

今自分は勉強のために何をしている?
と考えた時に、自ら製作することに思いの矛先は向いていた。

きっと無意識のうちに、もう食べ歩くことはある程度やり尽くして自分本位で作ることに移行していたのだ。
作るということが、次のステップであると考えていた。

だが、これも物は言いようで、はっきり言おう。


ただ単に飽きが来たのだ。

打ちっぱなしたコンクリートの壁に、木目調でナチュラル感を出した机や天井。
ケーキや、お菓子を引き立てる綺麗なお皿に、目をひく照明や、たっぷりと光を取り込む大きな窓。

おしゃれなカフェスペースというものは、本質がお菓子には無いということに気づいた。

つまり、店の外観内観、空間の演出(音や照明)、など
多くの人は、その空間で作業することやお友達と話すために高いお金を払っているのだ。

そう、美味しいお菓子を食べたいではなく場所を買っている。

それに気がついた。

つくり手として、自分に逆質問をしてみると私自身ここで場所の提供をしたいがために、専門学生をやっているのでは無い。
私自身が、勝負したいのはお皿というキャンバスの上で起きる感動や体験なのである。

食材を突き詰め、値段との兼ね合いも取りながら、同じものをコンスタントに作り出す。
そこに、私のやりたいことの本質があるのだ。

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