日本にナーゲルスマンを誕生させるには

前回の記事『日本にナーゲルスマンが居ない理由』では、日本と世界の現状や、認識の違い、また日本サッカーに変化をもたらすための「3つの条件」を書きました。今回は私が今実際に行っているアクションと、方法論・計画について触れていきます。


■プロジェクト概要

私は現在、2018年2月中旬〜アルゼンチンに拠点を置き、アルゼンチン指導者協会名誉会長が校長を務める監督養成学校「Escuela Osvaldo Zubeldía」に在籍しています。

今後アルゼンチンに滞在する3年間でサッカーを学び(そのうちの2年間でプロ監督ライセンスを取得)、帰国します。その3年間では、発信を続け、議論を活発にします。同時にセルフブランディング・マネタイズを行い、帰国後JFLクラブの監督に就任可能な状況を作ります。

JFLで結果を出し、尚且つFIFA公認のプロライセンスを持っている監督が、クラブと供にJ3に昇格する際に見直しへアプローチをするのが、最適かつ唯一の方法だと考えているからです。

※同プロジェクトを作成・計画した時点では監督養成学校への入学、及びこちらでの拠点等は全く決まっておりませんでしたので以下の様な計画を立てていました。

当時の計画では1年目で生活の基礎を固めていく予定でしたが、その必要が無くなったので1年早く計画が進んでいる状況です(2018年4月現在)。その理由に興味がある方は『企業へのアプローチに失敗してから本田圭佑に手紙を書きクラウドファンディングで集めたお金でアルゼンチンに来て監督養成学校に入学するまでの全てを話します』をお読みください。


■プロジェクトの段階

前回の記事で書いた「3つの条件」が全て揃い、このプロジェクトが成功した場合、上図のような段階を踏んでいくことが予想されます。1つでも前例が生まれれば、必ず状況は動き出します。

そうなった場合、Jリーグの監督になるために(土俵に立つために)、S級ライセンスを取得することが"絶対条件"ではなくなります。そこで初めて「監督養成制度を見直さなければならない理由」が出来、日本サッカーが動き出します。同時に、既存の海外ライセンス保持者が日本国内で監督を目指す動きが出始めます。

まずは「どこの国のライセンスを持っているか」という壁を壊し、それによって「年齢」という壁を壊すべく、欧米や南米のように若い指導者でも能力次第で取得できるようなS級ライセンスになれば、Jリーグが監督を育てる場としても機能し始め、自然と日本人監督(リーダー)は育ち、次から次へと野心と能力を持った若い監督が出てきます。


■日本と世界の距離感を縮める

今後、監督・指導者に関して海外との距離(地理的距離以外)を縮めていくためには、以下のことが必要だと考えます。

①若い指導者が海外へ学びに行くことが常識になること:どちらが上か下かではなく、日本人を知るために海外にサッカーを学びに行かなければなりません。私たちが「日本人としてサッカーをすること」に対して研究をしなければ、欧米や南米に勝つことは不可能です。語学の点でも英語・スペイン語を身につけなければ世界基準になることはありません。

②海外で活動している指導者を有効利用すること:言葉が正しいかはわかりませんが、現状で海外にサッカーを学びに行っている人、もしくは指導者として活動をしている人、を有効に活用することが出来ていないのが現状です。これだけ世界と隔離されている状況の中で、「1mmでも情報を逃さない」という敏感な姿勢は必要不可欠です。「日本サッカー協会」と「それ以外」で" 別々"に日本サッカーを考えているという現状は、誰にも否定できない事実です。全員の力を合わせないといけません。

③優秀な人材を逃さない環境をつくること:どの業界も同じですが、現代のボーダレスの世界では、私たちの様な小国はいかに人材を逃さない工夫をするかが大切です。そういう意味では、前述している様に「日本人指導者が海外から帰国しない理由」が多く存在している現状を脱する必要があります。海外に学びに行き、そして日本に帰国する。そういう循環を作らなければなりません。


■どこがどうするべきか

よって、日本人監督(指導者)の能力を上げるためには、まずはJリーグを「年齢・どこの国のライセンスを持っているかに関わらず"実力"と"魅力"のある監督が多く存在している」状況にする必要があり、また「海外に学びに行くなら勝手に行ってください」というスタンスではなく、若い指導者を若いうちに海外へどんどん出すという作業を日本全体で「協力して」行っていく必要があります。その際に壁になってくるのが「お金」です。ここに関しては私のブログ等でも書いてきましたが、「お金」の問題を解決できれば、日本サッカーに対して百害あって一利なしであることは間違いありません。問題定義についてここでは細かく書きませんが、どこがどう解決するべきなのか?を書いていきます。


■1:Jリーグ/Jクラブ

「監督(指導者)を養成する」という公に宣言するクラブが存在していません。選手を育てる前に指導者を育てなければならないことは間違いありませんが、例えばクロップやナーゲルスマンは、クラブが現場を与えたこと、またサポートしたことで世界のトップレベルになった好例です。

上のリンクではRIZAPと湘南ベルマーレが提携し、「選手育成」に資金面の強化を約束したというニュースです。これが可能であるということは、例えばクラブの下部組織出身の元選手が海外へ学びに行くための資金を援助するなどの方法の他、将来を見据えた監督になるべき人材をスカウトし、資金面の援助を通じてクラブに取り込むという方法も可能です。今回のケースでは3年間で10億円規模だと報じられていますが、同じ様にクラブと企業が組んで監督(指導者)養成に投資をした場合、日本にとってより有益な投資になることは間違いありません。

クラブだけではなく、監督(指導者)を育てるということはJリーグの長期的な発展から考えると必要不可欠なことですので、Jリーグ自体がそこに投資する(資金をふり分ける)という方法も現実的です。詳しくはわかりませんが、DAZNの介入によって間違いなく数年前とは資金状況が違いますので、全くもって不可能な話ではないと思います。


■2:奨学金制度

JFAが奨学金を提供するという方法です。僕が知っている範囲では、研究者の世界やダンスの世界では、才能とビジョンのある人間に返済不要の奨学金を提供しています。他の業界でも存在しているはずですが、日本サッカー界にはなぜか存在しません。

若い指導者が海外にサッカーを学びに行くための奨学金を提供することで資金面以外のメリットが多くあります。奨学金を得るための「競争率」は、若い指導者が自分の考えを主張する機会や、若いうちから「野心」を持つことを助けます。現状若い人間が日本サッカーに対して提言できる場はありませんが、この様な機会を設けることでのメリットも多々あります。


■3:企業

ここに関してはあまりまだビジョンが固まっていないので多言は避けますが、可能性としては十分にあるかと思います。私の場合スポーツブランドにメディアと組むことでの「露出」をwinに設定してアプローチをしましたが、様々な理由で失敗しています。もしここに動いてくれるビジネスマンの方いらっしゃいましたらご連絡ください。


■人脈という副作用

お金と同様に「人脈」という壁もありますが、この様な組織(JFA/クラブ/Jリーグ/企業)が監督養成に動き出した場合、または若い人間をチョイスしてサポートをした場合、必ず報道されますので「目立つ」ことになります。私は戦略的に「目立つ」ことで人脈の問題を解決しましたが、現状「人脈」という点で何が問題なのか?はこれまでと同様にこちらの記事に書いていますので、もし興味があればご覧ください。


■日本にナーゲルスマンを誕生させるには

日本のサッカー界では、選手育成に関しては議論をされますが、監督(指導者)養成に対しては不思議と議論が薄いです。サッカーのレベルをあげるのは監督であり、選手を育てるのは監督であり、指導者です。

最後に、2つの記事中で触れてきたことを整理して終わりたいと思います。

まずは年齢やライセンスを取得した国にかかわらず、多様性のある監督が日本人には多く必要で、魅力や実力で評価された日本人監督が存在している状況でなければなりません。そのためにはJリーグの監督就任に必要な条件を見直し、ライセンス制度を改善し、そして海外へ若い指導者をどんどん送り込むこと、また「監督としての経験」を早い段階から踏ませることが必要です。そしてそれには、日本全体で手を組むことが何よりも重要なポイントになってきます。日本でナーゲルスマンを誕生させることは不可能ではありません。そして、世界に勝つには日本人の「リーダー」=監督が必要であることもまた、間違いありません。日本代表に関しても、Jクラブに関しても、監督起用に一貫性がないという問題はすでに露呈しています。

そろそろ、動き出さなければなりません。


※4/9更新

ハリルホジッチ氏の解任が発表されました。言わずもがなですが、ここで問題定義で終わらせるだけではなく行動を起こさなければ同じことを繰り返すことになります。



■現状

私は上記したすべての問題に対してアクションを起こすべく、現在アルゼンチンで監督養成学校に在籍しています。1年目の資金はクラウドファンディングで調達し、2年目以降は「JFA/クラブ/Jリーグ/企業」を中心にアプローチをかけ、過去の前例にない方法で資金調達をしたいと考えています。

私が監督として結果を出すのはもちろんですが、監督養成に対して日本で議論が活発になり、指導者がまず世界基準になれる様、「価値のある前例」を作っていきたいと思います。



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河内一馬

芸術としてのサッカー論

サッカーを"非"科学的視点から思考する
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