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現人神になりたいまる男

1973年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年と少し奥手な仲間たちの物語である


今日は1月1日まる男は従兄たちと初詣に行った。少し電車で行ったところに住む従兄とだ。神社は更に10分程電車に乗って行く。県で最大級の神社だ。
初詣を済ませ、朝食を摂るとまる男は従兄たちと別れて電車に乗る。角郎と垂也と待ち合わせがあるからだ。2人とは家の近所の神社へ行くのでまた電車に乗って戻る。ただ、角郎たちとの約束は守れない。初詣はもう済ませたのでまる男だけ2度目詣でだ。
1人で電車に乗ってると他人の声が聞こえてくる。
最後尾の車両、一番後ろの壁に寄りかかって本を読むまる男。
いすに坐る女の子たちの声が聞こえてきた。
「そうなんだよ!イチゴが乗ってないの!そのケーキ!
信じられる?」
「信じられなーい。マジむかつく!」
「で、店員が言うにはチーズケーキにはイチゴは乗ってないんです。だって!」
「信じられなーい。マジむかつく!」
「信じられないでしょ!」
「信じられなーい。マジむかつく!」
まる男は隣の車両へ移動した。
そこではイスに座れた。隣の親子は楽しそうだ。
お父さんがしたり顔でうんちくを話してる。
「いいか。なんでもかんでも。遺伝で決まる訳じゃないんだぞ。
全てはDNAで決まるんだ」
まる男は座るのを諦めて3両目に移る。
ここではドア前のイス横に寄りかかる。
後ろで先輩が後輩に饒舌だ。
「世の中には2種類の人間がいる。俺と俺以外だ!」
後輩の目は輝いていないが満面の笑みで頷く。
先輩はどうやら最後のレプトリアンなのかもしれない。無下に否定は出来ない。

電車は目的地に着いた。電車を降りると駅員に切符を渡す。角郎と垂也との待ち合わせ場所の交番前に向かう。

因みにまる男の初詣の願いはいつも同じ
「神様。3が日は忙しいけど、頑張って下さい」
だ。

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