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ちょこっとだけ悠久を知る

星野道夫写真展~悠久の時を旅する”を見に行った。
きっかけは、みきともさんの記事。

そこで見つけた写真家星野道夫の名前。
このノーザンライツをぜひ読みたい。
私は日本に帰国してすぐこの本を購入した。

私がカナダに移住したばかりのころ、日本にいる友人が一冊の本をプレゼントしてくれた。
旅をする木 星野道夫
それが彼との出会いだった。

その本は今も、カナダ湖畔の家の寝室の、ベッドサイドの引き出しに大事にしまわれている。

いっときカナダでの生活に心が捉われて私は、日本語の縦書きの本が読めなくなった。字は読めるけれど内容がまるで頭に入って来ないのである。だからこの本は何年もの間、引き出しの中に入ったままになっていた。

パッケージを開けてノーザンライツを手にしたとき、何かふと、私の心が現実に戻った気がした。

そして何という偶然だろう。
帰国中に彼の写真展があるとは。

ノーザンライツを読み終わった後、ネットで予約してひとり見に行った。
恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館である。

かつて、カナダ湖畔の家のずっと北、ハドソンベイ近くまで旅したという夫ジェイ。その地に住む人と交流を持ったことや、極寒の地へのあこがれに似た思いを話していたジェイのことが、星野氏の写真を見たら激しくリンクしそうだった。

カリブーの何千もの大群。
ああこの写真を見たらジェイはなんと言っただろう。
燃えるようなノーザンライツ。
血まみれになったカリブーを解体する人の手。

もしかしたら一瞬よりも短いかもしれない時をファインダーに閉じ込めて、極寒の地に生きた動物たちの息使いが、その地の人々の活力が、息をのむ美しい自然の色が、現実とは思えない迫力でそこにあった。

どんな風にしてこんな一瞬を撮ることができるのだろうと思う


アラスカの極寒の地で誰が住むのだろうなんて思っていた私。
そこでは何千年の時を経てなお繋がれているカリブーの命があって、そしてそれを食べて生きてきた人々がいる。

私の命などこの地の悠久から見たらほんの一瞬。

いつかジェイの足跡を追って、ハドソンベイを見に行くのが今の私の憧れである。
そのときは今までに見たことがないような遠くを見たい。
悠久の時を肌に感じたい。

そして
自分の小ささも。

星野氏は自然を愛し自然の中に生きそしてありのままに自然に戻っていったのだと思う。


写真展後は美術館にあったカフェで野菜カレーを食べた

人生観が変わる迫力の後に↑(笑)




日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。